保険料率改定と年金分野でのマイナンバー利用開始
社会保険ワンポイントコラム
毎年、春は健康保険関係の保険料率改定の時期です。それに加えて今回は年金分野でのマイナンバー制度導入も始まりました。事務担当者にとっては見逃せない事項ばかりですのでしっかりと確認し、対応していきましょう。
保険料率の変更
まずは保険料率の改定についてです。協会けんぽの健康保険料率、介護保険料率が平成30年3月分(4月納付分)から変更となりました。協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なっており、東京都の場合は前年度の9.91%より0.01%下がって、9.90%と若干下がりました。大阪府の場合は逆に昨年度の10.13%から10.17%にアップしています。これに、40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、全国一律の介護保険料率(1.57%)が加わります。
なお、給与から控除する金額は上記の半分(折半額)であり、任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)からの変更となっています。また、協会けんぽではなく健康保険組合の場合は組合ごとに保険料率が異なっていますのでお気を付けください。
年金分野でのマイナンバー利用開始
健康保険組合ではすでにマイナンバー利用が開始されていますが、いよいよ年金事務所に提出する書類についてもマイナンバー利用が開始になりました(平成30年3月5日より)。利用開始にあたって提出に用いる書式や記載内容、それに書類内容が以前と異なっています。
マイナンバーにかかわる主な変更点
まず、従業員の入社時における資格取得届の用紙と内容が変更となり、「基礎年金番号の代わりにマイナンバーを記入すること」になりました。従来通りの基礎年金番号でも可能ですが、雇用保険資格取得時にマイナンバーも取得する必要がありますので、本人確認を行ったうえでマイナンバーのみ記入というスタイルが今後は主流になるのでしょう。次に「健康保険被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者届」が統一化され、1枚の届出書になります。そしてこれまでの様式は主に横型でしたが、A4縦型になります(他の主要な届出についても今後はA4縦型に統一の予定です)。そして、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている方については「住所・氏名変更時の届出(厚生年金保険の被保険者)」が不要になります。これは、日本年金機構が住基ネットから個人番号をもとに更新処理をおこなうようになったためです。
<ワンポイント「マイナンバーと基礎年金番号の紐づけは何で知る?」>
上記でマイナンバーと基礎年金番号が紐づいている方については「住所・氏名変更時の届出(厚生年金保険の被保険者)」が不要と書きましたが、紐づいているかいないかはどうやって知るのでしょうか?これは基礎年金番号を持ちながらマイナンバーが不明な被保険者に関しては、年金事務所から会社あてに通知が出されています。もしもこのような通知が送られていなければ「すでに紐づいている」ということになります。不安な場合は、会社管轄の年金事務所にご確認ください。
担当者は漏れがないようにチェックを!
健康保険料率と介護保険料率の変更は従業員の手取り額にも影響しますので、漏れがないように対応しましょう。また、年金分野でのマイナンバー対応についてですが、すでに3月5日から新様式での用紙使用が開始されています。当分の間は旧様式でも受理していただけるとのことですが、旧様式と新様式では記入する項目欄や内容が異なりますので、うまくいかない場合があるかもしれません。なるべく早く新様式に切り替えるのと同時に旧様式の場合は備考欄等に記入しましょう。