06 July

SDGsを理解しよう!企業でSDGsを始めるための5つのステップ

掲載日:2022年07月06日   
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昨今「SDGs」という言葉をTVや新聞のメディアで目にしない日はないのではないでしょうか。またビジネスの場においても、SDGsの取り組みをアピールする企業や17色の円状のカラフルなバッジ、SDGsバッジを付けているビジネスパーソンを目にする機会が増えてきています。ここまで社会を、人を動かすSDGsとは何なのか、ここであらためて解説したいと思います。

1. SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字をとったもので、「持続可能な開発⽬標」と訳され、2030年までに達成すべき国際目標のことです。2015年9⽉の国連サミットにおいて、193 の加盟国の全会⼀致で採択され、社会が抱える問題を解決し、世界全体で2030年を目標に持続可能な世界を実現するため17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。先進国も途上国もすべての国が関わって解決していく⽬標とされています。

SDGsの17のゴールには、

  1. 貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ
  2. エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消など全ての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ
  3. 地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダ

といった世界が直面する課題が網羅的に示されています。SDGsは、これら社会、経済、環境の3側面から捉えることの出来る17のゴールを、統合的に解決しながら持続可能なよりよい未来を築くことを目標としています。

これらの目標は、各国政府による取組だけでは達成が困難です。企業や地方自治体、研究機関や市民社会、そして個人に至るまで、全ての人の行動が求められている点がSDGsの大きな特徴です

2. 企業にとってのSDGs

SDGsは国連で採択された目標ですが、ビジネスの場においても共通言語になりつつあります。グローバルな事業展開をする大企業では、バリューチェーン全体の見直しを行っており、関連するサプライヤーにも影響が広がることが考えられます。今後SDGsへの普及とともに、SDGsへの対応が取引条件になる可能性があり、SDGsを無視することが出来ない状況が想定されます。

アップル社が、サプライヤーにおいて既に累計10ギガワット以上をクリーン電力でまかなっており、2030年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラル達成に向けた意気込みを発表したのも記憶に新しいところです。

また、ESG投資(投資するために企業の価値を測る材料として、⾮財務情報である環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を考慮する投資)への関心も高まっており、環境への取組の必要性は高まっていると言えます。

SDGsへの対応が遅れることはリスクにもなりえますが、SDGsへの取組は、企業にとっても様々なメリットがあるともされています。例えば、企業イメージの向上、多様な人材確保、経営リスクの回避、事業機会の創出といったことが考えられます。SDGsの市場機会の価値は年間12兆ドル、2030年までに世界で新たに創出される雇用は約3億8,000万人(出典:PwC 2015年調査、Better Business, Better World, Business & Sustainable Development Commission)とも言われており、SDGsへの取組はまだ開拓されていない巨大な市場を獲得するための機会にもなりえます。

3. SDG Compass

SDGsへの認知度・必要性は高まっているものの、「何から始めればいいのか分からない」「具体的な取り組み方が分からない」といった声が聞かれます。SDGsには、明確な認定基準があるわけでもなく、例えばISO規格のように審査があるわけでもありません。そのため、SDGsの導入を検討している企業において、具体的にSDGsを企業経営にどう落とし込めばよいか対応に苦慮している企業も多いことと思われます。そこSDGsへの取り組み方を5つのステップに分けて解説した行動指針「SDG Compass」を活用することも1つの方法です。

SDG Compassとは、企業がSDGsを企業経営に統合させるための指針で、GRI(Global Reporting Initiative)、UNGC(United Nations Global Compact:国連グローバル・コンパクト)、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)の3つの団体が共同で作成したものです。5つのステップに従っていくことでSDGsを企業経営に取り組むことができるとしています。SDG Compass はWebサイトにおいて日本語版も無料公開されています。

 

SDG Compass は次の5つのステップで構成されています。それぞれのステップについて解説していきます。

① SDGsを理解する

はじめに企業がSDGsに関し十分に理解することが最初のステップになります。SDGsの17のゴールと169のターゲットがどういったものなのか理解することが、その後のステップにも繋がっていきます。

② 優先課題を設定する

SDGsの17のゴール、169のターゲットを理解していく上で、自社の事業での取り組みがSDGsへの貢献になっていないかを探していきます。自社にとってより重要なテーマ、関連が深いテーマをピックアップし、自社の取り組みがSDGsのどの項目に関連するか、該当するかを整理します。

③ 目標を設定する

ステップ2で決定したSDGsへの貢献で取り組む優先課題に対し、具体的な成果の目標を設定します。期限やKPI(主要業績評価指標)を決定し、目標達成に向けた進捗度を図れるようにします。

④ 経営へ統合する

実際に事業にあてはめて行動を開始するステップになります。設定した目標を企業へ定着させるには、経営者のリーダーシップが重要になってきます。社内研修やホームページへのSDGsへの取り組みの掲載、SDGsバッジの着用を行う等企業にSDGsへの意識を醸成させていきます。

⑤ 報告とコミュニケーションを行う

最終ステップは報告とコミュニケーションです。取り組んだ事項について、進捗度や達成状況を自社のみならず、周りのステークホルダーに対しても共有することで外部とコミュニケーションを図っていきます。

 

4.おわりに

SDGsは前述の通りビジネスの場においても重要性を増してきていると言えます。SDGsを意識した経営を行うことは、自ずと会社自身も持続可能な状態に繋がる部分もあるともいわれています。環境省の「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」、経済産業省の「SDGs経営ガイド」では、実際の取組事例が紹介されており、これらを参考にしたり、またSDG Compassを活用することでSDGsを企業の経営に取り組んではいかがでしょうか。

ABOUT執筆者紹介

税理士 三河真也

税理士法人マスエージェント

2013年マスエージェント入社、2020年税理士登録。

若手ながら、税務に関する幅広い知識は社員やお客様からの信頼も篤く、税務コラムの執筆なども担当する。現在は事業承継や企業の合併・M&Aなど高度税務の分野で社内の中心となって活躍している。得意分野は法人税・消費税。座右の銘は「努力に勝る天才なし」。 

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