消費税率の引上げと景気条項
税務ニュース
平成26年4月から予定されている消費税率の引上げですが、ここに来ていわゆる景気条項に基づく税率引上げの判断に関心が集まっています。
景気条項とは、消費税率の引上げを規定している税制抜本改革法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律)の附則18条に規定されている「消費税率の引上げに当たっての措置」です。
この附則18条1項では、平成23年度から平成32年度までの平均において、名目の経済成長率で3%程度、実質の経済成長率で2%程度の経済成長に早期に近づけるための措置を講ずると規定し、3項で消費税率の引上げに当たっては、経済状況等を総合的に勘案した上で、施行の停止を含め所要の措置を講ずると規定しています。
内閣府が発表した平成25年1-3月期のGDP成長率の2次速報値は、名目0.6%(年率2.2%)、実質1.0%(年率4.1%)、また8月12日に発表した平成25年4-6月期のGDP成長率の1次速報値は、名目0.7%(年率2.9%)、実質0.6%(年率2.6%)で、名目、実質ともに3四半期連続でプラスとなりました。
ただ、附則18条3項では「種々の経済指標を確認し」と規定しているものの、具体的な指標を明示していません。政府は、来年4月に消費税を増税した場合の影響や景気の腰折れを防ぐ具体策などについて、8月26日から有識者へのヒアリングを行い、この結果を消費増税に踏み切るかどうか判断する際の材料とする予定です。今後、公表される消費者物価指数等の数値も踏まえ、10月上旬を目途に消費税率引上げの可否が判断されると思われます。