正月太りは大丈夫ですか?肥満対策~健康的な体重を維持しましょう
社会保険ワンポイントコラム

日本人において体重に関する大きな健康問題は、中年以降の肥満と、20代・30代女性の痩せです。特に女性の場合、ご自身の理想としている体重が適正体重以下であることも多く、痩せすぎにより低体重児の出生や高年齢になってからの骨粗しょう症といった大きな病気につながりやすくなります。やせすぎの問題については別の機会に譲り、今回は肥満のほうにターゲットを絞って説明します。お正月で体重が増加してしまった方も多いと思います。ご自分の適正体重を知るとともに、肥満の方は対策を取りましょう。
肥満対策は適正体重の把握と毎日の体重測定から
ところで、そもそもなぜ肥満は問題なのでしょうか。
肥満は2型糖尿病・脂質異常症・高血圧・痛風・心筋梗塞・脳梗塞・不妊・膝や腰の関節痛・腎臓病などを引き起こしますし、また癌になる危険を引き起こすことも知られています。今すぐ肥満が大きな病気につながることは考えにくいですが、肥満の状態が5年、10年と続くことでこういった病気になるリスクは徐々に増えていきますので、是非早めに対策を取りましょう。
では、具体的に肥満対策を考えていきましょう。
まずは自分の適正体重を把握します。
身長をmで表し、身長×身長×25を計算します。この値を超えていれば肥満です。例えば160㎝=1.6mの方であれば1.6×1.6×25=64kg。これ以上になると肥満です。
次に身長×身長×18.5を計算します。160㎝ならば47.36㎏です。この値より低ければ痩せです。この二つの数字の間があなたの適正体重です。
さて、肥満は基本的には摂取カロリーが消費カロリーよりも大きくなることによっておきます。ですから肥満対策としては摂取カロリーを抑え、消費カロリーを増やすことになります。これが言うは易く実行するのは極めて難しいことはダイエットにチャレンジしたことがある方なら皆ご存じだと思います。
さてではどこから始めるべきか?まずは体重計を用意するところからです。毎朝必ず歯を磨いたり、化粧をしたり、ひげをそったりしますよね。同じように、洗面所に体重計を置き必ず毎日測定します。できればそれをカレンダーに書き込んでいくといいでしょう。
ここまで準備ができたら、実際に体重を減らしていくことに取り組みましょう。
摂取カロリーの見直しのポイント
摂取カロリーの見直しから考えてみましょう。
日本人の食事の問題点は2つあるとされています。1点目は食品レベルで、2点目は食事レベルです。
食品レベルでは、明らかに不足しているものとして野菜と果物があげられます。
野菜は1日350g、果物は1日100gを目標に摂取しましょう。野菜を350gとるためには火の通った野菜を朝食か夕食にあと一品足すのが効果的です。いわゆる生野菜のサラダは見た目の割に野菜量は少ないです。果物は1日1個を目標に摂取するようにしましょう。毎日実行するのは難しい場合、1週間の間である程度バランスを取るようにします。
ここで重要なのが毎日の体重測定です。体重は1日の間でも1kgの上下はあります。これは体内の水分量の変化によるものです。ですから1日単位で見るのではなく1週間や1か月単位で数字を見ていきます。増加傾向にあるときは、カロリーの取りすぎです。野菜と果物の摂取量を保ったまま、主に炭水化物(ご飯やパン、おかしなど)を減らしていきましょう。特に高齢者においては肉・魚類を減らすと体に必要なたんぱく質が足りなくなりますのでこれらは減らさないようにします。
次に、食事レベルを見直します。1日2回は、主食・主菜(肉・魚など)・副菜(野菜など)がそろった食事をとることが推奨されています。
消費カロリーを増やすコツ
消費カロリーを増やす方法は「いわゆる運動」で、これには2種類があります。日常生活の中で体を動かすこと(身体活動)と、健康づくりのために定期的に行うスポーツやフィットネスなど(運動)です。
ここで最も重要な原則は「どんなに少しの身体活動・運動であっても、やらないよりはやったほうがましである」ということです。ですので、チャンスがあれば少しでも動くようにしましょう。
では理想とされる身体活動・運動量はどのくらいでしょうか。
身体活動については1日8000歩の歩行、またはそれと同じくらいの身体活動を一日1時間というのが推奨されています。今のスマホや一部の腕時計には無料の歩数計がついてますので、それを使うのも一つの方法です。
運動としては、息が弾むくらいの運動を週に1時間行うことが勧められています。軽いランニングや腕立て伏せなどの筋トレなどがこれにあたります。1回に1時間まとめてやる必要はなく、例えば20分ずつ週3日でも構いません。激しい運動はかえってけがの危険も増えますので、自分の能力に合わせて各自調節しましょう。
大事なのはこの先ずっと何十年も続けられる習慣を身に着けることです。それにより努力しなくても適正な体重が保てるようになります。
なお体重が身長×身長×27以上で、高血圧や糖尿病、膝の痛みなどがある方、あるいはそういったデータ異常がなくても体重が身長×身長×35を超える方は、専門医にいくと生活指導ともに食欲を落として体重を減少させる薬を処方される場合があります。健康保険も適用されます。どう工夫しても体重増加に悩んでおり、しかも体重を減らしたいという意欲(この「意欲」の部分が最も大事です)がある人は、大きな病院の「肥満症外来」を受診しましょう。
ABOUT執筆者紹介
神田橋 宏治
総合内科医/血液腫瘍内科医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント/合同会社DB-SeeD代表社員
東京大学医学部医学科卒。東京大学血液内科助教等を経て合同会社DB-SeeD代表。
がんを専門としつつ内科医として訪問診療まで幅広く活動しており、また産業医として幅広く活躍中。




