新規就農の皆さん、農園のPRはしっかりできていますか?
農家おすすめ情報
知ってもらうことが、次の一歩につながる
農業を始めたばかりの時期は、畑作業や販売先の開拓などやることは山ほどあります。その中でつい後回しになりがちなのが「農園のPR」。というよりも、「PRなんて考えたこともない」という方も多いのではないでしょうか。しかし、どんなにおいしい野菜を作っても「知られなければ売れない」のです。畑で作物を育てることと同じくらい大事なのが、自分の農園を知ってもらうことです。PRを怠れば、せっかくの努力も客に届かないまま終わってしまいます。今回は、新規就農の皆さんに向けて、PRで押さえてほしい3つのポイントをお伝えします。
新規就農を武器に変える
「まだ始めたばかりだから、黙っておこう」それは本当にもったいない話です。新規就農者であることは、立派なPR材料になります。タケイファームの取引先はレストランですが、新しい食材や新しい生産者との出会いを求めているシェフは多くいます。就農当初、実績はゼロでしたが、「新しく農業を始めた」というだけで応援してくれる人もいました。大事なのは、「弱々しく言わないこと」。「まだ経験が浅くて…」ではなく、「今年から農業を始め、○○の栽培に挑戦しています!」と胸を張って言いましょう。その熱量こそ、人を引き寄せる力になります。

就農当初、農作業に打ち込んでいた頃
例えば、江戸時代から続く農家を継いだ人が「初心者ですが…」と言うより、「7代目として家業を受け継ぎました」と言ったほうが、はるかに信頼感が増します。同じ事実でも、伝え方ひとつで印象は大きく変わるのです。
品種のストーリーを語ろう
タケイファームが栽培している「フィレンツェ」というイタリアの品種を例に説明します。今まで50品種ほどのナスの品種を栽培してきました。千両2号などスーパーで見かける普通のタイプのナス、水ナスや賀茂ナスなどの地場ブランドのナス、白、緑、ゼブラ模様などの色が珍しいナス、長いもの、丸いものなど形の変わったナスなど。現在栽培しているナスは「フィレンツェ」のみです。なぜならば、今のところ僕の中で「フィレンツェ」を超えるおいしいナスがないからです。新しい品種のナスは毎年のように出てきますので、今年もフィレンツェに似たタイプを2品種栽培して味の比較をしましたが、「フィレンツェ」を超えるナスはありませんでした。

イタリアのナス「フィレンツェ」
品種のPRをするときは、
- 見た目(特徴)
- 味(どんな風味か)
- おすすめの食べ方
この3点セットで伝えると効果的です。
ジャガイモの「キタアカリ」も、「男爵より糖度が高く、マッシュポテトやフライドポテトにぴったり」と説明すれば、客の記憶に残ります。ただ「おいしい」ではなく、「なぜその品種を選んだのか」を語ることが価値を生むのです。

品種によって味わいが変わるジャガイモ料理
取引先の情報で信頼を生む
自分の野菜をどこに販売しているのかを伝えることは信頼感を生みます。「この農園の野菜は、○○レストランや○○ホテルで使われています」と言えば、それだけで品質の裏付けになります。
もちろん、まだ取引先が少ないうちは「○○マルシェに出しています」「地元の直売所で販売されています」でも構いません。重要なのは、「自分の野菜がどこで活躍しているのか」を客にイメージさせることです。販売場所が直売所やイベントでも、その写真を載せれば十分なPRとなります。
タケイファームの場合、取引先のシェフが料理の写真やメニュー名をSNSで紹介してくれました。それが新しい取引につながったのです。もし可能であれば、取引先との関係を写真付きで発信し、自分の野菜が料理になった姿を見せることができればさらに効果が出てきます。これにより、あなたの野菜は「畑の産物」ではなく、「料理の素材」という具体的な価値に変わり、それを求める人たちが増えてきます。

シェフの手で一皿の料理に生まれ変わった野菜
PRは「もうひとつの栽培」
PRは、畑で作物を育てるのと同じく、毎日の積み重ねです。あなたが語り、伝えただけファンは増えていきます。
作物と一緒に、自分のストーリーも育てていきましょう。その一歩が、あなたの農業を未来へつなげていく力になります。今日から、あなたのPRを育て始めてみませんか。
ABOUT執筆者紹介
武井敏信
タケイファーム代表。「営業はしない」がポリシー。今まで350種類を超える野菜を栽培し、年間栽培する野菜は約140品種。独自の販売方法を生み出し、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売している。趣味は食べ歩き。一般社団法人Green Collar Academy理事。青山学院大学ABS農業マーケティングゲスト講師。京都和束町PR大使。