雇用調整助成金の特例措置のポイント
税務ニュース
いまだ感染拡大が予断を許さない新型コロナウイルスですが、巷では様々な新型コロナ関連助成金の情報で溢れています。今回はその中でも特に問い合わせが多く、新型コロナ関連助成金の定番とも言える「雇用調整助成金の特例措置」についてご説明したいと思います。
今回の特例措置のポイントは5つです。
- 助成率が最大10割になった
- 上限額が15,000円になった
- 上限引き上げ前の申請済み分についても、差額が清算される
- 過去分を遡って増額しても、差額を申請できる
- 申請書式が簡素化され、申請しやすくなった(特に概ね20名以下)
詳細は以下の通りです。
雇用調整助成金の特例について
新型コロナウイルスの影響で、事業活動を縮小し、業績が悪化した企業の従業員の雇用を守るためにできた特例です。通常の雇用調整助成金とは、受給できる上限金額や助成率が大きく異なります。
※特例措置の期限は令和2年4月1日~令和2年9月30日とされていましたが、8月28日に厚生労働省が令和2年12月31日までに延長することを発表しました。
支給対象の事業主
支給対象となる事業主は以下の要件を満たすすべての業種の事業主です。
- 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
- 最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。 - 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
助成対象の労働者
事業主に雇用され、休業手当の支給を受けた雇用保険被保険者
※学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。雇用調整助成金と同様に申請可能です。
助成額・助成率
助成額=(平均賃金額 × 休業手当等の支払率)× 助成率(1人1日あたり15,000円が上限)
助成率は以下の通りです。
区分 | 大企業 | 中小企業 |
---|---|---|
新型コロナウイルスの影響を受ける事業主 | 2/3 | 4/5 |
解雇をしていないなどの上乗せ要件を満たす事業主 | 3/4 | 10/10 |
支給までの流れ
- 休業等の具体的な内容を検討し、休業に係る労使協定を締結
- 計画届に基づいて休業等の実施
- 休業等の実績に基づき支給申請
- 労働局にて審査
- 支給決定
期間の延長に関してはまだ反映されていませんでしたが、厚生労働省の特設ページに詳細が記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
令和2年12月31日までの特例措置の延長が発表されたものの、執筆時点現在において、まだ詳細は公表されていません。あくまでも緊急対応の一時的な措置ですので、段階的に縮小されていくものと思われます。
助成金を活用して、御社の事業が一日も早く正常化されることを願っております。皆でこの難局を乗り切りましょう!
中山 卓 社会保険労務士 社会福祉士 キャリアコンサルタント 静岡県三島市出身。静岡東部の会計事務所にて、主に福祉関係の顧問先を数多く担当。2013年より独立開業し、静岡、神奈川、東京を中心に顧問先約120社超。2017年より放課後等デイサービス事業を立ち上げ、発達に課題を抱える児童の通所支援事業にも携わる。また、社会保険労務士による日本初の法律系ロックバンドWORKERS!のリーダーとしても活躍中。「ロックで伝える社会保険」をテーマに社会保険、労働法をわかりやすく伝えるための活動を行っている。ABOUT執筆者紹介
中山福祉労務サポート 代表
株式会社エンパワーメント・ジャパン 代表取締役
一般社団法人インターナショナルハウスふじやま 代表理事
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