会計事務所がお伝えするDXを始める第一歩
税務ニュース
DX(デジタルトランスフォーメーション)につきましてはすでに承知の方もいらっしゃることと存じますが、「よくわからない」「これから調べようと思っていた」という方のほうが多いのではないでしょうか。このキーワードは間違いなくこれからの企業経営者に突き付けられる重要課題のひとつになると断言します。DXを簡単にいいますと「デジタル化による変革」です。ここ数年で皆様の周りで変わったことはないでしょうか。例えばお客様や社内でのコミュニケーション方法、例えば勤怠管理の方法。これまではメールや電話で行っていたものがチャットツールに変わっていないでしょうか。これまでは紙に打刻していたものが指紋認証やPASS認証に変わっていないでしょうか。これらはすべてDXの取り組みの一つなのです。
ここで皆様がこれらの取り組みを真のDXにつなげるために大切なことを一つお伝えいたします。それは「一連の業務のつながりを考えること」です。メールや電話、紙で行われていたものはそこに記載された情報が基本的に共有されません。転送や録音、コピーといった方法はありますがこれらにはひと手間要します。よりアナログな報告・連絡・相談の場合は主観の介入や漏れがあり正確に伝わることはほぼないでしょう。これらのひと手間や不正確さから生まれる忙しさや煩わしさに頭を悩ませた経験は一度や二度ではないかと思います。もし初回の情報が、必要なさまざまなものと繋がったらいかがでしょうか。それだけ想像しても快適な環境が描けるのではないでしょうか。
DXはさまざまなITツールを使ってデジタライズされた新たな業務環境を構築します。それによって生まれるイノベーション、新しい価値を持った製品・サービス、そしてより快適な働き方、それらすべてがDXなのです。DXによって、オフィス業務は効率化されていきます。同時に店舗・工場・作業場といった現場の業務もより安全に、より快適に改善し、生産性を上げていくことができます。これは中小零細企業の将来にとって必要不可欠な変革なのです。
先に述べたようにDXは「デジタル化」による「変革」です。つまりただのデジタル化では意味を成しません。「変革」=「変える」ことが必要なのです。
以下に「行動」「知識と経験」「モノ」という3つのキーワードにつきDXでどのように変えることができるかを考えてみたいと思います。
(1)行動を変えて人材活用
今まで会社に来なければ仕事ができなかった。
これをテレワークにしてどこでも仕事ができるように「行動を変え」ます。
たとえば怪我をして外出できない社員、子どもや高齢者の世話をしなくてはならない社員、何かの事情で自宅にいなくてはならない社員、または遠隔地にいる社員など、これまでなら活用できなかったそれぞれの能力を、無駄にすることなく仕事をしてもらうことができます。
(2)知識・経験を変えて共有財産化
口頭で伝えていたオペレーションの手順を誰でも分かるようにマニュアル化する、特定の営業マン秘伝の、顧客別対応法を共有データにする。
これは「知識・経験を変える」ことになります。
知識・経験の豊富な社員は大切な会社の財産――まさしく「人財」ですが、その人財がいつまでもあなたの会社にいるとは限りません。今の時代、転職・退職は普通に起こり得ます。その時、その人の中にある会社の財産をまるまる失うことにならないよう、できるだけ「共有財産化」をしていきましょう。
(3)モノを変えてキャパシティ拡大
(2)と関連して、書類でのやり取りを電子データにする。
これは「モノを変える」ことです。大半の中小企業にとって書類は「お荷物」です。オフィス空間を埋める占有率や、処理に費やす時間は半端ではありません。しかも中には二度と使わない「ゴミ」も混じっています。それらをデータに置き換えて管理できれば、オフィスはすっきりし、空間的にも時間的にも、そしてあなたや社員の脳内にも余裕が生まれるはずです。余裕が生まれれば、それぞれが処理できるキャパシティは広がります。業務を刷新し、新たなステージを目指すなら、そのキャパシティから生まれる効果にも想像力を巡らせてみましょう。
まだまだ聞きなれないDXという言葉はとっつきづらいものかもしれません。しかし、近い将来当たり前の言葉になります。皆様におきましては臆することなく前向きに取り組んでいただきたく思います。最後にDXの真の目的はDX後の課題解決、快適な環境、会社の発展にあります。導入が目的ではありませんので自社にあったものから始めてみることをお勧めします。
税理士 小嶋 純一 大学卒業後、税理士法人中山会計にて常務社員税理士を務める。相談しやすさNo.1を体現する税理士として、自社の経営の実践並びにお客様の経営サポートを兼務。M&Aスペシャリスト及びM&Aシニアエキスパートの資格を有し、事業承継の出口をサポートするコンサルティングを15年来推進。保険会社・銀行・商工会議所・各士業等とのタイアップによるセミナーなど全国で多数講演。身近な相談窓口として活動中。ABOUT執筆者紹介
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