30 October

なんでうまく充電できない?USBケーブルと充電器のトラブル

掲載日:2024年10月30日   
IT・ガジェット情報

ガラケーの頃は、本体を購入すれば必ず専用充電器が添付されてきました。だから「うまく充電ができない」なんてことはめったにありませんでした。しかし現在は「充電器は別売」というスマホが多く「うまく充電ができない!」「みんなより充電時間がかかっているみたい……」「スマホは充電できるのに同じコネクタのパソコンは充電できない!」「スマホは充電できるのにBluetoothイヤフォンが充電できない!」 などさまざまな症状を引き起こしています。

これらの原因は、充電器と充電ケーブル、そしてコネクタの組み合わせの問題です。とはいえ組み合わせは、何百通りもあるので、ときにうまく行ったり、なかなか直らなかったりで「寝ている間に充電できるからOK」「会社の充電器だとうまく行くから……」とそのまま放置している人が多いようです。

ここでは五里霧中だった原因をスッキリさせ「何を交換したらうまく行く」か白黒つけましょう!家電おじさんが、快適なスマホライフになるように手助けします!

スマホの充電に3時間以上時間がかかる!

おそらく一番多いお悩みが、充電に時間がかかるという問題です。モバイルバッテリだと1時間で充電できるのに、自宅のコンセントから充電すると3時間以上かかって不便という人はいませんか?

ほとんどの原因は、USB-ACアダプタが古い仕様で、大容量電池を搭載したスマホに適合していないという場合です。

そんなときはUSB-ACアダプタの裏に、細かな字がたくさん書いてありますが、ルーペやスマホの拡大鏡機能を使って調べてください。

「出力」や「Output」、中国製だと「輸出」と書いてあるのが、USBから出力できる最大値です。「5V 1A」(5ボルト、1アンペア)というように印刷されていますが「A」(アンペア)に注目します。

出力に5,9,12Vのように複数の電圧が表示されているUSB-ACアダプタもあり、スマホを急速充電できます

コラム:AとmAの変換機器によっては「A」表記でなく「mA」表記になっている場合があります。1A=1,000mAなので「500mA=0.5A」となります。

まずこの「A」の値が大きいほど充電が早くなると覚えてください。「1A」の場合は、スマホをフル充電するのに「4時間以上」かかります。「2.4A」の場合は少し早く「3時間程度」かかります。またガラケー時代にほとんど滅びたと思いますが、物持ちのよい方だと「500mA」と書かれているものをお持ちかも知れません。

これを使うと「フル充電まで8時間」かかります。さすがに寿命も近いので「500mA」は間違えないように捨ててしまって、買い替えた方がいいでしょう。また100円ショップで売られているものは、熱くなるなどでオススメできません。必ず家電量販店で購入してください。

また人によってはケーブルを接続しなくても、充電台に掛けておくだけで充電できる「無線充電」を使っている場合もあるでしょう。こちらもコンセントのUSB-ACアダプタの出力に応じて、ケーブルを使った充電と同じような時間がかかります。

まとめると以下のようになります。

USB-AC アダプタの出力 フル充電までの時間
5V 500mA 8時間
5V 1A 4時間以上
5V 2.4A 3時間程度

無線の充電台を使っている場合は「入力」に示されている「5V 1A」や「5V 2.4A」の指示にしたがって、正しいACアダプタを使ってください。これで充電時間は数時間早くなることがあります。

TYPE-CコネクタのスマホならTYPE-C出力のUSB-ACアダプタに買い替え

ここ2.3年のスマホは、充電のコネクタが変わっています。iPhoneをお使いの方なら、これで充電器を買い替えたという方も多いでしょう。Androidの方は、徐々にコネクタが変わってきたので、変換コネクタを使って充電しているという方も多いと思います。その新しい充電コネクタは「USB TYPE-C」コネクタといい、次のような指し込みとコネクタになっています。

両端がUSB TYPE-Cのケーブルが必須

スマホを充電するにも、モバイルバッテリを充電するにも、同じUSB TYPE-Cのコネクタにケーブルを差し込む

TYPE-Cコネクタを持つスマホなら、充電器やモバイルバッテリ、またそれぞれを接続するケーブルもUSB TYPE-Cコネクタを持つものに統一することをオススメします。

以前はUSB-ACアダプタやモバイルバッテリ側は、大きく四角い昔ながらのUSBコネクタでした。しかし最近は互換性のために従来型の大きなUSBコネクタに合わせて、スマホと同じTYPE-Cコネクタを持っています。

最近のモバイルバッテリは、TYPE-Cコネクタと旧USBコネクタ、充電用の小さい旧USBコネクタがついている。TYPE-Cコネクタがある場合は、スマホに充電するときも、モバイルバッテリを充電するときも同じTYPE-Cコネクタにケーブルを差すだけでいい

したがって充電用のケーブルは、両方がTYPE-Cの指し込みになっているケーブルを選びます。これまでは電力を送る側が大きいコネクタ、電力を受け取る側が小さいコネクタと使い分けていました。しかしTYPE-Cコネクタなら、電力を送る・受けるに関係なく双方をTYPE-Cケーブルで接続するだけで充電が始まります。

実はケーブルを指し込んだ瞬間に、スマホとUSB-ACアダプタ(モバイルバッテリ)間で「私は受ける側です」「僕は受けも送りもできます」と通信します。スマホは電力を受け取ることしかできないため、必然的にモバイルバッテリは電力を送る側にモードを切り替えます。

ここでモバイルバッテリにスマホではなく、USB-ACアダプタを接続すると、USB-ACアダプタは電力を送信しかできないので、モバイルバッテリは必然的に電力を受けることになり、同じTYPE-Cコネクタから充電ができます(モバイルバッテリ同士をつないだ場合は、充電の向きは不定となります)。
USB TYPE-Cで統一すると、指し込みをいっさい気にすることなく使えるので非常に便利です。

「PD」対応ならスマホとパソコンの充電器を共用OK!

2023年製のノートパソコン辺りから、充電コネクタが今までのDCジャックタイプからUSB TYPE-Cに変わってきました。2024年以降のノートパソコンはほとんどがTYPE-Cになっています。

つまりスマホとノートパコンのUSB ACアダプタを共用できるのです。試しにパソコン用のUSB-ACアダプタをスマホに差し込んでみてください。可能な限り最速で充電できるので、1時間そこそこでスマホがフル充電できます。もちろんスマホが壊れることもありません。

今度はスマホ用のUSB-ACアダプタをノートパソコンに指し込んで充電してみると……。パソコンに添付の充電器よりかなり時間がかかります。パソコンを使いながら充電すると、内蔵バッテリがどんどん減ってしまうほどです。

このようにスマホでもパソコンでも急速充電できるUSB-ACアダプタがあり「USB PD対応」として販売されています。今から購入するなら必ず「USB PD対応」にしましょう。USB-ACアダプタが「USB PD対応」かどうかを確認するには、本体の「出力」や「Output」を見ます。ここに「5V,9V,12V」のように複数の電圧と電流が記載されている場合は「USB PD対応」です。

これはスマホとパソコン両方を急速充電できるアダプタ

USB PDに対応しているものには、必ず総出力のW数が表記されている。スマホだけなら20W、ノートパソコンだけなら65W、同時に充電するなら100Wのアダプタが必要

スマホ用とパソコン用USB-ACアダプタの違いは「W数」(ワット)違いです。スマホ専用の場合は「20W」と書かれているUSB-ACアダプタで問題ありません。しかしノートパソコンを充電するには「65W」が必要になります。

また旅先などでスマホとノートパソコンを同時に充電する場合は「100W」以上が必要になります。W数が大きくなるとACアダプタは重くかつ価格も高くなり、100Wだと安くても5000円ぐらいします。安く・軽く済ませるなら65WのUSB-ACアダプタを使い就寝前にスマホを充電して、就寝と同時にパソコンを充電するというように工夫するといいでしょう。

なお100WのUSB-ACアダプタの充電能力を100%ノートパソコン用に全振りする場合(充電しながら3Dゲームするなど)は、100W充電用ケーブル(両TYPE-Cコネクタ)が必要になります。一般のケーブルを使うと65Wに制限されるので注意が必要です。一般の方はあまり使わないハズなので、知識として知っている程度でいいでしょう。

スマホは充電できるのにBluetoothイヤフォンが充電できない

最近はBluetoothイヤフォンをはじめデジタルガジェットがUSB TYPE-Cコネクタで充電できるようになりました。それだけでは飽きたらず、調理家電や美容家電までTYPE-Cで充電できます。

でもいつものUSB-ACアダプタとUSB TYPE-Cケーブルで接続すると充電ランプが点かないという場合があります。一般的にTYPE-Cケーブルは差し込む向きがなく、上下どちらに差しても使えるのですが、安い機器によっては充電回路が簡略化され、上下どちらかしか正しく接続できない場合があります。

TYPE-Cコネクタを上下さかさまにすると充電できる場合がある

もしTYPE-Cコネクタを差し込んで充電ランプが点かない場合は、コネクタの上下を逆に指し込んでみてください。これでほとんどの場合は充電が始まります。それでも充電が始まらない場合は、イヤフォンなどに添付されてきた、昔の大きなUSBコネクタ-USB TYPE-Cコネクタを使って充電します。これも指し込みの上下で充電できない場合があるので注意しましょう。

2024年下半期になってから、このような指し込みの向きで充電できないという機器は少なくなりつつあります。将来的には全滅すると思いますが、充電できない現象の対処方法を覚えておくと役立つでしょう。

全部、一口で「2.4A」?変換コネクタと長いは悪!

他にもUSBで注意したいのは、複数の差込口があるUSB-ACアダプタの出力です。必ず出力「5A 2.4A」という具合に書かれていますが、それが「2口の指し込み合わせて」なのか、「1口当たり」あたりで大きく変わってきます。2つ合わせてだとスマホを2台同時充電したときは、1台当たり1.2Aしか取れないので充電に4時間以上かかります。しかし1口当たり2.4Aとなれば2台同時でも3時間程度で済むのです。最近は「A」表記ではなく、「全体のW数」で表されるので、2台同時充電をするなら40W以上を選ぶといいでしょう。

このUSB-ACアダプタは、2口合わせて2Aしか出力できなかった!コレ本当によくあるので要注意!

また以前使っていたケーブルを使おうとして、変換コネクタを使う場合があります。しかしこの変換コネクタが曲者で、ケーブルが悪いのか?変換コネクタが悪いのか?はたまたACアダプタが悪いのか?が分かりづらくなるので注意です。変換コネクタより、もともとそのコネクタがついている「旧USBコネクタ-TYPE-Cコネクタケーブル」のようなケーブルを買うのをオススメします。

問題が起きたときに、どこが悪いのかを見つけづらくなるので、変換コネクタは使わない方がいい

最後の注意事項は、できるだけ短いケーブルを選ぶことです。たとえばモバイルとスマホを重ねて充電するような場合は、15cmのケーブルがオススメ、長くても30cmにしましょう。ケーブルが短いほど、モバイルバッテリ→スマホ間のロスが少なくなります。逆に長いケーブルでモバイルバッテリをカバンに入れて、スマホを胸ポケットで充電すると、本来のモバイルバッテリの容量より少なくなるので注意してください。ただUSB-ACアダプタの場合は、ロスしても電気代が高くなるなんてことはありません。コンセントからベッドまで1,2mのケーブルを引いてスマホに充電しても大丈夫です。

モバイルバッテリから充電する場合に限り、できるだけ短いUSBケーブルを使った方がロスが少なく容量一杯を充電できる

お悩みを抱える皆さんに教えてあげてネ!

とにかくUSBの充電に関するお悩みは多いハズです。そして諦めてしまっている人も多いのが現状です。
この記事を呼んでお悩みが解消されたら、ぜひ他の人にも教えてあげてください。

ABOUT執筆者紹介

家電ライター/エンジニア 藤山哲人

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羽鳥真一モーニングショー」「ZIP!」「ゴゴスマ」「イット!」「news every」「Nスタ」などのワイドショーやニュースで節電や省エネを含めた家電などのコメンテーターとして多数の番組に出演。またレギュラーのラジオ番組のほか家電専門媒体「家電Watch」や「現代デジタル」「文春オンライン」などでも、家電やその回りの技術記事を“優しく楽しく面白く”解説している。

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