【家電ライターが解説】飲食店や工場、しっかり洗いたい制服など「職場」におきたい洗濯機
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職場に置く洗濯機どれがいい?
毎日汚れたタオルや制服が出る飲食店、油まみれの作業着が多い工場、軽い汚れだけれどしっかり洗濯したい制服など、業種によって汚れの種類も洗濯の量も変わります。洗濯物が大量にある場合は「洗濯代行業」、制服などでもクリーニングが必要なものは「クリーニング店」に任せる場合もあるでしょう。
ここでは業者に委託するまでもないけど、自社内で洗濯を済ませたいという場合に、どんな洗濯機を購入すればいいかをアドバイスさせていただきます。
<機械系などで油汚れが多い場合>日立 縦型洗濯
機械系の油汚れに一番オススメするのが、日立の縦型洗濯機「ビートウォッシュ」シリーズです。高濃度洗剤を染み込ませたあと、日立独自の大容量ポンプで洗濯槽をかき混ぜながら大量の水を循環させます。また回転する底部のパルセータにより、洗濯物が踊っているかのようにジャンプしながら循環します。
上位モデルには洗剤を自動投入する機能があるので、洗濯に慣れていない方でもスタートボタンを押すだけ。また日立の洗濯機は、茨城県の常陸多賀にある事業所で生産されているので国産という安心感もあり、かつ累計で1,000万台を突破し幅広く使われているのが特徴です。
弱点は乾燥機能が電気ヒーター+水を使うため、乾燥にかかる光熱費がドラム式より高くなってしまう点です。毎日何十回と乾燥させていて敷地が広い場合は、電気代の安いヒートポンプ式の乾燥専用機を購入するのも手でしょう。筆者の計算だと縦型洗濯機で6kgを1日10回20回乾燥すると乾燥だけで1万7300円ほどかかります。一方ヒートポンプ式の乾燥の場合同様に使っても9,500円でほぼ半額と見ていいでしょう。
<毎日何十回も乾燥させる場合>ヒートポンプ式乾燥機能
縦型洗濯機は乾燥機能を使うと電気代+水道代が高くつくので、もう1台の置き場所が確保できるならヒートポンプ式の乾燥専用機を購入するといいでしょう。ただ市販の乾燥専用機は、ドイツ製ミーレのドラム式衣類乾燥機だけなので47万円と値が張り、それ以外では業務用機になってしまいます。そこで30万円以下で購入できるドラム式の洗濯乾燥機(12~11kgクラス)を購入して、乾燥機能だけを使うという手もあります。先の計算では月額で7,500円の差が出るため1年間で9万4千円、3年使うと電気代と水道代の差額だけでドラム式洗濯乾燥機の元は取れる計算です。
さらに洗濯が終わったら乾燥機に移せるので、次々洗濯ができ時短にもなります。
<泥汚れや水溶性の汚れが多い場合>AQUA 縦型洗濯機
頑固な泥汚れや水溶性の汚れが多い場合は、油汚れも落とせる日立の「ビートウォッシュ」シリーズもオススメですが、それより安価なAQUAの縦型洗濯機がオススメです。国内最大の14kgまで用意されており洗剤自動投入機能を備えています。また部分的着いた頑固な汚れは超音波で予洗いできるのが特徴です。飲食店や白衣などは液体が飛散した汚れなどに便利でしょう。
AQUAは元三洋電機で、中国資本が入ったものの設計・品質管理などは国内で行っています。さらにコインランドリー用の洗濯機では国内トップの70%を締めていて、汚れ落ちには定評があります。ホテルや病院用の業務用洗濯機としても数多く導入されており、そのロゴを見たことがある方もたくさんいるでしょう。弱点は温風と水を使わない簡易乾燥機能なので最後の干し作業が必要になります。乾燥機は別途、専用機やドラム式選択乾燥機を使うという手もあります。
<軽い皮脂汚れが中心の場合>パナソニック/東芝 ドラム式洗濯乾燥機
制服や事務作業服など軽い汚れの洗濯ならドラム式洗濯乾燥機がオススメです。洗濯から乾燥まで一気にできるのが特徴ですが、縦型洗濯機のように水流を使って衣類を擦り合わせて洗うことができません。ドラム式は叩きと揉み洗いが中心なので、油汚れや頑固な泥汚れなどは不得意です。また構造上の問題で乾燥機能が(通常の過程で使って4年が目安)壊れやすいという点があります。
これを克服したのがパナソニックで、ドラム式洗濯機の中では群を抜いた人気を誇ります。価格によってモデルがいくつかありますが、洗浄・乾燥機能はほぼ同じで、高級機には洗剤自動投入や使いやすい液晶パネル、おしゃれ着や温水付け置き洗いなどが追加されています。
また東芝の最上位モデルのドラム式も乾燥機の自動洗浄機能があり故障しづらい構造になっています。さらにウルトラファインバブルという目に見えない極小の泡を使うことで、ドラム式ながら油の洗浄力が高いのが特徴です。飲食店の油の跳ね汚れなどに効果的でしょう。
<縦型洗濯機でも節水したい場合>シャープ 縦型洗濯機
一般的な縦型洗濯機は、洗濯槽の横に脱水用の穴が空いています。そのため洗濯槽の外側の見えない部分にもう1槽を持って入るため、洗濯槽と外側の槽の隙間にも注水します。しかしシャープの縦型洗濯機は洗濯槽に穴がなく、シャープ独自の方法で穴なし槽でもシッカリ脱水が可能です。
これによって11kgの洗濯機の場合、一般的な洗濯機では150リットルの水を使いますが、シャープの穴なし槽は115リットルと35リットルの節約が可能です。またすすぎの際に水の汚れ具合をセンサーで調べ、十分にすすげていた場合はすすぎ回数を減らし節水をします。1日10回20日間で計算すると7,000リットル節約でき5200円の節約ができます。
※水道代は上下水道を合わせて1m3あたり749円としています。
※電気代は1kWhあたり31円で計算しています。
洗濯機も個性色々。目的に合った物を選びましょう!
いかがでしたでしょうか?汚れ落ちを重視していて、特に油汚れなら、大量の水で洗濯物同士をこすり付けて洗う縦型洗濯機がオススメです。難点は乾燥機能のランニングコストです。軽い汚れならドラム式にすると乾燥までボタン1つで済みます。乾燥は縦型洗濯機の約半分のコストです。
他にもいろいろご紹介したように、洗濯機は同じように見えて実は個性的なので、業務にマッチした洗濯機を選んでください。
ABOUT執筆者紹介
家電ライター/エンジニア 藤山哲人
「羽鳥真一モーニングショー」「ZIP!」「ゴゴスマ」「イット!」「news every」「Nスタ」などのワイドショーやニュースで節電や省エネを含めた家電などのコメンテーターとして多数の番組に出演。またレギュラーのラジオ番組のほか家電専門媒体「家電Watch」や「現代デジタル」「文春オンライン」などでも、家電やその回りの技術記事を“優しく楽しく面白く”解説している。
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