オフィスにオススメの加湿器！どこに置いて、何に注意する？
IT・ガジェット情報
オフィスの暖房はほとんどがエアコンです。石油やガスファンヒーターなら、燃料を燃やすことで水分が発生するので、加湿する必要はありません。たとえば石油の場合だと1Lを燃焼すると、約1Lの水が発生するからです。
最近は極まれですが、ビル空調で集中的に加湿して全館に温かくしながら加湿するビルもあるようですが、ほとんどが温風を送るのみで乾燥しています。
ここではオフィスで使いたい加湿器をご紹介します。
一般家庭向けと少し勝手が異なる大型加湿器
マンションを事務所にしているSOHOをはじめ、20畳以下の事務所を加湿する場合は、一般家庭用の加湿器が利用できます。加湿する方法によって4タイプに分けられ、それぞれに特徴があります。
気化式
加湿速度：× 電気代：◎ お手入れ：〇
電気代がいちばん安く（家庭用だと1日10円未満）、オフィス向けの中心。部屋干しと同じ加湿方法なので、加湿速度は遅い。お手入れは週1で気化フィルターと水受けの掃除が必要。
気化式は本体価格も電気代も安くお買い得だが、広い部屋を加湿するためには時間がかかる
超音波式
加湿速度：〇 電気代：〇 お手入れ：×
電気代は気化式の2倍ほどで、家庭用だと1日20円未満。霧吹きでミストを撒くのと同じ方式なので加湿速度は速いが、安い製品だとミストが大きくて加湿器の周りが水でビショ濡れになる。欠点は毎日のお手入れ。
超音波加湿器はミストが見えるので加湿している感はあるが、水滴が見えるほどミストが大きいため、空気に溶けず加湿器のまわりの床が濡れることも
スチーム式
加湿速度：◎ 電気代：× お手入れ：◎
電気代は1日100～200円程度。形から分かる通り湯沸かしポットと同じでお湯を沸騰させて加湿する。事務所向けの大型器がほとんどなく、いちばん大きなものでも20畳以下がメイン。複数設置すると電気代が負担になる。
電気ポットから給水口を外したようなスチーム式。シーズン中のお手入れはほぼ不要で一番安全性が高い。しかし熱い蒸気が出て危険な点と電気代が高い点がデメリット
ハイブリッド式
気化式は温風をあてて加湿速度を向上させたハイブリッド。家庭用なら1日50円未満。急速に加湿するときだけ、部屋干しにドライヤーを当てて、湿度が上がったら部屋干しと同じになる。超音波式は温風を当てる方式と、水を温める方式がある。どちらも1日100円未満程度。
気化式と似ているが内部にヒーターを持っており、急速に加湿が必要なときは温風で急速加湿する。超音波のミストを温めで空中に散布し空気へ溶けやすくする超音波＋温風のハイブリッドもある
スチーム式の加湿器はメンテナンスがほとんどいらずに便利なのですが、一般家庭向けのモノしかありません。20畳以上のオフィスに設置するなら、気化式か超音波式の加湿器が、そのハイブリッド版になります。
加湿するとエアコンの電気代削減にもなる
冬は湿度が10～20％まで下がるため、のどや鼻を痛めがちです。飛行機に乗ると飲み物やおしぼりが提供されますが、これは機内の湿度が10％とパサパサだからです。最近は加湿する飛行機もあるので、おしぼりサービスがなくなったエアラインもあります。
また加湿器で湿度を高くすることで、体感温度を2℃ほど高くできます。普段エアコンの設定温度を25℃にしている場合は、加湿器を併用することでエアコンの設定温度を23℃にしても体感温度が25℃になるので、電気代を節約できます。
加湿器をつけると体感温度が2～3℃上昇する。逆に言えば、エアコンの設定温度を2～3℃下げられるので、電気代の節約になる（AI生成イラスト）
オススメのオフィス向け加湿器
ここでは20畳以上100畳未満のオフィス向けの加湿器をご紹介します。店舗やビルのフロアまるごとなど100畳を超える加湿器は、水道工事などが必要になる業務用機になるため割愛しています。
パナソニック｜気化式｜FE-KXF/KXP
パナソニックのオフィス向け気化式加湿器。FE-KXFは42畳までのモデルで9.5Lタンクを2つ持ち、連続6時間の運転が可能となっている。FE-KXPは6Lタンクを2個持ち、56畳モデルと64畳モデルがある。どちらもダブルタンクなので、腕力がない方でも簡単に水タンクを給湯室まで運んで給水できるのが特徴。またカビやウィルスの抑制に効果があるナノイーも搭載している。
パナソニックの気化式加湿器（FE-KXP23）。64畳（106㎡）まで加湿できる。風量「中」で1カ月の電気代は134円
山善｜スチーム式｜スチームファン式加湿器
大空間のオフィス用では珍しいスチーム式でファンを内蔵することで、広い空間を加湿できる。33畳と42畳モデルがあり。また給水は水タンクを給湯室まで運ぶ必要はなく、やかんやバケツで運んできた水を本体上部のフタを開け注ぐだけでいい。
安価な家電を提供する山善から発売されている、オフィス用では珍しいスチーム式加湿器（KSF-N15C）。1カ月の電気代は公表されておらず天気によっても左右されるが、このクラスだと2,400円前後と言われている
ダイニチ｜ハイブリッド（気化式）｜PN・PCタイプ
PNタイプは家電量販店で購入できるモデルで、PCタイプは事務用品などの業者経由で販売されているモデルです。42，50，最大67畳までに対応しています。ハイブリッド式なので土日は電源を切っても、月曜の朝に電源を入れると素早く加湿してくれます。湿度を50～70％の間で調整ができるので、インフルエンザ予防も考慮して60％で使うのがオススメです。
ダイニチのオフィス向けハイブリッド加湿器（HD-PN245）。最大67畳（110㎡）まで加湿できる。急速に加湿しなければ気化式とほぼ同じ電気代
コロナ｜ハイブリッド（気化式）｜UF-HSシリーズ
ファンヒーターでお馴染みのコロナが発売している、オフィス向けのハイブリッド（気化式）の加湿器。21，27，33畳用のモデルがある。気化フィルターが特殊形状をしているので、他に比べるとコンパクトでデザイン性にも富んでいる。また水受けには除菌効果のある紫外線LEDが入っている。さらに大空間用でコンビニ1店舗など100畳以上に対応できる業務用加湿器＋空気清浄機なども扱っている。
石油ファンヒーターでお馴染みのコロナが発売している、おしゃれなハイブリッド加湿器。最大33畳（55㎡）まで加湿できる。10人規模のオフィス向け
シャープ｜気化式＋空気清浄機｜KI-UX100
一般家庭用で人気の空気清浄機と加湿器が一体化したモデルのオフィス向け。加湿器は23畳まで、空気清浄機は46畳まで対応している。ウィルスの抑制にも効果があるプラズマクラスターを内蔵しているので、オフィスの空間除菌にも効果がある。またネットワークに接続すると、天気予報などと連携し加湿運転や空気清浄機の自動運転などができる。
一般家庭で人気のプラズマクラスター内蔵の空気清浄機＋加湿器。空間除菌と空気清浄機、加湿器の複合機（KI-UX100）。最大46畳（76㎡）まで加湿可能。複合機は季節ごとのお手入れを怠ると、空気清浄機からカビを放出してしまうので注意
プルガティオ｜超音波式＋空間除菌機｜moya Ultra
プルガティオは加湿器でも有名な元デザイン家電メーカーの取締役が起した会社で、この製品はゼネコンの安藤はざま組と協力して開発している。特徴的なのは、水を純水に近くするフィルターを内蔵し、加湿器として機能するのはもちろん、純水を極小さなミスト化することで滝の近くで発生するマイナスイオンを放出。これにより塩素などを使わずにも空間除菌ができる。安全性が求められるペットや高齢者、病院や託児所を併設しているオフィスなどで非常に有効。
超音波式の加湿器プルガティオ社のmoya Ultra。同社独自の技術で加湿用のミストにイオンを付着させ、加湿と同時に空間除菌もする。インフルエンザやカビ対策にも有効
設置場所と効率よく使うための工夫
人は気温には敏感ですが、湿度には鈍感でパサパサに乾くか、梅雨のようにべったり湿っていなければ感じることができません。また湿度は目に見えず、体感もできないので、どこまで加湿されているのかも分かりません。
ここでは加湿器の設置場所や湿度の特徴などについて説明します。
湿度はそこに留まる
湿度は発生した場所に留まります。つまり加湿器の周囲は湿度が高くなりますが、加湿器から離れると湿度は低くなります。また気温と同じように、家具や什器などに囲まれた場所によどみます。
部屋全体に湿度を行き渡らせるには、エアコンの吹き出し口から出る気流に乗せて拡散するようにします。
写真は極端にした例ですが、無風状態だと水蒸気は加湿器の周りに留まるので、風を当てて部屋全体に拡散することをオススメします（AI生成画像）
サーキュレーター併用も効果的
エアコンの気流が届かない場所や複数台の加湿器を設置する場合は、扇風機やサーキュレーターを併用して部屋全体に湿度を行き渡らせるようにしましょう。
サーキュレーターやエアコンの風を利用して、留まっている水蒸気を部屋に拡散すると効果的（AI生成画像）
超音波やスチーム式はエアコンや電子機器から離す
超音波式やスチーム式は、水分が立ち上り近くに電子機器などがあると結露します。結露は電子機器の故障につながるので、エアコンやテレビの真下などに置かないようにします。またオフィスでは、共用のプリンタやコピー機、パソコンに加湿器の水分がかからないようにします。
窓や外壁に面した冷たい場所に置かない
せっかく加湿しても冷たい窓や壁があると、部屋の空気に湿度が溶け込む前に窓や壁で結露してしまいます。できるだけ結露しない場所に設置しましょう。
冷たい窓際や壁際に加湿器を置くと、せっかく発生した湿度が結露してしまうので離して設置（AI生成画像）
湿度計を数か所設置して湿度ムラを視覚化
湿度のムラは人間の感覚器では把握できません。大きなオフィスでは、100円ショップで購入できる湿度計を空気がよどみそうな場所に置いて、湿度を可視化するといいでしょう。ムラを見つけたら、サーキュレーターなどを使って湿度を攪拌してやります。
デジタル式の湿度計は反応が早いので、部屋中も持って回って湿度マップを作るのもいいでしょう。
部屋の複数箇所で湿度を測って、湿度にムラがないかを確認すると、サーキュレーターの置き場所などを検討するのに役立つ（AI生成イラスト）
ABOUT執筆者紹介
家電ライター/エンジニア 藤山哲人
「羽鳥真一モーニングショー」「ZIP！」「ゴゴスマ」「イット！」「news every」「Nスタ」などのワイドショーやニュースで節電や省エネを含めた家電などのコメンテーターとして多数の番組に出演。またレギュラーのラジオ番組のほか家電専門媒体「家電Watch」や「現代デジタル」「文春オンライン」などでも、家電やその回りの技術記事を“優しく楽しく面白く”解説している。
テレビアニメ「宇宙人ムームー」放送開始！筆者が技術監修する「家電」＆「ラブコメ」＆「宇宙人」マンガが2025年4月からテレビアアニメとして放映！家電のしくみや技術をアニメで笑いながら分かりやすく解説します。BS11、TOKYO MX、MBS他、ネット配信
