[起業応援]コロナ禍でオープンしたボードゲームカフェの「勝ち筋」を探る!
起業応援・創業ガイド
起業応援インタビューの第7回は、千葉駅近くのボードゲームカフェ『VANQUiSH』です。最近流行りのボードゲームカフェの経営実態について、代表の竹内様に語っていただきました!
現在起業を考えている方は、どのように起業したらよいか、どんな問題があるのか、など様々な不安があると思います。そこでこれから起業する人を応援するためプロジェクトを立ち上げました。起業したてのユーザー様にインタビューさせていただき、役立つ情報をお伝えしていきます。
起業の経緯を教えてください。
リモートワークで生まれた起業の決意
私は某大手通信会社で営業として働いていましたが、コロナ禍でリモート会議が当たり前になって、他人と顔を合わせて会話する機会が無くなってしまいました。その環境がストレスで、「人と人が安心してコミュニケーションを取れる場所を作りたい」という想いが生まれてきました。
コロナ禍前は、仲間内でボードゲームカフェに行って遊ぶ機会も多くて、その時間が楽しかった。それで、よし、自分でボードゲームカフェを開こう、と思ったんです。もちろんいきなり辞めたわけではなく、働きながら物件を探して、徐々に準備を進めていきました。
ラーメン店のノウハウが生きる
実は大手通信会社で働く前に、ラーメン屋の店主として店を切り盛りしていた経験がありました。千葉・天台の「らーめん大地」で修行して、そこから独立して、結構繁盛していたんですよ。
ですから、自営業のノウハウもありましたし、コロナ禍だから良い物件が安値で買えるだろう、という目論見もありました。この場所は千葉駅から近くて、居抜き(設備や什器、家具がついたままで売買される不動産)の優良物件だったので、読み通りでしたね。
内装はDIYで準備!
開業資金は自己資金(貯金)で準備しました。ボードゲームカフェは開業にあたって、あまり資金がかかりません。物件本体と肝心のボードゲーム、それくらいですね。テーブルや床、壁などの内装も自分たちで作業して、60万円しかかかっていません。業者に頼むと数百万円かかるので、大きな節約です。
このDIYでは、スタッフの巨勢(こせ)に大きく助けられました。彼は大手通信会社時代の同僚で、一緒にお店をやろうと誘ったんです。『VANQUiSH』の内装はファンタジックな魔法の世界をイメージしていて、これも巨勢のアイディアですね。私は当初必要最低限でいいと考えていたのですが、結果的にこちらの方が雰囲気が良くて、正解だったと感じています。
利益を出すための工夫
美味しい料理で客単価を上げる
開業にあたって都内のボードゲームカフェを調査して、場所が千葉なので東京より価格は低く抑えました(1時間あたり平日500円、土日祝600円※パック料金あり)。ただ、ボードゲームカフェはお客様に長く遊んでいただくのが前提ですから、回転率が非常に悪い。そうなると、どこで利益を出すか?という問題が出てきます。
うちでは料理の注文率を上げることで、客単価を上げて利益を出しています。幸い、私は飲食業の経験がありますから、素材を九州から仕入れるなど、こだわって質を上げています。そのおかげもあって評判も良く、お客様の約半分が料理を注文されます。食事しながら遊ぶ方がとても多い印象ですね。
宣伝にはコストをかけないで節約
オープン時にウェブサイト、Twitter、Instagramは開設しましたが、広告にはほとんどお金をかけていません。ラーメン屋を開いた際の経験から、お客様は放っておいても来てくれるだろう、と考えていたんです。新しい店ができたら、みんな「一回行ってみよう」とは考える。まして、こういうニッチな業態ですから、ボードゲーム好きの方は自然と情報をキャッチしてくれるんです。
新規を獲得するよりも、リピーターになってもらうことに注力しているので、これからもこのスタイルでやっていきます。
求められるのは「接客力」と「説明力」
接客で心掛けているのは、とにかく退屈させないで楽しい時間を過ごしていただくこと。冗談を言って笑わせたり、ホストのような心境で一人一人に接客しています。そうすることで、また楽しい時間を過ごしたいと考えて、リピーターになっていただけます。
最近は複雑なルールを持つゲームも多くて、それをわかりやすく説明するには高いスキルが求められます。大手通信会社で売っていたサービスは複雑でしたから、その時の営業経験が生かされていますね。ボードゲームが好きなだけでは足りなくて、お客様を楽しませようとして努力する気持ちが大切です。
お客様とのかかわり方
お客さんと一緒に店を育てる
飲食店では、店主が自身の理想を店に反映させ、お客様がそれを受け取る形になることが多いですが、ボードゲームカフェはお客様と一緒に店を育てていくんです。それは実際に運営をしてみて感じた驚きの一つですね。「このボードゲームを入れてほしい」「こんなイベントをやってほしい」「こんな料理が食べたい」というお客様の声に応えていくうちに、店の特色ができていく。これは、お客様と距離が近いボードゲームカフェという業態ならではの特徴で、大変ながらも楽しい部分です。
「お客様と友達になるか」はその人次第
毎日いらっしゃる常連さんとは、まるで家族のように距離が近づいていきます。だから、「お客様と友達になるかどうか?」は、意外と悩みどころかもしれません。
私は「親しき仲にも礼儀あり」で、お客様とは仲良くなっても一線を引きたいタイプです。ただ、これはそれぞれのやり方で良いと思うんですね。お客様と友達付き合いをしたい方は、そういう風にしてもいい。ただ、私はそれだと悩むことも出てくるので、一線は引くようにしています。意志が弱いので、つい一緒に遊びに行ってしまうこともありますが(笑)。
会計・経理について
「会計王」の導入経緯
会計士は起業当時から付けていました。開業資金は貯金でやりくりしたけれど、将来的に二店舗、三店舗と拡大していく時に融資が必要になるかもしれない。その時に会計士がいるといないとでは、融資を受ける難易度が全く違いますから、将来を見据えていたんです。
「会計王」は、会計士さんから勧められて導入しました。ラーメン店時代から経理は担当していましたから、仕訳入力は私が担当しています。使いやすくて非常に助けになるソフトですね。
「MoneyLink」と連携すればもっと便利になるのでは、と考えていますが、まだ連携できていません。そのうち、サポートに電話してやり方を聞いてみよう、と考えています。サポートサービスも利用していますし、助けられています。
参考:MoneyLink
意外とかさむコストは?
ボードゲームカフェの経費で多いのは、料理の仕入れや人件費、さらにはボードゲームですね。新しいボードゲームを仕入れるのに相当お金がかかる、これはもう仕方がありません。
『VANQUiSH』のボードゲームは私物ではなく店舗用に購入した物ですが、オープン時には70個だったゲームが、現在は600個まで増えています。お客様から新規のリクエストが多いので、できるだけ応えていきたいですね。
今後の展望について
コロナ禍でオープンは逆風?
『VANQUiSH』のオープンは2020年11月11日、コロナ禍真っただ中でした。私としてはもうそろそろ収まるだろう、という読みだったのですが、予想に反して緊急事態宣言まで出てしまった。その間は、全くお客様が来なくて参りました。仕事終わりに遊びにくる方が多いので、時短で店が閉まってしまうと厳しいんですよ。
「経営者は孤独」と言われますが、悩んでいる姿は、スタッフには見せないように気を付けていました。ただ、幸いにも少しずつお客様が増えてきて、(2021年の)12月は過去最高の売上になりそうです。帰省した友達と一緒に遊びに来る方も多くて、年末年始はかき入れ時ですから、休まずに営業する予定です。
2店舗目を計画中!
この業態の大きな強みは、「採用に全く困らない」ことですね。飲食店や小売店は求人に莫大な費用がかかっていることも珍しくありませんが、ここではぜひ働きたい!とお客様から声をかけられることがしょっちゅうです。ただ、好きだけでは務まらないので、きちんと接客ができるかどうかは見極めて、採用しています。
実は、『VANQUiSH』の2店舗をオープンする計画が進行中で、既に物件も探しています。可能であれば、さらに3件目、4件目と千葉じゅうに増やしていきたい。働きたい方がたくさんいるので、そういう場を与えてあげたいですね。
起業を目指す方へ
ボードゲームカフェは儲からない?
ボードゲームカフェを開きたいと考える方は多いですが、「儲からないですよ」とは伝えておきます(笑)。私は飲食店の経営経験もありますから、予想以上に儲からなくて驚きました。利益だけを考えるのなら、会社員をやっている方がラクです。うちはお客様にもたくさん入っていただいている方ですが、それでも余裕のある経営とは言えない。
実際、ボードゲームカフェ経営は副業という方がほとんどで、私のようにボードゲームカフェがメインという経営者は珍しい。まだ内容については秘密ですが、売上を安定させるためにも、近々別業態を始めたい、と考えています。
コミュニティができていくやりがい
もちろん、このお店を開いてよかった、という想いは大いにあります。大きなやりがいを感じるのは、ここで出会ったお客様同士が一緒に新しい活動を始めるなど、『VANQUiSH』を起点にコミュニティができていくのを間近に見る時です。人と人がコミュニケーションできる場所を作りたい、が本来の目標でしたから、それが達成されているのを見るのはとても嬉しいですね。
三日迷うなら起業しろ!
「そんなに甘くない」などネガティブな情報も伝えましたが、もしもあなたが起業したくて、三日経ってもその気持ちが消えずに悩んでいるのなら、起業するべきです。失敗したって命まで取られるわけではないですし、困ったら誰かが必ず助けてくれます。
『VANQUiSH』もコロナ禍でオープンして大変でしたが、結局はなんとかなっています。だから、起業したいという想いがあるなら思い切るべきです。少なくとも私は、起業してよかったと思っていますから。
竹内様自ら作るラーメンを取材後にいただきましたが、本当に美味しくてびっくりしました。ラーメン店も繁盛していたそうなので、さすがの腕前です。美味しい料理と素晴らしい接客と素敵な空間、人が集まるのも納得のお店でした。(インタビュー担当)
ご協力いただいた店舗
店舗名 | BoardGameCafe VANQUiSH |
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設立 | 2020年11月11日 |
所在地 | 千葉県千葉市中央区富士見1-9-1 みゆきナインビル402 |
ホームページ | https://vqs.storeinfo.jp/ |
電話番号 | 043-355-5160 |
事業内容 | ボードゲームカフェ運営 |
お使いのソフト | 会計王
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取材にご協力いただける方を募集しています
一緒にこれから起業する人を応援しませんか?詳しくはこちらをご覧ください。
<要件>起業5年以内でソリマチのソフトを使用したことがある方
(起業から5年以上経過していても起業当時のことをお話いただける方なら歓迎です)
お問い合わせ先 | ソリマチ株式会社 東京本社 TEL:03-5475-5301 |
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受付時間 | 平日9時00分~16時00分 |
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