16 June

6月30日からスタートするマイナポイント第2弾。マイナンバーカード申請のメリット・注意点は?マイナポイントには所得税が課税される?

掲載日:2022年06月16日   
税務ニュース

総務省は、マイナンバーカードの取得者に対して1人あたり最大2万円相当のポイントを付与するマイナポイント事業(第2弾)の申込受付を2022年6月30日から開始することを発表しました。このマイナポイント第2弾は、マイナンバーカードの普及の促進、消費喚起や生活の質の向上などが目的で、2021年11月19日に閣議決定した経済対策にその実施が盛り込まれていました。

本コラムでは、マイナポイント第2弾の概要やメリット・注意点を確認しながら、気になるマイナポイントの課税関係について、やさしく解説していきます。

 

マイナポイント第2弾の内容

以下①〜③の3つをあわせて最大2万円相当のポイントが付与されるというのが、マイナポイント第2弾の内容です。
ポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期限は2022年9月末まで、マイナポイント第2弾の申込期限は2023年2月末までです。

参照:総務省「マイナポイント事業」

①マイナンバーカードの新規取得等で最大5,000円相当のポイント付与

マイナンバーカードを取得している人のうちマイナポイント第1弾に申し込んでいない人や、これからマイナンバーカードを取得する人が対象です。なお、2021年12月末までにマイナポイント第1弾に申し込み、まだ20,000円のチャージや買い物を行なっていない場合(上限5,000円分までポイント付与を受けていない人)でも、引き続き、上限までポイント付与を受けることができます。

 

②健康保険証としての利用申込みで7,500円相当のポイント付与

マイナンバーカードを健康保険証として利用する申込みを行うと、7,500円相当のポイントが付与されます(既に利用申込みを行った人も含みます)。

 

③公金受取口座の登録で7,500円相当のポイント付与

マイナンバーカードに公金受取口座を登録すると、7,500円相当のポイントが付与されます(既に登録を行った人も含みます)。

この公金受取口座(公的給付支給等受取口座)とは、国(デジタル庁)にマイナンバーとともに登録される預金口座の情報です。デジタル庁によれば、事前に公金受取口座を登録することで、今後、緊急時の給付金、年金、児童手当、または所得税の還付などに利用することができ、給付金などの申請の際に、口座情報の記載や通帳の写しなどの添付、または行政機関における口座情報の確認作業などが不要になると説明されています。

なお、この預貯金口座の情報を国(デジタル庁)に登録する制度は、金融機関へマイナンバーを届出する制度(預貯金口座へのマイナンバーの付番)とは異なる制度です。

参照:デジタル庁「公金受取口座登録制度」

 

マイナンバーカードのメリットとデメリット

マイナンバーカードの申請は義務ではありませんが、マイナンバーカードは、私たちにとってどのようなメリットがあるといえるのでしょうか?
総務省は、マイナンバーカードのメリットとして、①健康保険証として使える、②本人確認書類になる、③各種証明書をコンビニで取得できる、④子育てなどの行政手続きがオンラインで行える、などをあげています。

 

 

 

また、国税庁は、マイナポータルとe-Taxとの認証連携の開始により、メッセージボックスの閲覧、納税証明に関する手続き、または源泉所得税に関する手続きなどの利用が可能になったと説明しています。国税庁は、今後もマイナポータルとe-Taxとの連携の拡大など、納税者の利便性の向上に向けて検討をしていくようです。

一方で、マイナンバーカードの表面には個人情報も記載されています。マイナンバーカードの紛失や盗難などに備え、その管理には注意が必要です。

 

マイナポイントが付与された場合の課税関係は?

気になるマイナポイントと税金の関係について考えてみましょう。マイナポイントが付与された場合、所得税の課税対象となるのでしょうか?

結論からいうと、マイナポイントは一時所得として所得税の課税対象となります。しかし、他の一時所得に該当する所得と合計して50万円を超えない場合には、原則として、所得税の確定申告をする必要はありません。国税庁によると、個人が商品を購入するときに付与されるポイントで、「通常の商取引における値引き」と同様の行為が行われたものと考えられる場合には、所得税の課税対象とならないと説明されています。

この点、マイナポイントについては、マイナンバーカードを取得した個人がキャッシュレス決済サービスにおいて「前払い」(いわゆるチャージ)などを行った際に付与されるものなので、「通常の商取引における値引き」に該当せず、一時所得として所得税の課税対象となります。他方、一時所得はその所得金額の計算過程において、特別控除額50万円を控除します。そのため、マイナポイント付与分を含めた一時所得の合計額が50万円以下であれば、確定申告が不要になるのです。

もちろん、フリーランスなどの個人事業主で他の所得がある場合、サラリーマンで医療費控除やふるさと納税などを利用する場合などは、所得税の確定申告が必要になるので注意しましょう。

 

マイナンバーカードの交付状況

総務省によると、令和4年5月1日時点におけるマイナンバーカードの市町村別交付枚数は、全国で55,765,137枚、人口に対する交付枚数率は44.0%となっており、依然として低い普及率となっています。

 

 

 

こうした中、政府は今回実施されるマイナポイント事業(第2弾)を通じて、マイナンバーカードの普及の促進を目指しています。このマイナポイント事業は、消費税率引上げに伴う需要の平準化策として、消費の活性化を図ると同時に、官民キャッシュレス決済基盤の構築とマイナンバーカードの普及促進を目的として実施されています。また、総務省は、マイナンバーカードの申請促進のため、マイナンバーカードの未取得者に対して、QRコード付きの交付申請書を順次送付しています。

しかし、マイナンバーカードの利用を国民に定着させていくためには、このような「キャンペーン」による普及促進だけでなく、改めてマイナンバーカードに対する不安・疑問などを払拭できるよう、政府から国民への丁寧な説明も重要であると考えられます。

ABOUT執筆者紹介

税理士 武田紀仁

たけだ税理士事務所

クリエイターとスモールビジネスを支える税理士。クリエイティブ産業で活動する中小法人や、漫画家・イラストレーター・デザイナー・ものづくり作家などの個人事業主(フリーランス)を対象とした税務・会計・経営アドバイザリーサービスを得意とする。また、自身のもう一つのライフワークとして、文化芸術領域の会計と情報開示についての研究活動も行っている。

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