どうなる今年の最低賃金
社会保険ワンポイントコラム
毎年この時期になると経営者の間で話題になるのが最低賃金額の変更についてです。昨年は大幅UPとなりましたが今年はどうなるのでしょうか。
最低賃金額改定の仕組み
最低賃金額とは、最低賃金法に基づき賃金の最低額を国が定めているもので、使用者は、その額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。最低賃金額についての改定の仕組みは、まず、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランク(注)に分けて改定額の目安について答申がなされます。この結果を受けて地方最低賃金審議会が地域における状況等を調査審議の上、都道府県労働局長に答申。最終的に都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します。
ランク | 都道府県 |
---|---|
A | 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
B | 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島 |
C | 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡 |
D | 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
大幅引き上げへ
中央最低賃金審議会が出した今年の引上げ額の目安については、Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円 となっています。前年から大幅UPとなった昨年度でAランク19円、Bランク18円、C・Dランク16円でしたので、今年度は昨年を上回る大幅引き上げとなります。なお、東京都は現在907円ですが、今年度は10月1日から25円引き上げられて932円となることが決定致しました。
対象労働者と特定最低賃金
最低賃金額はいわゆる正社員やパートタイマー、それにアルバイトなどの名称にかかわらず、すべての労働者が対象となります。月給者の場合は時間当たりの金額が最低賃金額を上回る必要があります。
月給額 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 = 時間単価 ≧ 最低賃金額
(派遣労働者は派遣元事業場ではなく、派遣先事業場のある都道府県の最低賃金額が適用となります。)
また、最低賃金額は「地域別最低賃金」の他に、特定の産業で労働する方を対象とした「特定最低賃金」があり、後者に該当する労働者の場合、地域別か特定かいずれか高い方の最低賃金額が適用されます。
改定の適用日(発効日)
地域別最低賃金の額が改定後の金額に適用となる日(発効日)は都道府県毎によって異なります。この発効日は会社の給与締日の影響は受けませんので、発効日が10月20日だった場合、月末締めの会社では10月20日分から変更するか、または10月1日から新しい最低賃金額以上の給与にしなければなりません。発効日に合わせて変更する場合は、給与計算ソフトの手修正が必要となる可能性があります。
昨年に引き続き最低賃金額が大幅に引き上げられることが確実な状況ですが、最低賃金額を守らなかった場合は50万円以下の罰金と定められていますので、経営者や会社担当者の方は法律違反とならないよう注意が必要です。