秋は税務調査の季節?税務署の年間スケジュール
税務ニュース
税務調査を担当する税務署の法人課税部門の調査官はどのようなスケジュールで1年間を過ごしているのでしょうか。これを知ることで税務調査のピーク時期及び閑散期が見えてきます。
官公庁の会計年度は4月から翌年3月ですが、税務署の事業年度は7月1日から翌年6月30日となっています。正確には人事異動が7月10日になりますのでスタートは7月10日となります。
配属終了後まず行われるのが事案選定になります。その後署内で準備調査を行った上、税務調査をスタートさせます。
税務署内の件数及び増差税額の達成状況は四半期ごとに管理されています。ですので前半に少しでも稼いでおく傾向があり7-9月の第一四半期と10-12月の第二四半期は調査の多い時期になります。年が明けて1-3月の第三四半期は個人の確定申告があり、税務署内でもこちらの応援業務が発生します。また税理士も申告業務に忙殺される時期となるためこの期間は税務調査はあまり行われません。4-6月の第四四半期は一年の総まとめの期間にあたるため大きな調査というよりは比較的件数をこなす傾向にあるようです。以上が法人課税部門の調査官の1年間のスケジュールになります。
税務署も通常の会社同様目標値が設けられており、特に重視されるのが調査件数目標と増差税額目標です。これらを達成するため前半の7-12月は増差税額目標に注力し後半の4-6月は件数目標達成に注力する傾向があるようです。秋が調査の季節といわれる所以がここにあるわけです。
ここ最近の傾向としましては税務調査のスタート時期が早まる傾向があり早い調査では7月1日にスタートするケースも見られます。これは直近の実調率(法人数に対し調査を行った件数の率)が3.1%となっており、過去から見て低水準であることからより多くの調査件数をこなすことが税務署内の課題となっているためと考えられます。
税理士 小嶋 純一 大学卒業後、税理士法人中山会計にて常務社員税理士を務める。相談しやすさNo.1を体現する税理士として、自社の経営の実践並びにお客様の経営サポートを兼務。M&Aスペシャリスト及びM&Aシニアエキスパートの資格を有し、事業承継の出口をサポートするコンサルティングを15年来推進。保険会社・銀行・商工会議所・各士業等とのタイアップによるセミナーなど全国で多数講演。身近な相談窓口として活動中。ABOUT執筆者紹介