【創業ガイド Vol.05】法人設立のステップを知ろう(準備から法人設立完了まで)
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前回までは法人設立のカタチ、株式会社と合同会社の違いや、設立前に検討しなければならないこと、実際に設立する際にかかる費用について、ご説明してきました。今回は、法人設立の準備から完了するまでの流れをわかりやすくご紹介していきます。
法人設立完了までの流れ
まず最初に、法人設立の準備から、設立完了までの大まかな流れを掴みましょう。法人設立は下記の流れで進めていくことになります。
- STEP1「法人の基本情報を決定する(第3回記事参照)」
- STEP2「定款の作成」
- STEP3「資本金の払込み」
- STEP4「定款の認証(株式会社のみ必要)」
- STEP5「登記書類を作成」
- STEP6「法務局へ登記申請」
- STEP7「登記完了」
STEP1から順番にご説明していきます。
STEP1「法人の基本情報を決定する」
法人の基本情報を決定します。まだ、1-8まで決めていない方はこちらの記事でわかりやすくご説明してますので、ご覧ください。
法人の基本情報を決める
- 会社名(商号)
- 本店所在地
- 代表者
- 設立日
- 決算月
- 資本金
- 出資者
- 事業概要
STEP2「定款の作成」
つぎに「定款の作成」を行います。定款とは、会社を経営していくためのルールをまとめたものです。定款の作成は、全ての会社に義務付けられています。よって、必ず定款の作成を行う必要があります。
定款の記載内容は、
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
と3つにわかれています。それぞれ簡単にご説明します。
1.絶対的記載事項
①絶対的記載事項というのは、定款に絶対に記載しなければならない事項です。その記載がないと、定款は無効となります。
絶対的記載事項の内容は、下記の通りです。
- 目的
- 商号
- 目的
- 本店の所在地
- 設立時に出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名又は名称と住所
- 発行可能株式総数
2.相対的記載事項
相対的記載事項は、定款に定めていなくても、定款自体は無効ではありませんが、定款で定めないとその項目の効力が認められない事項です。例えば、設立の際に現物出資を行う場合や、取締役会の設置などが相対的記載事項に該当します。
3.任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款内に記載しても、しなくもよい内容のことです。事業年度や役員の数などが該当します。
定款に記載することで、会社の規則として、より明確にしておきたい事項の設定などに行います。
STEP3「資本金の払込」
資本金の払い込みは、発起人の個人名義の口座に「資本金の金額」を「自分の名義」で振り込みます。個人口座は新たな開設は不要で、今お持ちの口座を使用すれば問題ありません。この時に、通帳の「表紙」「1ページ目」と「払い込みの内容がわかるページ」のコピーをするようにしましょう。
自分名義の口座に自分での名義で振り込むという手続きについて、補足します。この時点では、まだ法人は設立していないので、法人名義の口座を作ることができません。でも、法務局に登記を行う際に、資本金がいくかであるかと明確に示す資料が必要になります。そのため、資本金は、個人の銀行口座を使用して、「資本金の金額を示す」ことになります。
もしも、会社の発起人が複数いる場合は、代表の発起人の口座に振り込みを行います。
STEP4「定款の認証」
定款認証を行う場所
株式会社は公証役場で、定款の認証の手続きを行います。合同会社は、定款の作成は必要ですが、認証は不要となります。定款認証は、「会社の本店所在地と同じ都道府県の公証人役場」で手続きを行います。例えば、東京都目黒区を本店所在地とする場合、東京都の公証役場で定款の認証を受ける必要があります。
また、例外として北海道に本店所在地がある会社は、道内の全ての公証役場ではありません。公証役場の管轄は札幌/函館/旭川/釧路の4つの地域に分かれているため、同じ地域内にある公証役場で行わなければなりません。
定款認証の費用
定款の認証に必要な費用は、収入印紙4万円※と定款の認証手数料です。定款の認証手数料は、資本金の金額により異なりますので、下記の表をご参照ください。
設立する会社の資本金の額 | 定款認証手数料 |
---|---|
100万円未満 | 3万円 |
100万円以上 300万円未満 | 4万円 |
300万円以上 | 5万円 |
※2022年1月より定款の認証手数料が、一律5万円から引き下げになりました。
※電子定款なら、収入印紙4万円が不要となります。ただし、電子定款を作成するには、専用のソフトが必要となり、このソフトの購入費用も数万円かかります。ですので、最終的には電子定款にしてもあまりトータルコストは変わらないこともありますので、ご注意ください。
定款認証の手続き
定款認証は、①~③の手続きが必要となります。
①定款認証に必要な持ち物を準備
- 定款3通
- 発起人の印鑑証明書及び実印
- 委任状(代理人が定款認証を行う場合)
②公証役場を探し、事前予約を行う
事前予約だけでなく、FAXを使って定款の事前チェックを行ってくれる公証人役場も多くあります。
③予約日に定款認証のために公証役場に行く
特に問題がなければ、定款の認証は完了となります。
STEP5「登記書類を作成」
登記書類の作成をしましょう。法人の種類によっても、必要な書類は異なりますが、下記に代表的な書類をのせておきます。
登記申請のための必要書類
- 登記申請書
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時の代表取締役の就任承諾書
- 設立時の取締役の就任承諾書
- 設立時の代表取締役印鑑証明書
- 本人確認書類
- 印鑑届出書
- 出資の払込みを証する証明書
- 資本金の払込があったことを証明する書類
※印鑑届出書は、法人の印鑑を登録する際の必要書類です。法務局の印鑑届出書の記載例のページをご参照ください。
STEP6「法務局へ登記申請」
いよいよ、法務局へ登記申請を行います。会社の本店所在地の管轄の法務局へ、申請を行います。提出方法は、法務局の窓口に提出をするか、または、郵送で提出を行うことも可能です。登記申請日は、法人の設立日になります。ただし、窓口に提出をした場合と郵送で提出した場合で設立日が異なりますので、注意しましょう。
【登記申請書の提出方法】 | 【法人設立日】 |
---|---|
窓口に提出をした場合 | 法務局に申請書を提出した日 |
郵送で提出した場合 | 法務局に申請書が到着した日 |
STEP7「登記完了」
法務局に登記申請してから、1週間程で登記審査が終わります。特段、問題がなければ、申請が受理され登記完了となります。
まとめ
ここまで、法人設立の実際の手続きについてご説明してきました。次回の記事「法人設立したら行う届出を作ろう」では法人設立した後に行う、届け出の内容についてわかりやすく解説させて頂きます。
ABOUT執筆者紹介
税理士 吉村知子
ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。
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