29 January

リファラル採用とは?注目されている理由や成功のポイント

掲載日:2025年01月29日   
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採用市場がますます激化する中、企業は優秀な人材を確保するために新たな採用手法を模索しています。その中で注目されているのが「リファラル採用」です。

これは社員自身の人脈を活用して候補者を紹介し、効率的かつ効果的に採用を進める方法です。企業文化への適応力が高く、採用後の定着率向上が期待できるこの手法は、今後の採用戦略における重要な柱として位置づけられています。

本記事では、リファラル採用の基本から成功のポイント、注意点まで詳しく解説します。

リファラル採用とは

リファラル採用は、企業の社員が自分の知人や友人を候補者として紹介し、その紹介を通じて採用活動を行う手法です。

社員が企業文化や業務内容を理解した上で適切な人材を推薦するため、採用の質が向上することが期待できます。リファラル採用の定義や注目されている理由について詳しく見ていきましょう。

リファラル採用の定義と概要

リファラル採用は、従業員が自分の知人や友人を採用候補として紹介し、条件が合えば採用する方法です。

英語の “referral”(推薦や紹介)が語源です。社員自身が推薦者として責任を持つため、候補者と企業のミスマッチを抑えやすいとされています。さらに、紹介を通じて入社する候補者は、事前に企業の雰囲気や仕事内容について詳しく情報を得ている場合が多く、採用後の早期離職率の低下にも寄与します。

なぜリファラル採用が注目されているのか

近年、採用市場の競争が激化し、人材確保が難しくなっている中で、リファラル採用はその有効性から注目を集めています。まず、既存社員が推薦することで、企業文化や業務内容に適応しやすい人材を確保しやすくなるため、採用後の定着率が高い傾向があります。

また、広告費や人材紹介手数料が不要になるため、採用コストを大幅に削減できる点も大きな魅力です。さらに、社員が企業の魅力を周囲に伝えることで、自然とポジティブな企業ブランドの形成にもつながります。

株式会社プロフェッショナルバンクが実施したアンケート調査(有効回答数:259名)によると、調査対象の企業の75%がリファラル採用を実施しており、その88%が社員による友人・知人の紹介でした。

また、企業の80%が「通常採用よりもリファラル採用の成功確度が高い」と回答しています。社員のつながりを活用することで、適切な人材を効率的に採用できていることがうかがえます。

リファラル採用を促進するための取り組みとして、「社員へのインセンティブ」(61%)が最多で、次いで「採用状況の共有」(28%)や「啓発情報の配信」(23%)が挙げられました。

中途採用で今後注力したい採用手法として、「リファラル採用(社内)」が53%、さらに「リファラル採用(社外)」を加えると76%に達し、多くの企業がこの手法を重要視しています。

リファラル採用のメリットとデメリット

リファラル採用は、企業や応募者、紹介者にそれぞれ多くのメリットをもたらしますが、同時にデメリットも存在します。そのため、成功に導くにはこれらをしっかり理解し、適切に対策を講じることが重要です。

リファラル採用のメリットとデメリットについて、「企業」と「応募者・紹介者」に分けて紹介します。

リファラル採用のメリット

企業にとってのメリット

リファラル採用は、質の高い人材を効率的に確保できる採用手法です。社員が推薦する候補者は、企業文化や仕事内容に適応しやすい特徴を持っていることが多いため、採用後の早期離職率が低下する傾向があります。

また、人材紹介会社や求人広告を利用する場合と比較して採用コストが抑えられる点も大きな利点です。さらに、社員が自社の魅力を外部に発信することで、企業ブランドの向上や社内エンゲージメントの強化にもつながります。

応募者・紹介者にとってのメリット

応募者にとっては、紹介者を通じて企業内部の情報を事前に知ることができるため、入社後のギャップが少なく、スムーズに働き始められます。

また、紹介ボーナスやインセンティブがある場合、紹介者も金銭的なメリットを得ることができます。

リファラル採用のデメリット

企業にとってのデメリット

リファラル採用の課題の1つは、多様性の欠如です。社員のネットワークに依存するため、同じ背景やスキルセットを持つ人材が集中しやすく、組織の多様性が損なわれる可能性があります。特に、同質性が高まるとイノベーションの妨げになることがあります。

また、社員が紹介活動に時間を費やしすぎると、本来の業務に影響が出るリスクがあります。たとえば、紹介者が日常業務とリファラル活動を並行して行うことで、どちらも中途半端になるケースも考えられます。

さらに、候補者が期待した結果を出せなかった場合、紹介者との関係が悪化するリスクがあります。社内の雰囲気が悪くなり、長期的には社員のエンゲージメント低下にもつながりかねません。

応募者・紹介者にとってのデメリット

応募者にとっては、期待されるプレッシャーが大きいことが課題です。紹介者との関係性から、「必ず成果を出さなければならない」と感じ、ストレスを抱える可能性があります。特に、入社後に企業の期待に応えられない場合は、精神的な負担がさらに増大することもあります。

紹介者側も、候補者が組織に馴染まなかったり、期待したパフォーマンスを発揮できなかった場合、その責任を感じることがあります。これが結果として、紹介活動への意欲を低下させる原因となることがあります。

加えて、紹介された応募者が不採用となった場合、応募者と紹介者の関係が気まずくなることも少なくありません。

リファラル採用を成功させる5つの方法

リファラル採用を成功させるためには、明確な戦略と仕組みを整えることが重要です。以下に、効果的な5つの方法と具体例を示します。

社員向けのリファラルプログラムを構築する

社員がリファラル採用に積極的に参加できるよう、簡単かつ効果的なプログラムを設計することが重要です。たとえば、社内ポータルサイトに「リファラル専用ページ」を設け、候補者推薦の手順や状況を一目で確認できる仕組みを作ると良いでしょう。

加えて、定期的な社内イベントや説明会でプログラムの利用方法を周知し、社員が気軽に参加できる環境を整えることも方法の1つです。

明確な報酬制度を設定する

紹介活動へのモチベーションを高めるには、わかりやすい報酬制度を設定することが効果的です。たとえば、「候補者が最終面接まで進んだ場合に5万円、採用が決定した場合にさらに10万円」といった段階的な報酬を用意するのも一案です。

また、報酬は金銭に限らず、特別休暇や社内で利用可能なポイント付与など、柔軟な形態で提供すると社員の満足度が向上します。

社員に採用の目的やメリットを共有する

リファラル採用の意義やメリットを社員にしっかりと伝えることで、協力意識を高めることができます。たとえば、全社ミーティングや社内報を活用し、「社員の紹介で採用された人材の成功事例」を共有することで、社員がリファラル採用の効果を実感しやすくなります。

また、採用によって企業全体が得るメリットだけでなく、社員自身にとっての利点も明確にすることが大切です。

応募から採用までのフローを簡潔にする

候補者や紹介者にとって負担の少ない採用プロセスを設計しましょう。たとえば、候補者が紹介された後、短期間で面接日程を調整し、スピーディーに結果を伝える仕組みを導入することで、応募者の不安や不満を軽減できます。

また、オンライン面接を活用することで、地理的な制約をなくし、応募のハードルを下げるのも効果的です。

継続的なコミュニケーションを図る

リファラル採用の効果を持続させるには、社員との定期的なコミュニケーションが欠かせません。たとえば、四半期ごとにリファラル採用に関する進捗報告を行い、成功事例や改善点を共有する場を設けると良いでしょう。

また、紹介活動を行った社員にフィードバックを行い、感謝の気持ちを伝えることで、次回以降の参加意欲を高めることができます。

リファラル採用の事例

リファラル採用を導入している企業の事例を紹介します。

株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供する企業です。その急成長を支える要素の1つが、設立当初から導入しているリファラル採用です。同社はリファラル採用を効果的に促進するために、ユニークな取り組みを行っています。

まず、「リファラルごはん」という制度では、社員が候補者と食事を共にする際の費用を会社が全額負担します。社員が気軽に候補者を誘いやすくなり、リファラル活動へのハードルが下がります。

また、候補者が採用に至った場合には、「いい人紹介ありがとう制度」を通じて紹介した社員に手当を支給します。社員のモチベーションを高め、積極的な紹介活動を促しています。

さらに注目すべきは、採用に至らなかった場合でも候補者との関係性を維持するために設けられた「ごめんねごはん」という制度です。

紹介者と候補者が今後も良好な関係を築けるよう促し、長期的な視点でリファラル採用の効果を高めています。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、国内最大級のフリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営する企業として、創業時からリファラル採用を積極的に取り入れています。その成功の鍵となっているのが、経営層による強いリーダーシップと社員を巻き込む仕組みです。

まず、経営層からの積極的な呼びかけを通じてリファラル採用の重要性を社内に浸透させ、社員が自発的に参加しやすい環境を整えました。この取り組みによって、優秀な人材がリファラル経由で採用され、社内での成功体験が蓄積。結果として、リファラルで採用された社員が自らの経験を活かし、新たな候補者を紹介する好循環を生み出しています。

また、リファラル採用をさらに推進するため、メルカリは「メルカリの勉強会」などの社内外の交流イベントを定期的に開催。これにより、社員が外部の優秀な人材と接点を持つ機会が増え、リファラル採用に繋がる可能性が広がっています。

株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、国内最大級のハイクラス転職サイト「ビズリーチ」を運営する企業です。創業時からリファラル採用を積極的に取り入れてきました。「事業創りは仲間探し」という理念を持ち、それを具体化する形で、社員主体の「リクルーティングプロジェクト」を実施しています。

社員をチームに分け、各チームが3ヶ月間で少なくとも1人の入社を目指す目標を掲げています。プロジェクトは立候補制で運営され、社員の約4割が参加していることから、社内全体でリファラル採用を推進する一体感が生まれています。

また、採用活動を活性化させるために、成果を上げたリクルーターには表彰制度が設けられており、豪華ディナーのプレゼントなどのインセンティブが提供される仕組みも整備されています。

リファラル採用を導入する際の注意点

リファラル採用は多くのメリットをもたらす一方で、適切に運用しなければデメリットが生じる可能性もあります。そのため、以下のようなポイントに注意して運用することが重要です

倫理的配慮と公平性の確保

リファラル採用は、社員の人間関係を活用する手法ですが、差別や偏見が入り込むリスクがあるため、採用の過程で公平性を保つことが不可欠です。

たとえば、特定の属性(性別、年齢、学歴など)を優先した採用にならないよう、明確な基準を設ける必要があります。また、候補者の適性やスキルを客観的に評価するプロセスを整えることで、公平な採用が実現します。全ての応募者が平等に評価される環境を作ることで、倫理的配慮を徹底することが求められます。

社員の負担を軽減する仕組みづくり

リファラル採用が成功するためには、社員が無理なく参加できる仕組みを構築することが重要です。たとえば、推薦プロセスを簡略化するために、専用のオンラインフォームやアプリを導入するといった手法が考えられます。

また、推薦活動が通常業務に支障をきたさないよう、一定のインセンティブを提供することで、社員のモチベーションを維持しながらバランスの取れた運用が可能になります。

個人情報管理の徹底

リファラル採用では、応募者や紹介者の個人情報を取り扱うため、その管理体制を厳格にする必要があります。具体的には、応募書類や連絡先などの情報を暗号化して保存し、アクセス権限を限定することが推奨されます。

また、情報の取り扱いに関する社内ルールを明確に定め、社員に教育を行うことも重要です。たとえば、応募者のデータを共有する際には、必要最小限の範囲に留めるといった配慮が必要です。適切な管理を行うことで、情報漏洩のリスクを低減し、候補者や紹介者の信頼を得ることができます。

リファラル採用を最大限に活用しましょう

リファラル採用は、企業、応募者、紹介者の三者に多くのメリットをもたらす採用手法です。しかし、効果的に運用するためには、適切な仕組みや倫理的配慮、公平性の確保が欠かせません。

本記事で紹介した成功のポイントや注意点を踏まえ、自社に最適なリファラル採用プログラムを構築し、企業の成長につながる採用活動を実現しましょう。

ABOUT執筆者紹介

加藤良大

フリーライター
ホームページ・ブログ

歴11年フリーライター。執筆実績は23,000本以上。
多くの大企業、中小企業のWeb集客、メディア戦略に関わってきた。主な領域はITや不動産、医療、美容、税務・会計、法律などだが、ジャンルを問わず対応できる。

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