10 July

コロナショックに伴う役員報酬の減額について

update_2020年07月10日   
税務ニュース

東京アラートで、都庁とレインボーブリッジが真っ赤に染まる異様な光景!まさに映画でも観ているかのような錯覚をしました。そんな中で、人と人との接触の抑制により、外食、レジャー、宿泊、運輸など広範な業種で打撃を受けています。そこで今回はコロナウィルスの感染拡大のため企業の活動自粛により売上の大幅ダウンが見込まれる社長様の役員報酬の減額に関する内容のご紹介です。

役員報酬について

通常ですと、役員報酬は期中の変動ができません。 これは身内の報酬はお手盛りで利益が上がれば報酬を増額させ、利益が下がれば報酬も下げるという利益操作が可能だからです。よって一般的には役員報酬の改定(金額の変更)が出来る場合は①事業年度開始後3ヶ月以内の定時改定、②臨時改定事由による改定、③業績悪化改定事由による減額改定などがございます。このうち、③業績悪化改定事由による減額改定とは、経営状況が著しく悪化したことなどにより、やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情がある場合の減額改定のことをいいます。今回はこの業績悪化改定事由による減額改定についてご紹介をさせていただきます。

コロナショックに伴う役員報酬の減額について

上記でも紹介したように原則は役員報酬は期中の変動ができません。しかし、例外としてこのような緊急事態の状況では社長様や奥様の役員報酬の減額が可能となります。「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」ではコロナだから特別というのではなく従来の役員報酬が減額改定できる事由にこのコロナ関連の減額が相当しますと紹介されています。例えば月々70万円だったものを35万円に下げないと資金繰りが厳しい!などという場合には月額の役員報酬を減額することは可能です。ただし、減額となるのは、実行月から期末までの間で期首から遡及はできませんのでご注意ください。また、その際には社会保険料の改定も実施することにご注意ください。

事前確定届出給与として賞与の設定をされているお客様へ

事前確定届出給与として賞与の設定をされているお客様でも月々の役員報酬を減額することが可能です。 また、年一、二の賞与の額の変更をすることも可能となっています。その場合には、税務署へ「事前確定届出給与に関する届出書」及び「議事録の変更版」を作成して再度税務署に提出をすることになります。その上で変更後の金額を実際に支給するようにお願い致します。

役員報酬の自主返納について

役員報酬の減額改定に代えて、一旦受領した役員給与を自主返納するという方法もございます。よくテレビで大企業の役員が部下の不祥事を起こしたことにより「3ヶ月分の報酬を自主返納しました。」などと紹介されています。しかし自主返納の場合には一旦通常どおりの役員報酬の支給はあるため、源泉所得税や社会保険料を徴収する必要が出てきますのでその分の税と保険料が無駄(厚生年金部分は積み立てされるので除外)となってしまいますから、現実的にはやはり役員報酬の自主返納よりは報酬額の減額の方がいいでしょう。なお自主返納分は会社側で雑収入に計上されることになります。

最後に

様々な方が「戦後最大の危機的状況」と言われています。先日も税務調査途中の件で担当者から「このような状況が収束するまで調査は一旦ストップします。」という連絡がありました。税務の世界でも今まで過去に一度もなかったような確定申告と納付期限の全国延長、税と社会保険料の一年間の納税猶予などなど様々な法律の特例が適用されています。今回のコロナショックは一生懸命に会社の業績を伸ばしてきた人達に容赦なく襲いかかりました。「危機は企業を鍛える」といえ、倒産をしたら元も子もありません。しかし、危機により変革を加速し、それに柔軟に対応しないと生き残れないのかもしれません。逆境に立ちすくむか、不況はチャンスと奮い立つかで差が広がるように感じます。そして、当分続く「アフターコロナ」「ウィズコロナ」に対して歯を食いしばって乗り越えましょう。

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ABOUT執筆者紹介

税理士
黒川 豊

黒川税理士事務所

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