快適なリモートワークのためのインテリアが求められるフェーズに
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首都圏に2度目の緊急事態宣言発令
2020年春、新型コロナウイルス(COVID19、以下新型コロナ)の感染拡大を受けた初めての緊急事態宣言発令によって、企業は活動を大幅に抑制され、大慌てでリモートワーク(含む在宅勤務・テレワーク)への対応を迫られました。その後、リモートワークの利便性や生産性の向上を評価し、働き方改革の観点からもオフィスの縮小や本社の地方移転などに舵を切る企業も増える一方、新型コロナの一時的な収束により通常の勤務体制に戻る企業が多いことは皆様実感されていることでしょう。
2021年が幕開けたばかりの1月8日、再びの新型コロナ感染拡大により1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令されて以降、列島の各都市部も拡大され、企業に再びリモートワークの推進・奨励や時短営業などが求められることとなりました。
リモートワークをベースに組み込んだ働き方を推進すべきとき
新型コロナの詳細は専門家に任せますが、感染拡大の波が何度も訪れることは当初から言われており、ワクチンや治療薬などが確立されるまでは、従前からの「3密(密接・密閉・密集)を避ける新しい生活様式」が企業活動にも求め続けられるため、分散出社、交代出社やリモートワークをベースに組み込んだ働き方を推進・継続すべきことは明らかです。
この約1年間、リモートワークに対して一時的な対応でやり過ごしてきた企業は改めてビジネスモデルや業務プロセスの見直し、VPN等のネットワーク環境の改善に取り組むべきです。
リモートワーク環境に対する要望と限界
リモートワークでは円滑な業務遂行のためにWEB上におけるミーティング・営業・面談等が欠かせないので、企業としてはオフィスのインテリアやレイアウトと同様にリモートワーク環境に対して一定の水準や基準を求めたいところです。社員等には出来ればオフィス同様に整理整頓され見栄えの良い環境を整えて欲しいと願うでしょう。
各地にサテライトオフィスを保有する企業でもなければ、リモートワークの場は個々の社員の自宅になることがほとんどであり、家庭のインテリアやレイアウトに企業が直接的に注文を付けることは到底難しく、許される範囲を超えてしまい、反発や不満を生じさせることにもなりかねません。
とはいえ個人にすべて委ねてしまうと、企業が望むリモートワーク環境の構築・整備は難しく、業務に支障を来すこともあり、企業の要望はたちまち限界に達してしまいます。
ES・CSの向上を図るリモートワーク環境の相談・支援体制
リモートワークは家庭環境の一部に業務環境の提供を求めるため、社員やその家族にとって経済的・空間的・精神的な負担をかける面が出てきます。そこで、大手をはじめとした企業の中には、リモートワーク環境の導入に対して、臨時手当などで諸費用を負担軽減する支援策を設けたり、各家庭のストレス軽減や仕事の質向上やES(従業者満足度)とCS(顧客満足度)の向上を狙い、福利厚生サービスの一環としてリモートワークのためのインテリアに関する相談・支援体制を設けたりするところも出てきています。
相談・支援策の具体例は?
リモートワーク環境を整備するためのPCやWEB設備等については、企業から配布・無償貸与したり、個人所有の設備等を利用する場合は手当を支給したりします。この場合、国の補助金を上手く活用すれば費用を抑えることも可能です。
また、リモートワークでは、ペンや用紙など事務用品やプリンタインク等の消耗品、通信費・電気等光熱費が家庭内で発生するので、発生した経費を精算したり、「リモートワーク手当」を月々支給したりするようにし、社員に負担をかけないようにします。
家庭内のリモートワーク環境については、インテリアの専門家(主にインテリアコーディネーター、以下IC)と連携します。環境に悩みや不満を持つ社員等の自宅へICを派遣し、間取りや既存の家具家電等に合わせてデスクなど家具のレイアウトや背景・間仕切り・照明器具等々の提案を受け、必要とされる商品の手配や設置などもICに委託します。福利厚生サービスとし、費用が発生する場合は企業が支援金を支給し社員等の実質的負担を軽減します。(家庭の環境や住宅の間取りは多種多様なので、プロのIC等に依頼することが問題解決の近道になります。専門家を介することで、社員やその家族のプライバシーやライフスタイルを尊重することもできます。)
快適なリモートワークのためのインテリアが求められるフェーズに
オフィスや工場の作業環境は、基本的に人間工学や生産管理の経験則から作業効率や能力を向上するためのレイアウト・導線・設備配置がなされています。また、整理整頓された快適な空間での作業はミスや事故を防いだり、非効率さを生じにくくさせたりもします。
リモートワークの作業効率を維持・向上するには、上記と同様に快適な空間やレイアウトが必要となります。書斎スペースや仕事部屋が確保できる場合、レイアウトの自由度は高いですが、首都圏などではスペースの確保に制約が少なくありません。SOHOの例を参考にするのも良いですが、最低1畳ほどのスペースを確保し、デスク・書棚やPC・モニターなどを効率よく配置し、心地良く疲れにくいチェアに座るようにすると、狭さは避けられないものの割と快適に仕事をすることができるようになります。
リモートワークの開始から1年近くが経過する時期となり、また働き方改革もあって今後さらにリモートワークが増えることを鑑みると、狭さや作業効率といったストレスを抱えながらリモートワークをするのではなく、快適なリモートワークをするためのインテリア・空間が求められるフェーズにいま移りつつあるのかも知れません。
環境変化が激しい時代は柔軟な対処を
世間一般的にリモートワークができるのは事務やITなどの職種だけと思われがちですが、土木や工場の現場でも導入が試みられており、5Gや6Gといった通信技術やデバイスの発展によって近い将来はあらゆる職種でリモートワークが行われるようになります。
企業が望む一定水準のリモートワーク環境を構築・整備し、さらに快適な環境にするということは、コロナ禍に限らず、将来を見据えた働き方、ビジネスモデルやビジネスプロセスの改革・変化、ES・CSの向上、DX社会への対応にもつながっていきます。
社労士、税理士、中小企業診断士などの専門家の意見も参考にし、社内の各種制度、諸手当、社員支援策等も柔軟に対処していくのが、環境変化の激しい時代に望ましい経営スタイルだと筆者は考えています。
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