人気上昇中!西洋野菜で広がる農家の可能性
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西洋野菜は面白い
ベテランから新規就農者まで、少量多品目に取り組む農家が「一度は挑戦してみたい」と思うのが「西洋野菜」かもしれません。「フェンネル」や「プンタレッラ」のような日本ではまだまだ知られていない野菜もあれば、ナスの「フィレンツェ」やオクラの「ダビデの星(Star of David)」のように日本でも良く知られている野菜の品種もあります。基本的に前者は少し栽培にコツがいりますが、後者であれば、日本の品種と大きな違いはありません。

イタリアのナス「フィレンツェ」
西洋野菜の種の選び方
西洋野菜の種は、日本の種苗メーカーから販売されているものもあれば、西洋野菜専門のオンラインショップもあります。初めて目にする西洋野菜はとても魅力的で、初めの頃は、種選びが楽しくなり、気づいたら小袋で4~5万円ほどの種を買ってしまったことがあります。
僕の過去の経験を元に、失敗しない種の購入方法を紹介します。
まとめて買う
購入先として一番多いのはオンラインショップです。種を見ているうちにあちこちのサイトを訪れることがあります。種を購入するとそこに送料が発生しますので、一カ所でまとめて買う方が経済的ですし、届く時期が揃うので栽培計画が立てやすくなります。
種を数えておく
この方法は1年目には通用しませんが、僕は苗を作る際に種の数をカウントしています。それによって、次回からの栽培計画を立てる時にどのくらいの種を購入すればよいかがわかります。数がある程度わかれば、そこに発芽率を掛け、1袋からどのくらい芽がでてくるかを計算することができます。タケイファームが栽培している品種のアーティチョークは、1袋4g入りで、発芽率80パーセントとなっています。9袋分の種まきをした時は、60粒、64粒、64粒、62粒、65粒、66粒、63粒、69粒、78粒とそれぞれ微妙に違いますが、だいたいの数が把握でき次回に向けての大切なデータとなります。

種の数をカウント

大切なデータとなります
これは、全ての野菜の種に共通しますが、同じ重さで表示されていても形や大きさによって、1袋に入っている数は違います。少し面倒に感じるかもしれませんが、無駄な購入を防ぐことができ、結果的に経費削減につながります。
外国語での野菜の呼び方を知っていますか?
僕の失敗した話です。飲食店と取引を始めて間もない頃、都内のイタリアンレストランから電話がありました。
「武井さん、ルケッタお持ちですか?」
『ルケッタ?何それ…?』 ルケッタを知りませんでしたので、
「すみません、ルケッタはありません」 と返答しました。
後で調べたらルッコラのことでした。イタリア語では「ルッコラ」が一般的ですが、「ルケッタ(Ruchetta)」とも呼ばれているようです。他にも「ロケット」と呼ばれることもあります。同じルッコラでも、ルッコラの野生種と呼ばれている品種で「セルバチコ」があります。こちらも「ワイルドルッコラ」、「セルバチカ」と呼ばれています。
このやり取りがメールであれば調べる時間もあったのですが、知識が無かったために取引のチャンスを失いました。
この失敗のおかげで、西洋野菜は、英語・フランス語・イタリア語・日本語で覚えることにしました。
タケイファームが日本最大級の畑を誇る「アーティチョーク」は英語です。フランス語では「アーティショ」、イタリア語では「カルチョーフィ」、日本語では「チョウセンアザミ」です。
フェンネルであれば、英語で「フェンネル」、フランス語で「フヌイユ」、イタリア語で「フィノッキオ」、日本語では「ウイキョウ」となります。

フレンチ・イタリアン共に注文が入るフィレンツェ
取引先のレストランのジャンルによって呼び名が違い、注文での会話も変わりますので、一つの野菜の言葉を覚える時には、今後の取引の事も考えて複数の言葉を勉強しておくことをおすすめします。
西洋野菜を販売するために
「自分で食べてみたい」と思うのであれば別ですが、販売まで視野に入れて栽培する農家もいると思います。最近では、現地からの輸入に頼っていた野菜を、日本でも栽培している農家が増えてきたことで、新鮮なものを求めるお店も増えています。農家としては、販路が見つかるチャンスでもあるのですが、それには西洋野菜を栽培していることを知ってもらうことが必要となります。
今はSNSを使えば、気軽に宣伝を始めることができます。目的に応じて投稿内容を変えられるように、僕はインスタグラムで複数のアカウントを持っています。そのため、タケイファームのアカウントの目的は、どのような野菜を栽培しているかを知ってもらうことです。
最近では、外国人シェフが西洋野菜を探すことを想定し、キャプションはすべて英語表記にしています。この投稿を続けた結果、都内のミシュラン一つ星レストランの外国人シェフからメッセージをいただき、それがきっかけで取引につながりました。
SNSを活用すれば販路のチャンスも広がります。今では気軽に手に入る西洋野菜の種は、これまでの野菜とは違った魅力を持ち、他の農家との差別化にもつながります。興味を持ったら、まずは栽培してみることをおすすめします。
ABOUT執筆者紹介
 武井敏信
武井敏信
タケイファーム代表。「営業はしない」がポリシー。今まで350種類を超える野菜を栽培し、年間栽培する野菜は約140品種。独自の販売方法を生み出し、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売している。趣味は食べ歩き。一般社団法人Green Collar Academy理事。青山学院大学ABS農業マーケティングゲスト講師。京都和束町PR大使。















