退職金の備えの小規模企業共済が有利な理由について
税務ニュース
今回は中小企業基盤整備機構(旧:中小企業総合事業団)が運営する共済制度をご紹介致します。
この制度は個人が負担するもので、支払う時も受給するときも所得税と住民税の優遇措置があります。また、契約も個人として加入するため、一切法人に関係しませんのでご注意ください。個人の税金の計算上経費になりますので、個人の節税対策となります。
小規模企業共済に加入をした方がいい理由とは?
「長年の成果を一時にもらう」退職金においては、税制上では凄い特典が三つも用意されています。退職金をもらった際の税金の計算方法は以下です。
(退職金△退職所得控除額①)×50%②=分離課税③
特典① 退職所得控除
20年以下⇒【一年】あたり40万円控除
20年超 ⇒【一年】あたり70万円控除
例えば30年間小規模に加入をして退職金をもらう際には40万円×20年+(70万円×10年)=1,500万円控除できます。仮に退職金が1,500万円だった場合には、税金は0円!となります。
特典② 課税対象は半額
上記退職所得控除後の金額の2分の1(半分)だけが課税の対象となります。
特典③ 分離課税
通常は総合課税といって、例えば家賃等の不動産所得があるサラリーマンの場合には、給与と家賃の利益は合算されて所得税の計算がされるのですが、退職金にかかる所得税は分離課税として他の所得と合算せずに税率を課されますので、所得税の特徴でもある超過累進税率の影響が回避できます。よって、この制度をフルに活用すると、大きな節税効果を得られます。
注意点としては、個人でも法人でも小規模企業共済加入した段階から退職所得控除の計算がスタートしますので、個人事業開始や法人設立後10年後に小規模加入、10年加入で共済金をもらう際には、退職所得控除の計算期間は10年となってしまいます。また、上記とは関係なく法人から支給を受ける退職所得控除の期間は20年となります。
退職金の税金計算ができるページをご紹介いたしますので、ぜひ利用してみてください。
小規模企業共済の有利について
退職金として貰う際の有利な点をご紹介させていただきましたが、毎年小規模企業共済金を支払うことで、その全額が所得控除の対象となりますので、所得税と住民税が軽減されます。例えば、所得(課税される前の利益)400万円の人が毎年36万円支払うと、所得税と住民税が大体11万円ほど節税出来ます。
銀行に100万円を預けていても金利が1円ぐらいにしかならない時代に11万円ですから、絶対に加入をした方がいいですね。
どんな人が加入資格をえられるの?
常時使用する従業員の人数が20人以下の企業(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主か役員(社長さん等)であれば加入できます。但し、医療法人等の機関は加入が出来ませんので、その場合にはMS法人(メディカルサービス法人:別法人)で加入することは可能です。
いくら払うの?
掛金は月額で、1,000円から70,000円まで500円刻みとなっています。増額はいつでも可能ですが、減額は一定の要件が必要です。支払いの最低額は、年間40万円です。これは一年間の退職所得控除額が40万円与えられていますので、この制度をフルに活用するための額となります。また、一年分の前払いをすると、その全額が控除の対象ともなりますので、節税対策としてもご利用が出来ます。ご検討をされる方は、手続きはお早めにお願い致します。(最高84万円)
※掛金は個人が負担し、年金と同様に全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。
給付として受け取るときにも、一時払い、分割払い、また条件を満たせば一時払いと分割払いの併用を選択することも可能で、分割払いの場合は年金と同様の公的年金等控除の適用が受けられ、一時払いで受け取る場合には退職金と同様の控除が受けられます。
小規模企業共済の窓口
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
法人番号 2010405004147
〒105-8453 東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル
共済相談室 050-5541-7171
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