22 August

【創業ガイド Vol.09】「法人設立したら銀行口座を作ろう」

掲載日:2022年08月22日   
起業応援・創業ガイド

法人設立をしたら、法人口座(法人用の銀行口座)を開設しましょう。どこで作ればよいのか、口座開設に審査はあるのか、注意点など法人口座開設に必要なことすべてをこの記事にまとめてみました。

法人口座は必要?

法人口座は以下の2つの理由から、作ることをオススメします。

  • 顧客に安心を与える
  • 法人のお金の管理がしやすい

顧客に安心を与える

法人と取引する際に、振込先が個人名義であるよりは「法人名義」である方が取引相手に安心を与え、会社の信用にもつながります。

事業のお金の管理がしやすい

法人口座を作り、事業とプライべート(個人)の取引をしっかりと分けることで、事業のお金の流れが明確になります。事業とお金は絶対に切り離せないので、最初から法人口座を作り、しっかりとした経理・資金繰り管理の仕組みを作りましょう。

また、法人口座をMoneyLinkなどクラウドで連動することで、金融機関の明細を自動で取り込むことができるため経理処理が非常にスムーズになります。

 

法人口座を開設する銀行はどこがいい?

銀行の種類

銀行には大きく5種類あり、それぞれ以下の特徴があります。

大手銀行(メガバンク)

みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行を指し、取引先からの信用を得やすいという大きなメリットがあります。ただし審査は他より厳しく、手数料も高めという特徴があります。

また、メガバンクが融資の対象とする取引先は上場企業などの大企業が主になりますので、設立初期の法人が融資を受けるのは非常に難しいでしょう。

地方銀行

地域密着型の銀行です。信用金庫よりは、金利が低く融資の基準は緩やかであると言われています。地域経済促進型のサービスを提供しており、親身でビジネスマッチングの相談にも応じてくれます。融資も大手に比べて受けやすいです。

信用金庫・信用組合

組合員や会員の出資から作られている金融機関です。地域での事業を支援しているため、都市銀行よりは口座が作りやすい特徴があります。融資などを検討している方には、信用金庫がオススメです。ただし、金利は他より高めになります。

ネット銀行

Webや郵送のみで手続きが完了します。他銀行より審査が通りやすく、審査機関が短いというメリットがあります。また、振込手数料などの負担も軽いという特徴があります。ただし、代表的な節税である「中小企業倒産防止共済」の引き落とし口座にできないというデメリットがありますので、注意してください。

ゆうちょ銀行

審査が10日前後と比較的早く、ATMで現金の引出が無料でできるというメリットがあります。ゆうちょ銀行は中小企業への融資を行っておらず、また、代表的な節税である「中小企業倒産防止共済」の引き落とし口座にできないというデメリットがありますので、注意してください。

法人口座を選ぶポイントは?

法人口座を選ぶ際は、下記から優先する事項を選んでそれに適した銀行を選びましょう。

  • 信用力
  • 融資
  • 送金手数料の負担
  • 審査のとおりやすさ
  • クラウド会計との連携に対応

法人口座はいくつ必要?

個人的には、最初は2つの口座を開設することをオススメしています。
そのうち、ひとつはネットバンクを入れておくと送金手数料なども安く便利です。

2つ口座を作ったら以下のように分けてお金を管理するのは私も実際に行っている管理方法です。

  • 事業用
  • 納税資金用(納税用の資金をプールしておく口座)

 

法人口座の条件と手続き

法人口座を開設できる条件

銀行開設時には「審査」があり、信用できる会社であると銀行に認めてもらう必要があります。実際に法人口座がつくれなかったというのはよく起こることです。

口座開設できる条件というのが明確にされているわけではありませんが、一般的には、以下の3点が銀行口座を開設しやすい条件となります。

① 事業所の住所に実態がある

実際に登記の場所が確認できる場所であることです。銀行によってはバーチャルオフィスでは口座開設ができないことがあります。

② 事業内容が明確である

事業内容がわかりやすく、説明できることが必要です。ホームページや会社案内、事業計画など何をしている会社か説明できる資料を用意しましょう。

また、定款や謄本などに記載の事業内容が多岐にわたっていると何をしている会社かわかりづらいため、銀行から信用されず口座開設できないことがあるので注意しましょう。

③ 資本金

法人設立の手続きは、資本金1円から行うことができます。しかし、資本金が低すぎると会社の事業を行う元手がない会社は信用できないと判断されてしまうこともあります。

ちなみに、口座開設の審査が通らなかった場合でもその理由は教えてもらうことができません。銀行により対応は異なるので、メガバンクの審査が通らなかった場合でも信用金庫やネット銀行に口座開設できることもあります。

法人口座開設に必要な書類

法人で口座開設をする際には、個人の口座開設よりも準備する書類が増えます。
以下が一般的に必要な書類になりますが、銀行により異なりますのでご自身でも開設予定の銀行に必要書類を確認されてください。

必要書類

  • 定款
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 会社印(口座の届出印)
  • 代表者実印
  • 代表者印鑑証明書
  • 代表者の身分証明書

 

まとめ

法人の口座開設は開設に条件もあり、必要書類も多くなかなか大変だと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも法人として事業を続けていく上では、取引先の信用を得られるという大きなメリットもありますので是非開設されてみてください。

あなたの起業があなたの希望に叶った形でうまくいくことを心から応援しています!

ABOUT執筆者紹介

税理士 吉村知子

ブログ 起業家の税金の知恵袋

ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。

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