<経費精算カフェ店長が解説>経費についてスッキリ解説!
税務ニュース
みなさま、こんにちは。税理士の脇田です。2022年9月から、月末の2日間だけ「経費精算カフェ」店長をしております。2023年の3月には、スペシャル版「確定申告カフェ」を開催し、1月2月の経費精算カフェと合わせて満員御礼でした。
今回は、「経費精算カフェ」「確定申告カフェ」で多かった質問を中心に、経費について解説していきます!
「経費精算カフェ」ってなに?
経費精算カフェとは、高円寺にあるカフェで、毎月、月末の2日間(1日4時間)だけオープンします。
事前予約が必要で、ルールは3つ。
- 「経費精算」を目的とした方しか入店できません
- 入店時に店長に「経費精算」の目標を宣言します
- たてた「目標」が終わるまで退店できません。
※経費精算とは、経費を帳簿につけたり、領収書の整理をしたりすること。
経費精算カフェでは、ScanSnap(スキャナー)利用可能、ホットドリンク飲み放題、全席電源コンセント/USB高速充電器つき、Wi-Fiも入り、マウスや電源アダプター無料レンタル…などなどサービスが充実しています。
なにより、自宅で一人でやるより、他の人たちも黙々と経費精算をしているので妙に頑張れるんです。さらには、店長(私=税理士)に簡単な質問ができる、とのことで、年明けには大変話題になり、お申込みも多くいただきました。
よくある質問
さて、オープンする前は、フリーランスの方々しかいらっしゃらないのかと思っていたのですが、意外にも会社員の方の参加もありました。
ご自身の出張等の経費精算を経理に出さなきゃいけないのに、ついつい後回しにしてしまう、という方など。とはいえ、会社員の場合は、それぞれの会社で「経費として認められるもの」が決まっていると思うので、会社のルールに従って経費精算をすることになり、店長に質問したいというよりは、集中して経費精算できる場所を求めている様子でした。
一方、特に年明け(確定申告前)の参加者の多くを占めたフリーランスの方々は、一言に「経費精算」といっても、事業の内容や規模も違います。悩みも様々。そんな中でも、10日程度オープンして改めて気付いた、よくある質問、多くの方が疑問に思うもの、について解説していきたいと思います。
質問1「家賃やスマホは何割くらい経費になりますか?」
このご質問はとても多いです。ただし、単純に「3割です」とか「5割です」とお答えすることはできません。というのも、人によって、家賃やスマホを、どのくらい事業に使っているかが異なるからです。
この場合、「何割、事業で使ってますか?」と唐突に聞いても即答しづらいと思うので、「部屋数はどのくらいか」「1週間のうち何日くらい家で仕事をしているのか、1日のうち何時間くらい事業のために使っているのか」「スマホはほとんど仕事で使ってるか、プライベートでもけっこう使っているか」などお聞きしていくと、少しずつ「それでは私の場合は〇割くらいだな」と答えが出てきます。
実際、きっちり何割かなんて誰にも正解は分からないので、もしも税務署の人に「どうしてその割合にしたのか」と聞かれたときに、説明のできる割合であればいいですし、それを主張できるようにしておきましょう。
電気代や車両関連費なども同様の考え方になります。
質問2「一人で食べるご飯代とか美容代(美容院、ネイルなど)は経費になりますか?」
原則として経費になりません。というのも、事業をしていなくてもご飯は食べますし、美容院やネイルも(する人は)すると思われるからです。
ただし、カフェ等で一人でランチをしつつ仕事をするいわゆる「ノマド」をしたときや、テイクウト弁当を買ってきて食べながらお客様とオンライン打合せをする、などの場合は経費になります。また、飲食店や料理教室を経営している方であれば、材料や接客、味の研究ということで経費になる可能性が高いでしょう。
同様に、例えば美容関係のお仕事をしている方なら、美容院代やネイル代について、技術や接客業を学ぶためと説明できれば、経費になるでしょう。
いずれにしても「売上をアップさせるのに必要なもの」であることが必要です。単に「最低限の身だしなみを整える」というのは、事業をしてなくてもするでしょうから経費とは認められません。
「その事業をしてなくても支払うもの」は経費にならない、「その事業をしているから支払うもの」は経費になる、と考えるとよいと思います。
質問3「去年払った税金や国民年金保険料などは経費になりますか?」
税金や保険料については、経費になるものとならないものがあります。また、経費にはならないけど「所得控除」として、所得(利益)から差し引けるものもあります。
経費にも所得控除にもならないもの |
|
「事業主貸」勘定で登録。もしくは無視。 |
---|---|---|
経費になるもの |
|
「租税公課」で計上 |
所得控除になるもの |
|
「社会保険料控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」でそれぞれ、一定額差し引ける。 |
たまに、国民健康保険料や生命保険料などを、事業所得の計算上の「保険料(経費)」として計上している方がいらっしゃいますが、事業の経費ではありません。確定申告書の作成の「所得控除」で引いてください。
月に一度の経費精算はおススメ!
ほかにも本当に様々なご質問があり、ここには書ききれないのですが、みなさんおっしゃるのは「自分ひとりだと絶対こんなに進められなかったです!」ということ。私自身、自分の経費精算はなかなか進まず、確定申告期限ギリギリに慌ててやって、「来年こそは!」と思いつつその繰り返し…ですから、そのお気持ち、よく分かります。大学受験や税理士試験も、家だと集中できず、自習室だとはかどったタイプです。
でも、申告期限ギリギリになってから気づいたのでは遅いこともあります。法人なら決算月、個人なら12月までには最終利益の予想を立て、対応すべきことがあれば決算月(12月)のうちにする、それが理想です。自分ひとりで計画的には絶対できない、そんな方には、経費精算カフェのような場所(強制的にやらざるを得ない場所)に身を置いてやるのは本当にお勧めです。
月に一度、数時間だけ経費精算に集中して、すっきりした気持ちになって、また仕事に専念する、というのはいかがでしょうか。
インボイス相談カフェも開催!
2023年10月に開始されるインボイス制度。「どう対応したらよいかわからない」「課税事業者になった方がいいの?」「請求書の形式はどう変えたら?」など、様々な疑問を持っている方も多いでしょう。そこで、税理士の脇田先生が店長を務める「インボイス相談カフェ」を東京・高円寺にて開催いたします。
開催日時 | 2023年5月24日(水) |
---|---|
場所 | 高円寺三角地帯 |
定員 | 10名(先着申込順) |
入場料 | 2,000円 |
ただし、ソリマチグループのサービス(FinFinユーザー、インボイス王ユーザー)は当日受付時に500円引き!
当日の概要
ミニセミナー | 15:20-15:50 |
---|---|
質問タイム | 16:00-17:00 |
わいわいタイム | 17:00-18:00 |
店長である脇田税理士のインボイス制度についてのミニセミナーのほか、自分がどうすれば良いか、わからないことなどすぐに税理士に聞ける貴重な機会です。皆様の疑問と不安を解消できる場所にしたいと考えています。
最後には「わいわいタイム」としてソリマチグループバックアップの元、軽食を取りながら、参加者の皆さんが楽しくお話したりするネットワーキングの時間も設けております。ご興味をお持ちの方は、ぜひご参加ください!
ABOUT執筆者紹介
税理士 脇田弥輝
脇田弥輝税理士事務所は、脇田弥輝氏が代表を務める税理士事務所。脇田氏はセミナー活動、子育てをしながら働く女性を応援するブログ発信、租税教育などの多方面で活躍している。
脇田弥輝税理士事務所
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改正された電子帳簿保存法について、「これだけは最低やらないといけない」ことと、「やりたい人はやってもいい」ことの両方をわかりやすく解説しています。
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