二次健康診断等給付
社会保険ワンポイントコラム
ゴールデンウィークが終わりました。これから夏休みまでは大型連休もありませんので、体調に気をつけながら業務に励まなければなりませんね。そこで大切なのが会社の定期健康診断!年に1回、正社員の方はもちろんのこと、パート社員の方でも契約期間が1年(一定の有害業務の場合は6ヶ月)以上で、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上の方には、会社は定期健康診断(一次健康診断)を受診させなければなりません(費用は会社負担です)。受診者の取りまとめと診断日程、それに受診医療機関などとの事前調整が必要ですので準備はお忘れなく。
健康診断後の対応
健康診断を受けさせ終えてもまだ安心はできません。常時50人以上の労働者を使用する事業者は受診後遅滞なく「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署へ提出しなければなりませんので、全員分の集計作業が必要になります。そして事業場の人数に係わらず、健康診断の結果に異常があった方と今後業務上で問題となるおそれのある結果となった方には、会社として必要な対応をしなければなりません。
具体的には、要再検査の診断があった方には近日中に再検査を受けるよう案内をし、すぐに治療の必要がある場合には、早期の治療を促すと同時に必要があれば職務内容や働き方の配慮も必要でしょう。そして、「過労死」等のおそれのある結果の方には「二次健康診断等給付」という制度があることを、会社の担当者は知っておくべきでしょう。
二次健康診断等給付とは
二次健康診断等給付とは、過労死(業務上の事由による脳血管疾患、及び心臓疾患の発生)等を予防するため、健康診断(一次健康診断)において、次の4つの検査すべてについて異常があると診断された場合に受けることができます(ただし、労災保険の特別加入をしている方、及びすでに脳血管疾患等の症状がある方は除外されます)。
4つの検査とは、血圧測定、血中脂質検査、血糖検査、BMI(肥満度)の測定、です。
二次健康診断等給付の内容
二次健康診断等給付には1.二次健康診断と、2.特定保健指導があり、それぞれ、受診者が費用を負担することなく受診可能です。
1.の二次健康診断は、「空腹時血中脂質検査」「空腹時血糖値検査」「負荷心電図検査または胸部超音波検査」「頸部超音波検査」「ヘモグロビンA1C検査(一次健康診断実施済みは除く)」「微量アルブリン尿検査(一次健康診断で尿たんぱくが擬陽性または弱陽性の場合のみ)」の検査を受診することができます。
2.の特定保健指導は、「栄養指導」「運動指導」「生活指導」を二次健康診断1回につき1回、医師から受けることができます。
これらの検査や指導を受けることにより、今後の過労死等のリスクを軽減させるわけです。
給付の仕組み
二次健康診断等給付を受ける時は、二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に必要事項を記入して会社が証明を行い、一次健康診断の結果の写しなどを添付したうえで、労災病院または都道府県労働局長が指定する病院もしくは診療所を経由して、所轄の都道府県労働局長に提出する仕組みになっています。過労死が発生してからでは取り返しがつきません。会社担当者の方は該当する診断結果の方に対して、この制度の案内をしてください。