15 August

クレジットカードにはメリットがたくさん!自動仕訳で業務の効率化を目指してみませんか?

掲載日:2022年08月15日   
税務ニュース

事業経営者には、ある程度共通している「やりたくないこと」と「やりたいこと」があります。例えば、次のような「やりたくないこと」は、多くの方が納得するのではないでしょうか。

  1. お金を払いたくない
  2. お金の記録をつけたくない
  3. 会計ソフトの入力をしたくない

やりたくない理由はシンプルです。これら経理や会計と呼ばれる作業が、事業の目的である「やりたいこと」に対して直接的に貢献しないように思える活動だからです。

逆に経営者が「やりたいこと」も見てみましょう。

  1. お客さんが喜ぶ
  2. 社員が喜ぶ
  3. 儲かる

これは分かりやすいと思います。事業者によってその理念は多様ですが、概ねこのようなものであると思います。今回は、これらの「やりたいこと」を実現し、「やりたくないこと」を回避するためにクレジットカードが有効だ、ということを説明していきます。

 

1. お金を払いたくない

お金を払うことを支出と言います。クレジットカードを使うと、支出を減らすことができます。現金を使った取引と比較してみましょう。当然ですが、現金で商品を買うと、その場で商品を受け取り、同時に現金を支払うことになります。つまり、売買が成立した時点でお金を払う訳です。

クレジットカードの場合はどうでしょうか。クレジットカード決済をすると、その場で商品を受け取りますが、同時に銀行の預金から決済金額の引き落としがされる訳ではありません。例えばJCBカードの場合は毎月15日に締めがあり、翌月10日に引き落としされます。つまり、もし3月16日にクレジットカードで決済をした場合、締めは4月15日で、支払いは5月10日です。約2ヶ月お金を払わなくても良い訳です。

仮に、クレジットカードを使い始めた最初の1事業年度の資金収支として考えた場合には、売上金は365日分入金されますが、支払いはそれよりも2ヶ月分も少なくすみます。これは運転資金の得をしていることになります。しかも、商品を買った側には金利や手数料はかかりません。

このようなお話をすると、頂く質問があります。「事業の経費のうち、クレジットカードで払えるものは少ないから意味がないのでは?」という質問です。実際にはどうでしょうか。クレジットカードで支払えるものの一例を見てみましょう。

多様な取引に対応しています。意外と知られていないのが、税金がクレジットカード決済できるということです。ご商売の状況によっては、税金はかなりの額になります。その支払が遅らせられるのはありがたいと感じる事業者の方も多いと思います。クレジットカードで決済可能なものをクレジットカード払いにまとめていくと、資金猶予が生まれますので、積極的に活用すべきだと思います。

また、支払い期限を伸ばすだけでなく、そもそも支出をしたくない、というご希望にもクレジットカードは有効です。上記のようにクレジッドカード決済にまとめていくと、事業用のカードでもポイント が貯まります。例えばJCBカードの場合、決済額 1,000円で1 ポイントが付与されます。この1ポイントをAmazon での決済に利用すると3.5 円相当として利用できますので、単純に得ができます。なお、事業用の決済で貯まったポイントは、税法上の取り扱いに配慮して利用する必要があります。一度顧問税理士に相談頂くと良いと思います。

 

2. お金の記録をつけたくない

事業者にとって、お金の記録をつけ残高を管理すること、つまり経理をすることは、適切な納税申告をするためであったり、正しい財務諸表を作成するためであったりと、避けることができません。しかし、請求や決済を行うたびに、様々な帳簿の残高管理をするのはあまりに面倒です。実際に事業主の方が管理しなければならない帳簿のうち、主要なものには次のようなものがあります。

では、ここで質問です。次の5個の帳簿のうち、残高の管理が簡単なものはどれでしょうか?

答えは預金通帳です。預金通帳は決済が行われると、決済履歴と残高の記録は金融機関側が自動で処理をしますので、その残高がズレることはありません(もしズレたら社会的な大事件です)。よって、残高管理が非常に簡単です。

では、もう一つ質問です。上記の5個の帳簿のうち、残高の管理を簡単にすることができるもの(改善が容易なもの)はどれでしょうか?

少し意地悪な質問かもしれませんが、現金出納帳です。そもそも現金でなければ決済ができない取引先というのは、現在では非常に少なくなっています。一部の飲食店やコインパーキングなどだけで、多くの事業主にとってはそもそも事業用途で利用する機会がないものです。ですので、現金を使うのを辞め、キャッシュレス化し、代わりにクレジットカードを用いることで残高の管理を自動化することができます。クレジットカードの残高はクレジットカード会社が管理しますので、こちらも預金通帳同様に残高がズレることはありません。キャッシュレス、という言葉からは直接イメージしにくい効果ですが、事業主の方にとっては非常に便利な機能です。

なお、社員の立替経費というものも多くの場合、現金精算を伴います。社員用にクレジットカードを発行しておけばそのような手間も省くことができます。

 

3. 会計ソフトの入力をしたくない

事業の目的は利益です。その利益を出すために重要なことのひとつに、現状の利益を把握し、改善策を検討することがあります。さらに、利益を把握するためには費用と収益を事業年度などの期間で対応させていくことが必要で、多くの事業者では会計ソフトを用いることで、このような処理を行っています。しかし、利益は知りたいが、会計ソフトの入力は面倒くさい、というのが事業者の意見です。これもクレジットカードを用いることで、圧倒的に効率化できます。この効率化の仕組みを解説するために、会計ソフトの仕様について少しご説明をしておく必要があります。

会計ソフトとは、仕訳と言われる形式で取引を記録すると、先程申し上げたような利益が見えるように集計をしてくれるツールです。現在では取引の記録は手入力をしなくても、通帳のウェブ明細の読み込みなどをすることで自動的に処理されます。この会計ソフトの自動仕訳機能とは、”同じ取引先に対する入出金は、同じ内容の取引である” という前提から、過去に記録された取引から推定して勘定科目を引き当てて処理をしています。預金通帳の場合、次のようなイメージです。

この場合、◯◯不動産に対して過去に行った支払い取引の際に「地代家賃」として仕訳処理していたことを会計ソフト側が記憶していて、今回の5月6日に行った支払いについても「地代家賃」として処理をしようとしています。この勘定科目を引き当てるための鍵として利用している情報が、◯◯不動産という「取引先名」です。つまり、このような預金通帳などの経理帳簿に正しく取引先名が記載されていて、それが会計ソフトにインポートできる形式であれば、会計ソフトの入力業務に時間を使う必要がなくなります。

ひとつ前の「2. お金の記録をつけたくない」で触れたことと似ていますが、そもそも手書きや手入力には時間がかかります。また、エクセル等の表計算ソフトを用いる場合でも、取引先名を打ち間違いしたり、取引金額を誤る(360円と390円など)ことはよくあります。手書きや手入力よりも、自動で記録された履歴や残高から仕訳処理を行う方が、効率が高く正確性も高いことは明らかです。

この会計ソフトの自動仕訳の機能が、みなさまの会計業務をどの程度効率化するのか、というイメージを持っていただくためにも、先程一度掲載したクレジットカードで支払えるものを再度見てみましょう。

今回注目してほしいのは、「払えない」の方です。みなさんは普段これらの支払いをどのように行っていますか? 預金通帳からの振込か、引き落としの方がほとんどではないでしょうか。つまり、事業用の支払いの殆どはクレジットカードとインターネットバンキングを用いれば、そのウェブ明細の連携で会計処理までを自動で行うことができ、圧倒的な効率化が可能だということです。専門知識も特殊なツールも不要で、すべての事業者の方が今すぐに実践できる効率化です。

当然、売掛や買掛の発生を記録することは決済手段とは関係ありませんので、クレジットカードやインターネットバンキングを用いても効率化できませんが、その場合には会計ソフトに連携可能な販売管理ソフトなどを用いれば解決できます。参考までにソリマチ製品を軸とした場合の経理ツールの構成を掲載しておきますので、参考にしてください。

※会計ソフトにソリマチ製品を用いる場合の経理ツールの構成例

販売王給与王は買い切りソフトで月額利用料がかかりません。事業規模等にもよりますが、様々な補助金を使うこともできます。インターネットバンキングの口座維持費が気になる場合は、ネット専業系の銀行(PayPay銀行、セブン銀行、SBI銀行、楽天銀行など)で口座を作ると良いと思います。振込手数料も店舗系の銀行や金庫よりも安く便利です。得意先との関係上、売上の入金口座を変えにくい、借入金の返済がある、という場合でも、支払い用の銀行口座だけネット専業系の銀行に変更することは可能ですし、十分効率化できると思います。これを気にクレジットカードと合わせて経理周りを見直してみてください。

 

クレジットカードの活用度合いをチェックしてみましょう

ここまでお読み頂いた上で、現状でどの程度クレジットカードが活用できているか、チェックしてみましょう。

  • プライベート用と別に 事業用クレジットカードを発券済みですか?
  • 社員の立替経費を含む現金払いをクレジットカード払いにまとめ済みですか?
  • 預金払いの中のうちクレジットカード払い可能なものは、すべてクレジットカード払いにまとめ済みですか?
  • クレジットカードのポイントを活用済みですか?
  • クレジットカードを会計ソフトの自動仕訳機能(MoneyLink等)に連携済みですか?

※No のものがあれば、まだまだ経理や会計の効率をあげることができます。

まとめ

経理が大変、手間がかかる、などの悩みを持った経営者は非常に多く、求人サイトでも経理担当者の募集は後を絶ちません。しかし、経理や会計で困った時にまず検討すべきことは、採用や増員ではなく、キャッシュレス化とクレジットカードの利用です。経理担当者を雇うことは年間100万円以上の支出増加になりますが、クレジットカードの場合はゴールドカードでも1万円程度の年会費で、ポイントや特典もつき、資金繰りの猶予も得られます。

クレジットカードを事業で使うことが経理改善である、という考え方はまだまだ浸透しているとは言えませんが、専門知識も特殊なツールも不要で、すべての事業者の方が今すぐに実践できる効率化です。是非ともご検討ください。

また、更なる経理の改善にご興味がある場合は当社までご連絡ください。どのような問題があり、改善によってどの程度効率化できるかをウェブ会議で診断させていただきます。

ABOUT執筆者紹介

小泉直哉

株式会社ミッドランドITソリューション 取締役
一般社団法人 日本業務効率・情報安全研究機構 執行役員

士業事務所のデジタル・トランスフォーメーション(DX)について、事務所個別の最適化だけでなく、全ての事務所が使える理論体系への整理とその活用のための手法を研究・実践している。セキュリティや経理業務の領域等では特許等も複数有している。

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