10 May

貸借対照表から健康状態を診断

update_2020年05月10日   
税務ニュース

法人税や所得税の課税対象は当期・当年の利益に基づき計算されます。利益は売上から仕入を差し引いた売上総利益から一般管理費等を差引いた額です。何を今さらです。どうしても損益計算書に目が向いてしまいがちになります。利益が出ればとてもハッピーという感情が多くの方々の脳裏に焼き付いています。経営者の方に「今期の業績状況はいかがですか」という問いかけに、「売り上げが〇〇円になっていて、前年比〇〇%伸びている」という話がほとんどです。

税理士という立場からも「税」という課税対象額を算出するためには損益計算書は切っても切り離せない存在でもあるわけで、どうしても貸借対照表を軽視しがちになります。しかし昨今の保険税制の変更に伴う全損型保険の大幅な見直しなどによる税の繰り延べが制限される時代を迎えました。利益に対して資金残高は同じく増加しているのか、この点を重視していかなくてはと考えます。

毎期、利益が計上される中で、貸借対照表の流動資産が流動負債と固定負債の合計よりも多いという理想的な体系になっているでしょうか。しかも流動資産には不良資産がなく潤沢な現金預金がある状態です。一方で、多額の設備投資資金を短期借入金で調達したり、棚卸資産が増加して資金繰りが悪化したのに利益はしっかり生まれていたり、売上のみを重視して売掛金の回収がおろそかになったりしていませんか。

しかも、この売掛金は勘定科目の中で一番たちが悪い科目なのです。材料を購入して社員が付加価値をつけて出荷しても売掛金の回収が決算後となれば、資金の回収前に税金だけは先に納めなくてはなりません。その上、回収できなかった場合は、売掛金相当額で発生した税金分は回収できても売上原価相当額は永久に回収できません。踏んだり蹴ったりです。

こんな状況に遭遇すると徐々に資金繰りが悪化し、危篤的な貸借対照表になってしまいます。理想的な貸借対照表がいきなり危篤的な貸借対照表になることはありません。逆もまたしかりです。なにかしらの症状が現れ、企業の健康状態が損なわれる症状があれば適切に治療しなくてはなりません。健康な企業であれば、定期健康診断を欠かさず、もし健康状態が損なわれているようであれば早めの治療を施さなくてはなりません。「勘定合って銭足らず」という言葉があります。利益が出ているのにお金がないという状態です。どんなに損益計算書で利益を出していても、貸借対照表で現金預金がなければ、いずれ資金ショートを起こして倒産ということになりかねません。

今まで以上に貸借対照表を意識的に注視しながら、繰越利益剰余金と現預金残高が同額程度になるような貸借対照表を目指しませんか。資金繰りから解放され、未来に対する取り組みに集中できることで、さらに強靭な体力を持つ企業に変身しませんか。そのためには納税は絶対条件となります。

ABOUT執筆者紹介

代表・税理士 小野英範

人口6万人ほどの九州一暑い日田盆地に密着し、地方特有の少子高齢化の波の中で、お客様の事業存続のために、会計業務の原点である月次決算の重要性と適正な利益による納税が資金繰り改善に最も有効であるこを経営者に説明しながら、元氣企業の創出に日夜奮闘している。

小野英範税理士事務所

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