24 November

実践型の生きたスキルが身につく!経理マインドを強化しよう!【前編】

掲載日:2022年11月24日   
税務ニュース

経理マインドとは?

中小企業の経理の仕事には、太い柱が二本必要だと考えています。

一本目は専門的な知識の柱、二本目は社長に「今すぐ話したい!」と思われるための仕事力という柱です。
二本目の柱である経理の仕事力。これが経理マインドから培われるのだとすれば、それを強化するためにはどうするか?

中小企業の経理の目的のひとつに、社長の会社経営をよりスムーズに手助けすることがあります。ということは、経理担当者こそが会社の命運をかけた重要ポストであるともいえるでしょう。

経理マインドを鍛えることにより、簿記検定や税理士試験といった試験勉強では学ぶことのできない、実践型の生きたスキルが身についていきます。すでに中小企業の経理という職に就いている方が、実践型の生きたスキルを身につけると何が起こるのか?それは、今よりも視野が広がることであり、いまよりもはるかに多くの選択肢をもつことができることです。

私の考える経理マインドを、6つご紹介したいと思います。このお話は前半と後半に分け、前編で3つ、後編で3つ、をご紹介します。

【経理マインド1】経理担当者のマインドセット

たくさんの仕事を覚え、経理担当者として毎月ルーティンを回していく・・・。業務の一つ一つは、少し覚えればなんとなく進めることができるようになるかもしれません。すると、経理の本質を捉える前に、無駄を省くための効率化を図るといったことに手を伸ばす人がいます。

多くの場合、中小企業の経理業務のフローは、過去の担当者がその時々にぶち当たった問題を解決するために積み上げてきた、とても貴重な経験に基づいた業務フローです。だからこそ、まずはその無駄とも思えるフローを100%真似てみることから始める。実はこれが最も実利的であることが多いのです。

業務をこなすだけではなく、社長が必要とする情報を届ける。そして社長が見落としていることをキャッチしてお伝えすることができる。ここまでできれば、社長と二人三脚で会社を切り盛りしていけるレベルになり得ます。

会社内部で動く数字を追うだけではもったいなさすぎます。なぜなら、そこから発見できるヒントがたくさんあるはずだからです。そのヒントに気が付くことができるために、まずは会社をじっくり知ることから始めたいものです。例えば、すでにあるオフィシャルの会社組織図とは別に、自分の目から見た組織図を作ってみたり、会社の歴史を調べてみたり、過去の帳簿をぱらぱらと覗いてみたり、特殊なお金の流れに注目したり。

与えられた業務だけではなく、その背景にある物語を読み取ることで、過去の担当者の誰にも持てなかった視点をもち、考えることができる、唯一無二の経理担当者になることができるでしょう。そして社長が補いきれない、社内の細かな変化への対応や、その会社に欠落しているポジションを見つけて、自ら積極的にそのポジションを引き受けることができれば、経理のみならず仕事の幅が広がります。改善すべきことが山のようにあると感じ始めれば、会社経営を自分事としてとらえはじめた証拠です。

【経理マインド2】経理担当者の学びとスキルアップ

経理職の募集要項で、簿記検定2級以上といった条件がよく挙げられますが、簿記を知っているだけでは、経理職の知識としては不十分です。逆に、簿記検定は3級でも充分だと私は考えています。

不十分だと考えるのは、経理に付随する幅広い分野の知識が必要だからです。例えば生命保険料の支払いの取引を起票するためには、税務の知識が必要です。全額を保険料という勘定科目で起票することに何の疑いももたなければ、修正の必要性に気が付くことができません。気が付く力を養うためにも、広い知識が必要です。

税理士試験を受けてみるのはとても良い経験です。どんな仕事をするにしても、学ぶことを続けなければスキルアップはできませんから、インプットを欠かさないこと、それをアウトプットしながら確実に自分の血肉にしていくことをお勧めします。運よく試験に合格すれば税理士資格を取得する選択肢が生まれるかもしれません。

税務以外にも、マーケティング、ITツール、情報発信力、表現力、資料作成力といった新たなスキルも絶対に役に立つものとしておすすめです。これらの知識は、経理以外のどんなポジションでも有効な能力ですから、経理なのにこんなことまで…と尻込みせず、前のめりに情報を吸収していくのがおすすめです。

【経理マインド3】WhatではなくWhyのシンキングスキル

経理の業務は、伝票を起票(会計ソフトに入力)して試算表を作成したり、決算書を作成したりすることによって「答え」が出ます。 陥りがちなのは、その「答え」を提示することがゴールだと思ってしまうこと。

その「答え」を導き出すに至った過程で気が付いた「疑問」に着目することがポイントなのです。一つ一つの取引を確認し、会計ソフトに入力するという膨大な過程を積み上げるなかで違和感を感じたことは、経理担当者にしか気が付くことができない「疑問」です。どんなに小さな違和感でも、「疑問」をもとに、なぜそうなったのか、を起点に会社の課題として提案できるポジションは経理担当者しかいないとすれば、重責ですよね。

次回は引き続き、経理マインド4、5、6をご紹介します。(後編へ続く)

ABOUT執筆者紹介

税理士 うばとしこ

税理士。大学卒業後、大手リース会社の営業職、税理士事務所への転職、結婚、出産を経て、2016年4月に税理士登録、2017年11月に独立開業。主に法人税務顧問のほか個人事業主を対象とした経理サポートのオンラインサロン「ゆるふわ経理部」を主宰。YouTube「ゆるふわチャンネル」での発信活動、全国各地の商工会議所や法人会、その他上場企業からの直接オファーで年間約50本のセミナー講師を務める。各種媒体への執筆活動は多数実績あり。2022年6月「経理マインドの強化書」出版/中央経済社、2023年5月「図解と会話でまるわかり!インボイスと消費税がすべてわかる本」出版/ソーテック社

事務所HPYouTubeTwitter

「経理マインドの強化書」出版/2022年6 中央経済社
「図解と会話でまるわかり!インボイスと消費税がすべてわかる本」出版/2023.5 ソーテック社

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