最低賃金、大幅引き上げの動き
社会保険ワンポイントコラム
毎日暑い日が続いていますが、みなさまのご体調はいかがでしょうか。この暑い季節に熱い話題が登場してきました。今年の最低賃金額が大幅アップされそうだというニュースです。厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会では、2015年度の地域別最低賃金額について全国平均で18円引き上げ798円という目安をまとめました。
最大の上げ幅
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最低賃金の額は2002年に日給から時給に切り替えられたのですが、今回の引き上げがこの目安通りであれば、時給額に切り替え以降最大の上げ幅となります。最低賃金額は都道府県ごとに決められますが、目安では東京都や大阪府は19円、静岡県などは18円、岡山県は16円となっています。東京都は現在888円ですので、目安通り上がれば時給907円とついに900円台を超えることになります。
決定ではない
最低賃金額は中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に引き上げ額の目安が提示され、その目安をもとに地方最低賃金審議会は改正の審議を行います。現段階は中央最低賃金審議会の目安が提示された段階ですので、まだ決定額ではありません。なお、地域別最低賃金の決定基準は、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払い能力、を総合的に勘案して決めることになっています。
最低賃金の種類と対象者
最低賃金額は上記の「地域別最低賃金」のほかに産業別の「特定最低賃金」の2種類が存在し、後者は特定の産業で労働する人が適用となります。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される方の場合、いずれか高い方の最低賃金額が適用されます。なお、最低賃金額はパートタイマーやアルバイトなどの名称にかかわらず、すべての労働者が対象となります。
派遣労働者の場合
派遣労働者の場合、適用される地域別最低賃金額は、派遣元事業場の都道府県ではなく、派遣先事業場の最低賃金額が適用となります。ですから、東京都の派遣元から茨城県の事業場に派遣された場合は、で東京都の888円(2014年度の金額)ではなく、茨城県の729円(同)が適用になります。
注意点1
最低賃金額は上記のように時間単価で決められています。これは月給制の場合も同じですので、月給の方は時間当たりの金額を算出し、その金額が最低賃金額を上回っていなければなりません。
月給額 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 = 時間単価 ≧ 最低賃金額
注意点2
地域別最低賃金額が変更後の金額に適用となる「発効日」は都道府県によって異なります。この発効日当日より新しい最低賃金額が適用され、会社の給与締日の影響は受けません。したがって月末締めの会社で発効日が10月15日だった場合、10月15日分から変更するか、または10月の初めから新しい最低賃金額以上の給与にしなければなりません(11月分の給与からの変更はNGです)。
注意点3
最低賃金額を守らなかった場合の罰則については、最低賃金法により50万円以下の罰金と定められています。
最低賃金額がいくらで決定するのか、経営者の方にとっても気になるところですね。