20 June

きちんと知っておきたい!令和3年度 「事業承継」に関わる税制改正

掲載日:2021年06月20日   
税務ニュース

事業承継に関わる税制と聞くと真っ先に浮かんでくるのが「事業承継税制」かと思います。こちらは主に親族に事業を承継する際に発生する相続税もしくは贈与税に対応する税制特例になります。こちらにつきましてはすでに様々な書籍並びにネット記事でも多く触れられてございますので今回は取り上げません。

今回取り上げる事業承継に関わる税制は親族外承継=M&Aを対象とした税制改正になります。親族外承継についてはすでに国から補助金などの措置が設けられており、今後も国を挙げて支援すべき重点項目の一つです。この点、令和3年度税制改正におきましては二つの大きな税制改正が準備されました。今回はこちらについてご紹介させていただきます。

株式対価につき自社株式を対価として交付することが認められるように

一つ目は株式対価につき自社株式を対価として交付することが認められる改正です。

上記の一文につきましては正確には会社法の見直しになります。税制ではこの改正を受けて自社株式を対価として受け取った株主に対する課税を繰り延べる措置が設けられました。例えばA社の株主である甲さんがB社に株式を譲渡する際、現金による譲渡であれば譲渡益に課税がなされます。また、現金に換えて上記の方法である自己株式(B社株式)の交付を受けた際にも税制の改正がなければ譲渡益が認識され同じく課税されることになります。課税されたとしても現金で受け取っているのであれば納税は可能となりますが受け取る対価がB社株式の場合は納付が困難となることも想定されます。

この点、今回の税制改正により甲さんがB社株式を取得した時点では課税されない(課税を免除するわけではなく繰り延べる)こととなりました。こちらを正確に実現するためには詳細な要件を満たす必要がありますが決して難しい要件ではありません。

買い手サイドで多額の資金の準備が必要になる点、譲渡する株主に譲渡益課税がなされる点に対して税制による優遇措置が設けられたことでより柔軟性が増したと言えます。

他社の株式を取得した会社において一部損金計上が可能に

二つ目はM&Aにより他社の株式を取得した会社において一部損金計上が可能となる改正です。

M&Aでの株式の取得は税金計算上、有価証券の取得として経費(損金)にはできないというのがこれまでの常識でした。私の経験でもこの点がネックとなり譲渡金額の大きなM&Aが進まないケースに立ち会うことも過去ございました。

今回の改正により株式の取得価額をそのまま経費(損金)にすることができるようになったわけではないのですが、準備金の積立という手続きを踏むことでその積立額を経費(損金)として認める措置が設けられました。具体的には取得価額の70%までの準備金の積立が経費(損金)として認められることとなります。
こちらは5年経過したら取り崩さなければならい(その際は収入(益金)として認識)といった注意点がありますので課税の繰り延べである点は一つ目の改正と同じです。
また、青色申告の提出、経営力向上計画の認定、株式の保有期限の成約などいくつかの注意点もございます。
とはいえこれまで一切経費(損金)計上できなかった株式の取得についてこのような措置が設けられたことは親族外承継=M&Aを推進するうえで有益であることは間違いございません。

 

今回ご紹介させていただきました2つの税制改正を正しく理解し活用することで親族外承継をより効果的に実現いただければ幸いです。
ここに書ききれなかった注意点もございますので、いざ実行の際はM&Aに明るい税理士へのご相談を行っていただくことを最後に申し添えさせていただきます。

ABOUT執筆者紹介

税理士 小嶋 純一

税理士法人中山会計

大学卒業後、税理士法人中山会計にて代表社員税理士専務を務める。相談しやすさNo.1を体現する税理士として、自社の経営の実践並びにお客様の経営サポートを兼務。M&Aスペシャリスト及びM&Aシニアエキスパートの資格を有し、事業承継の出口をサポートするコンサルティングを15年来推進。保険会社・銀行・商工会議所・各士業等とのタイアップによるセミナーなど全国で多数講演。身近な相談窓口として活動中。

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