<連載>副業をはじめよう!【第5回】副業はどこまで経費にできる?初心者向けの明確なルールとヒント
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副業をご検討されている方、すでに開始されている方、副業の経費計上の基本について知っておくことは大切です。この記事では、副業における経費の計上方法と、その重要性について分かりやすく解説します。※
※副業が事業所得や雑所得の区分で行う方を前提とします。副業がパートアルバイトの場合は、給与所得に該当しますので、ご自身で経費を計上することはありませんのでご注意ください。
副業の経費の基本
副業での経費とは、その活動に直接関連する必要経費のことを指します。これには、仕事で使用する機器の購入費、通信費、事務用品の購入費などが含まれます。経費を正しく計上することは、「節税」という意味で大きな役割を果たします。ただし、経費が多ければいいというものでは決してなく、適切に経費を使っていて、事業として利益を出せているのかが重要です。
しかし、副業の経費として計上できるものとできないものがあるため、その区別を理解することが重要です。ここからは、副業での経費計上の明確なルールとヒントをお伝えしていきます。
計上できる副業の経費
副業で計上できる経費には、様々なものがあります。
- 旅費交通費
- 通信費
- 備品・消耗品費
- 飲食代・接待交際費
- 広告費用
- 原材料の仕入
経費とは何かと簡単にまとめると、「副業の事業に関係があり、副業の売上の獲得に貢献をするもの」です。そのため、副業の仕事内容によって何が経費になるかは異なりますし、それぞれが経費か経費ではないかを区別することになります。
最も一般的なのは、仕事に必要なツールやサービスの費用です。たとえば、副業で使用するパソコンや関連機器の購入費、ソフトウェアのライセンス費用は経費として計上できます。
また、インターネット接続料やWiFiなどの通信料も、副業に必要不可欠なものであれば経費に含めることができます。事務用品も重要な経費項目です。例えば、プリンターのインク、紙、筆記用具など、副業の運営に必要な物品の購入費は経費として計上可能です。さらに、副業に関連する書籍や資料の購入費、必要な研修やセミナーの受講料も経費に含めることができます。
そして、経費の計上において重要なのは「家事按分」という考え方です。副業と個人生活で共用するものがある場合は、使用割合に応じて経
例えば、副業で家賃の一部を経費とする場合は、事業用・プライベ
例:自宅家賃の一部を副業の経費とする場合の計算
- 1月の家賃:240,000円
- 自宅総面積:80㎡
- 副業で使用している面積:24㎡
事業用の面積:24㎡ ÷80㎡ = 30%
経費にできる額:240,000円 × 30% = 80,000円(月額)
このように、按分により適切に経費を計上することで、副業の経費を正確に計上することができます。
計上できない副業経費
副業の経費として計上できない項目もあります。
これには主に、個人的な支出や通常の生活費が含まれます。例えば、個人的な食事や娯楽に関する費用は、副業経費としては認められません。また、個人的な服装や美容に関わる費用も、副業経費として計上することはできません。
副業に直接関連しない旅行やレジャーに関わる費用も、経費としては認められません。副業での支出は、副業の売上をうみだすことにつながり、かつ必要なものに限定されるため、個人的な楽しみや利便性に関わる費用は除外されます。
売上よりも経費が多い赤字経営
副業で経費が売上を上回る場合、「赤字」となります。赤字が発生すると、副業からうみだしたお金は全部使ってしまっているわけですので、副業を継続が難しくなるだけでなく、個人の財政にも影響を与える可能性があります。この状況を避けるためには、経費の計画的な管理と、副業からの収入を増やす努力が必要です。
また、赤字が続く場合は、副業の戦略を見直し、必要に応じて経費の削減を検討することが重要です。赤字経営は、副業の持続可能性に影響を及ぼすため、定期的な財務の見直しを行うことが不可欠です。
レシート・領収書の管理方法
副業でも経費の領収書やレシートの保管は必要となります。本業で個人事業主を営む方と、同じです。レシートや領収書は、経費を支払った証拠としてのこしておく必要があります。レシートや領収書は、所得税の確定申告の際に提出の必要はありませんが、かならず手元に保管しておきましょう。
保管期間は以下の通りです。
- 青色申告:7年間
- 白色申告:5年間
また、2024年1月1日から、電子帳簿法の電子帳簿保存が完全義務化となります。電子取引で受領した書類(例:Webサイトからダウンロードする領収書や電子メールの添付の請求書)などは、紙で印刷ではなく、電子取引データの保存をする必要があります。
まとめ
この記事では、副業における経費計上の基本から、計上できる経費、計上できない経費、赤字経営の理解、そしてレシート・領収書の管理方法までを解説しました。適切な経費の計上と管理は、税負担を軽減し、副業の効率的な運営を可能にします。この記事が、副業での経理管理をスムーズに行うための助けとなることを願っています。
ABOUT執筆者紹介
税理士 吉村知子
ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。