デジタルデトックスのススメ:ストレス軽減!デジタル依存の解放術
IT・ガジェット情報
はじめに
現代社会において、デジタル機器は私たちの生活に欠かせない存在となっています。しかし、その過度な依存が問題視されるようになりました。常に情報を受け取り、即座に反応することを求められる環境は、ストレスを蓄積させ、心身の健康を脅かしています。
こうした背景から注目されているのが、「デジタルデトックス」という取り組みです。デジタルデトックスとは、一定期間意図的にデジタル機器から離れ、デジタル依存から解放されることを指します。ただし、デジタルそのものが悪だと決めつけるのではなく、デジタルとのバランスを保つことが大切です。(筆者はわかりやすくする為に、デジタルデトックスという言葉を選択していますが、デジタルの影響が必ずしも毒だとは思っていません。)
筆者自身、デジタル機器に囲まれた生活を送る中で、デジタルデトックスの必要性を強く感じるようになりました。そこで、2015年から毎年1回、自然豊かな千葉県香取市にて、2日間のデジタルデトックスを行っており、その効果を実感しまています。この記事では、筆者の体験を交えながら、デジタルデトックスの意義や方法についてお伝えして参ります。
デジタルデトックスの必要性
デジタル機器の過剰使用は、ストレスの蓄積、睡眠の質の低下、集中力の低下など、様々な弊害を引き起こすと言われています。
Common Sense Media という組織が実施した世論調査では、10 代の 50% がモバイル デバイス中毒であると感じていると回答しました。 10 代の回答者のなんと 78% が、デジタル デバイスを 1 時間ごとにチェックしていると回答しました。
アメリカ心理学会が毎年行っているストレス調査では、米国成人の 5 分の 1 (約 18%) が、生活における重大なストレス源としてテクノロジーの使用を挙げています。
筆者も仕事柄「SNSで他人の投稿を見ては自分と比較し、劣等感や不安感を抱えてしまう」という相談を受けることも多いのです。
デジタル機器による常時接続は、仕事と私生活の境界線を曖昧にし、バランスを乱す原因にもなります。こうしたデジタル機器の影響は、私たちの生活の質に大いに関わってくるのです。
デジタルデトックスは、こうしたデジタル機器の弊害から身を守るための有効な手段です。デジタル機器から意図的に離れることで、ストレスを軽減し、自分の時間を取り戻すことができます。また、デジタルとの適切な距離を保つことで、仕事と私生活のバランスを整え、人間関係を豊かにすることにもつながるでしょう。
デジタルデトックスの効果
人によって感じ方に違いはあると思いますが、デジタルデトックスには、様々なポジティブな効果が期待できると言われています。
- 心身を整える デジタル機器から離れることで、常に情報に翻弄される状態から抜け出し、自分自身と向き合う時間を持つことができます。また、就寝前のデジタル機器の使用を控えることで、睡眠の質やデジタル眼精疲労、肩こりや頭痛の低減、脳疲労の回復なども期待できます。
- 集中力と生産性の向上 デジタル機器から離れることで、通知やメッセージのない静かな環境が生まれ、自分の仕事や勉強に集中することができます。また、無駄なSNSの閲覧時間を削減し、自分の趣味や興味のあることに時間を充てられます。
- 人間関係の向上 デジタルデトックス中は、家族や友人と向き合って会話する時間が自然と増えます。オンラインでのやり取りとは異なり、相手の表情や声のトーンから、より深い感情を読み取ることができます。また、自分自身と向き合うことで、自分の価値観や人生の目標などを見つめ直す機会にもなります。
デジタルデトックスについては米国のKia-Rai Prewitt, PhDをはじめ、多くの研究者や医師が、その効果について言及しています。WHO(世界保健機関)も、デジタルメディア全般、特にビデオゲームの中毒性を指摘しており、依存症を回避する方法としてデジタルデトックスの重要性を強調しているのです。
私のデジタルデトックス体験 〜デジタルから離れる恐怖〜
筆者は、日々の業務でデジタル機器に囲まれた生活を送っています。スマートフォンやパソコンは、仕事にはなくてはならないツールですが、その利便性の裏で、知らず知らずのうちにストレスを蓄積させていました。常に情報に触れ、即座に反応することを求められる環境に、心身ともに疲弊していたのでしょう。
そんな中、ふとデジタル依存について考えさせられる出来事がありました。休日の朝、目覚めてすぐにスマートフォンをチェックする自分に気づいたのです。無意識のうちに手が伸びていることに、強い違和感を覚えました。
これをきっかけに、デジタル機器から一定期間離れることを決意。都心から離れ、自然豊かな千葉県香取市で、2日間のデジタルデトックス体験を行うことにしました。
千葉県香取市での体験は、筆者にとって大きな挑戦でした。デジタル機器から離れるということは、仕事の連絡も取れない状態になるということ。最初は不安で仕方ありませんでした。もしもクライアントからの大切な連絡を見逃したら、どうしようか。常に頭の片隅にあるのは、デジタル機器への依存症状だったのかもしれません。
しかし、いざ自然の中に身を置いてみると、その不安はすぐに消え去っていきました。デジタル機器から解放された時間は、五感を研ぎ澄ませる機会となりました。夜空には、都会では見えない満天の星。虫の声が心地よい音楽のように聞こえてきます。自然と一体になったような感覚は、心の奥底にあったストレスを洗い流してくれるようでした。 また、デジタルデトックス中は、野菜の収穫体験もしました。土の感触、太陽の光、さわやかな風。自然と触れ合うことで、心が洗われていくのを感じます。汗を流しながら、大地の恵みに感謝する。そんな原体験は、日常のストレスを忘れさせてくれました。
そして、デジタルデトックス後の変化は驚くべきものでした。仕事に取り組む際の集中力が格段に上がったのです。通知やメッセージに気を取られることなく、一つのタスクに没頭できる。結果として、作業効率が大幅に改善。 また、デジタルデトックスを通じて、感覚がより研ぎ澄まされたことも大きな収穫でした。自然の中で過ごす時間は、普段見過ごしていた小さな変化に気づく機会となりました。葉の揺れ方一つとっても、その美しさに心を奪われる。デジタル依存から抜け出したことで、世界の見え方が変わったのかもしれません。(デジタルデトックス経験後、音楽への興味が大きく増したのも面白い変化でした)
さらに、デジタルデトックス中は、家族や友人とのコミュニケーションにも変化が見られました。オンラインでのやり取りではなく、直接会って話をすることで、より深いつながりを感じることができたのです。表情や声のトーンから、相手の感情をダイレクトに感じ取る。そんな対面でのコミュニケーションの大切さを再認識させられました。 筆者のデジタルデトックス体験は、自分自身とデジタルとの関係を見つめ直す貴重な機会となりました。
2015年に実践して以降、2024年現在も毎年1回の楽しみな恒例行事となっています。自然の中で過ごす時間は、心身のリフレッシュだけでなく、感性を豊かにする効果もあったのです。デジタルに頼らない生活は、新たな気づきと発見に満ちていました。
もちろん、現代社会において、デジタル機器を完全に遮断することは現実的ではありません。しかし、定期的にデジタルデトックスを行うことで、デジタルとの健全な関係性を築くことができるはずです。自分なりのペースでデジタルデトックスを実践し、心身ともに健康的な生活を目指していきたいと思っています。
デジタルデトックスの実践方法
筆者も2015年からのデジタルデトックス挑戦において、何度も心折れそうになったことがあります。その経験から、デジタルデトックスを無理なく実践するために、以下の3つの方法をお伝えします。
- 現実的な目標設定 自分の生活スタイルに合わせた数時間のミニデトックスを設定したり、特定の時間帯をデジタルデトックスに充てたりするなど、無理のない目標を立てることが大切です。いきなりスマホを置いて旅に出る等の方法はかえって精神を追い込む要因にもなりかねません。
- 具体的な実践方法 デジタル機器の使用時間を制限したり、通知をオフにしたりするなど、具体的な方法を決めておくと取り組みやすくなります。また、デジタルデトックス中は、デジタル機器の代わりに没頭できる趣味や活動を見つけることをおすすめします。
- 持続可能な習慣化 デジタルデトックスの効果を最大限に引き出すためには、継続することが何より大切です。筆者は1年に1回(2日間)で大きな効果を実感していますが、自分に合ったペースでデジタルデトックスを習慣化しましょう。無理のないスケジュールを立てることも大切です。また、家族や友人にデジタルデトックスの取り組みを伝え、協力を求めるのも一つの方法です。
おわりに
デジタル社会を生きる私たちにとって、デジタルデトックスは心身の健康を維持するための重要な取り組みです。一時的にデジタル機器から離れることで、心の静寂を取り戻し、最適なデジタルとの距離やバランスを見出すきっかけになるでしょう。
デジタルデトックスは、自分自身と向き合い、人生の優先順位を見直す貴重な機会にもなります。まずは小さなステップから、デジタルデトックスを始めてみませんか。自分なりのペースで、デジタルとの付き合い方を見直していくことが何より大切です。
デジタルデトックスを通じて、心身ともに健康的で充実した人生を送れるよう、自分なりの方法を見つけていきましょう。
筆者が経験したように、きっと効果を感じていただけると思います。
ABOUT執筆者紹介
Webメディア評論家 落合正和
Webメディア評論家/Webマーケティングコンサルタント
株式会社office ZERO-STYLE 代表取締役
一般財団法人 モバイルスマートタウン推進財団 副理事長兼専務理事
SNSを中心としたWebメディアを専門とし、インターネットトラブルやサイバーセキュリティ、IT業界情勢などの解説でメディア出演多数。ブログやSNSの活用法や集客術、Webマーケティング、リスク管理等の講演のほか、民間シンクタンク(日本観光推進総合研究所 所長)にて調査・研究なども行う。
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