入社式まで内定者をどう繋ぎ止めるか?内定者フォローの成功事例
社会保険ワンポイントコラム
就職みらい研究所(株式会社リクルート)の就職白書2022によると、2022年卒大学生、大学院生が内定を獲得した企業数は平均2.46社。就職活動を終了した理由は「内定を獲得した企業に入社したいと思ったから」と87.1%の学生が回答しているのに対し、「できるだけ早く内定を取得し、就職活動をやめたかったから」と答えた学生も27.8%います。
内定を出してから、入社式まで内定者をどう繋ぎ止めるか。「内定者フォロー」とは、内定を出した学生の内定辞退を防ぐために企業が実施する一連の施策のことをいいます。
内定者フォローの目的を再確認しましょう
内定フォローの目的は以下の3点です。
- 内定辞退を防ぐこと
- 早期に会社に馴染めるようにすること
- 早期退職を防止すること
入社後3年間で3割が辞めると言われていますが、現在は内定と同時に転職サイトに登録する若者も少なくないそうです。会社に対するこだわりの薄い学生が増えている中、企業側はどのような施策をとればよいのでしょうか。
Z世代は”会社に対して安心感が持てるかどうか?”
まずはZ世代と呼ばれる内定者の特徴を押さえておきましょう。
デジタルツールを駆使して効率的な活動をする若者は、時間の無駄が嫌いで、最短ルートでゴールしたいと思っています。ネットなどで個別最適化された情報を取得することに慣れており、自分が知りたい情報を直接欲しいと思っています。また教育環境やSNSの影響もあり、他者からの承認を強く求めます。会社選びの基準として「良さそうな雰囲気」を求める声も多く、会社に対して安心感が持てるかどうかを重視します。
このような価値観を持つ若手世代に対する内定者フォローの具体的な事例を5点ご紹介します。
1.人事面談
なぜ内定を出したのか、面接時のフィードバックは、彼らの承認欲求を満たすことに繋がります。本人の強みや、こんな理由で当社はあなたを必要としているというメッセージを直接伝えてあげることで、お互いの信頼関係が深まります。
2.内定者懇親会
どんな同期がいるのか、今後一緒に働く先輩はどんな人たちなのか、就職後、一番不安なのは職場の人間関係です。入社前に人間関係の形成ができていると安心して入社式に臨めます。
3.研修
あらかじめ社会人としての基礎、マナーや言葉遣いを身につけることで、スムーズに社会人としてのスタートがきれます。一方的な研修だけでなく、グループワークを通してお互いを知る場をつくることも有効です。
4.SNSの活用
1ヶ月に1回程度、定期的に会社の情報を発信していくことは、企業理解を深める上でも重要です。SNSを使い、双方向のやりとりをすることで、内定者との距離を縮められ、状況を把握することが可能となります。
5.職場見学
彼らは具体的に自分がどんな仕事をするのか?を知りたがっています。それがわかるように職場見学を開催することも良いですし、時間的に難しいようであれば職場で働く先輩の姿を撮影した1分程度の動画を作成し配信することも有効です。
内定者フォローは計画的に実行しよう
大事なことは、これらの内定者フォローを行き当たりばったりではなく、計画的に行うことです。あらかじめ10月から3月までのスケジュールを計画し、内定者に日程等も合わせて通知しておくことで、内定辞退防止に繋がります。
内定者フォローを通じて社員を大切にするという会社側のメッセージを伝えることで、内定辞退、早期離職を防ぐだけでなく、内定者の安心感を生みモチベーションが向上します。企業は人なり。内定者に寄り添うことは、長い目で見れば必ず企業の成長に繋がります。
ABOUT執筆者紹介
社会保険労務士事務所サン&ムーン 田中亜矢子
1981年10月生まれ。二児の母。
2004年 愛知教育大学卒業後、岡崎信用金庫へ入庫。
9年間 営業店で投資信託や保険商品のセールスを経験後、人事部へ。5年間 採用、人材育成、労務管理を担当する。
2017年研修講師として独立。
2018年在学中に取得した社会保険労務士の資格を活かし、岡崎市で社労士事務所を開設。
専門分野は採用コンサルティング、社員教育、人事評価制度構築。
みんなが笑顔で自分らしく働き続けることのできる社会の実現に取り組む。
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