03 February

現在の採用戦略に欠かせないインターンシップの重要性

掲載日:2023年02月03日   
社会保険ワンポイントコラム

はじめに

なかなか思うように採用ができないという企業の悩みはつきないが、「2005年卒〜2022年卒マイナビ学生就職モニター調査」によると、2005年卒の学生の就職サイトへの累計エントリー社数が約91社であるのに対し、2022年卒は約20社と激減している。

これは「まずはエントリーしてみよう」という就活生の動きが変化しているためである。大学3年生の春頃、就活準備開始時に、彼らは消費者の立場で元々知っている有名・大手企業を中心に就職を考え始める。学生の視野が広がるタイミングは、夏季インターンシップの応募が始まる頃であり、その辺りから業界研究、企業研究などを経て発見した企業へ興味を持ち始める。そして、ここで知った企業、インターンシップに参加した企業の中からエントリーする。現在、インターンシップは母集団形成の上で欠かせないものとなっている。

インターンシップ実施企業は、「マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査」によると、2016年卒は30%程度だったが、2022年卒に関しては約74%と大幅に増えている。また、学生のインターンシップ参加率は、2016年卒は58.2%だったのに対し、2022年卒では84.5%と8割を超える学生がインターンシップに参加している。そして、学生一人あたりのインターンシップの参加社数は、2016年卒は2.6社であるのに対し、2022年卒は5.1社となっている。

これは、コロナ禍においてインターンシップのあり方が大きく変化したためである。

インターンシップの分類

インターンシップは大きく4種類に分けられる。

(1)セミナー型

多くは1日の「ワンデーインターンシップ」という形で実施され、実質的には会社説明会のような位置付けのもの。夏季〜冬季インターンシップで実施されることが多く、大学3年生を対象とする。

(2)プロジェクト型

数日から1週間程度の短期のもので、課題に取り組むワークショプを実施したり、現場に配属したりするケースもある。インターンシップに参加するための選考があるケースも多い。セミナー型同様、夏季〜冬季に大学3年生を対象として実施されることが多い。

(3)就業体験企業独自型

数ヶ月以上に渡る長期のインターンシップで、有償で会社の一員として責任や裁量を与えられて働くことが多い。通年に渡り、幅広い学年の大学生を対象に行われている。

(4)就業体験産学連携型

短期も長期もあり、無償・有償どちらのケースもある。大学と受け入れ機関との間で協定を結び、単位認定されるケースもある。大学2、3年生を対象に、通年実施している。

コロナ禍で広まったのは「セミナー型」で、オンライン、1日で参加できる企業が増えたため、学生のインターンシップ参加社数が増えたのである。オンラインという参加ハードルの低さから、志望する業種や職種だけでなく、視野を広げるためという理由で元々関心がなかった業界のインターンシップに参加するケースも多い。

また、あえてオンラインではなく対面のインターンシップを選ぶ理由としては、「自己PRで話せるネタ作りのため」「社会人としてのマナーが身につきそうな内容だったから」という理由が多い。

つまり、インターンシップの良し悪しを決めるのに「オンラインかリアルか」は問題ではなく、「質の高い経験ができるかどうか」に焦点をあてて、学生は活動をしているのである。

満足度の高いインターンシップを開催するために

満足度の高いインターンシップ開催に必要なこととしては、下記の3点が挙げられる。

(1)プログラム内容だけでなく、インターンシップの前後に力を入れる

事前学習として、実施前に参加目的の明確化や目標設定、期待される成果をあらかじめ考える機会を提供したり、事後学習として、活動の評価やフィードバックを受けたり学びを振り返る機会をもつようにする。

(2)実務の体験が満足度の向上ではない可能性もある

実務体験によって「リアリティショック」を受けるケースもある。その後のフォローで想像と現実のギャップを埋められると、企業と学生のマッチングを向上させられる可能性がある。

(3)インターンシップの成果を学生に明確に伝える

「どういう体験ができるか」だけでなく、参加することで「どういうスキルや能力が身につくか」を学生にきちんと説明して伝える。

現在インターンシップに取り組んでいない企業は、まずワンデーインターンシップから始めてみてほしい。そしてすでに取り組んでいる企業は、上記のような工夫をすることで、より学生の満足度向上をはかり、志望度を高めることが有効である。

さいごに

以前に比べ、求職者が企業を選択するための「軸」が多様化しており、採用活動の難易度は年々上がっている。求職者が透明性のある情報を求める中で、人事担当者がするべきことは何なのか。今一度考えてみたい。

ABOUT執筆者紹介

社会保険労務士事務所サン&ムーン 田中亜矢子

社会保険労務士事務所サン&ムーン 代表

1981年10月生まれ。二児の母。
2004年 愛知教育大学卒業後、岡崎信用金庫へ入庫。
9年間 営業店で投資信託や保険商品のセールスを経験後、人事部へ。5年間 採用、人材育成、労務管理を担当する。
2017年研修講師として独立。
2018年在学中に取得した社会保険労務士の資格を活かし、岡崎市で社労士事務所を開設。
専門分野は採用コンサルティング、社員教育、人事評価制度構築。
みんなが笑顔で自分らしく働き続けることのできる社会の実現に取り組む。

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」

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