【家電ライターが解説】オフィスでも使える衣類除湿乾燥機
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じめじめとした梅雨が日本全国を覆う梅雨時。「梅雨がない」と言われる北海道でも、本州ほどではないものの雨が続き湿度が高い日が続きます。きちんとエアコンが動いていても、少し古いビルや小さな事務所では、空気がよどんでいる場所があり、そこだけジメジメ、蒸し暑いなんてこともあります。おそらく給湯室や更衣室、什器が並ぶ資料室や倉庫は、エアコンの風が回りにくい場所です。
さらに雨の日は大変です。通勤でびしょ濡れになってしまったり、出先から帰ってきてもびしょ濡れのままデスクワークしたりと、下手をすれば夏風邪を引きかねません。また雨の日の更衣室は、通勤で濡れた服でいっぱいになり、湿度以上に生乾き臭で、運動部の部室の様相です。
そんな時にオススメしたいのが、オフィスのエアコンと併用して使いたい「衣類除湿乾燥機」です。
営業部や更衣室に設置したい衣類除湿乾燥機
衣類除湿乾燥機は、空気清浄機ほどのサイズに除湿器が入っていて、上部の送風からファンやサーキュレータなどを使って部屋全体に乾燥した空気を送ります。エアコンは除湿した水を屋外に出すための工事が必要ですが、衣類除湿乾燥機の場合は本体内にタンクを備えているので、工事不要であちこちに持ち運んで使うこともできます。
たとえば更衣室に衣類乾燥除湿器を設置しておけば、雨で濡れて出社した人の衣服をかけておくスペースを用意しておけば、およそ10kgの衣類を1時間半で乾かしてくれます。洗濯機の乾燥機と違うのでシワになることもありません。また製品によっては下向きに送風できるものもあるので、通勤で濡れてしまった靴を乾かすこともできます。
びっしょり濡れてしまっても短時間で乾燥させてしまうので、匂いの原因となるカビが繁殖することもなく、朝の出勤で濡れた服がお昼前には乾きます。
衣類をかけられるハンガースタンドなどがあれば、エアコンの吹き出し口のような送風口を持つタイプがいいでしょう。乾いた空気をまんべんなく送風して乾かしてくれます。三菱の製品は、濡れたものを見分けるセンサーを持っているので、化繊ですでに乾いた衣類には送風せず、厚手の綿でできた乾きにくい衣類だけに集中して送風するという賢い製品もあります。
また更衣室全体を除湿したいという場合は、送風口にサーキュレータが搭載されている製品がオススメです。左右の首振りだけでなく上下にも首を振る製品などもあり、サーキュレータの強力な風で部屋全体に除湿した空気を循環してくれます。
さらに空気清浄機相当のフィルターを備えた機種もあるので、部屋を浮遊する衣類のホコリだけでなく、衣類についていた花粉やPM2.5、カビやウィルスもフィルターで吸着し、部屋にこれらを飛散させない製品もあります。
とくにオススメしたいのは営業部など外勤が多い職種です。電車であろうと車であろうと、雨の日の営業はどうしても濡れてしまいます。社に戻っても着たままジャケットとズボンを乾かし、エアコンの寒さを我慢して報告書や書類を作っているという方も多いはず。衣類除湿乾燥機と乾燥している間に着る服を会社に用意しておけば、濡れた衣類は乾燥させて、寒さに耐えながらデスクワークすることもありません。通勤で濡れたままの衣類を着て、午後のお得意先まわりに出かけるなんてこともありません。通勤で濡れた衣類は昼までには乾くので、午後は乾いた服を着て営業に出られます。
全館空調で夜にエアコンが切れてしまうビルの倉庫などにも
オフィスビルによっては、全館空調のため夜間はエアコンが切れてしまうというところもあるでしょう。管理会社に申請すれば空調を運転できるという物件もありますが、昨今の電気代高騰でかなりの電気代が間接費としてのしかかってきます。とくに人はそれほどいないのに倉庫を持つ品質管理や総務部といった部署は、面積比でエアコンの電気代が乗せられる場合がほとんどなので管理職の悩みどころでしょう。
湿度が製品や商品に影響を及ぼさない場合はいいのですが、紙類やファブリック、精密機械や金属など影響を受けるものはかなり多くあります。そんな時は全館空調が切れている間だけ、衣類除湿乾燥機を運転するという手があります。部屋の規模にもよりますが、電気代は1時間あたり数円~数十円なので、全館空調の利用料より安くできます。またタンク式で満水になると自動的に運転が止まるので水漏れの心配がありません。もし外気が入って来るのでタンクがすぐに満水になってしまうという場合は、ホースをつないで排水できるタイプもあります。
また「衣類」ではなく部屋を乾燥させる「除湿器」もあります。どちらも構造的には同じものなので、販売店などに聞いてみるといいでしょう。ただ注意する点が1つあります。どの除湿器も長時間運転していると、部屋の除湿はできますが、室温が上がってしまいます。この上限温度を設定できるものもあれば、運転中は徐々にですが室温が上がり続けてしまう場合もあるので、温度管理の厳しい製品や商品には向きません。
このように除湿器を上手に使うと、電気代やエアコン利用料を節約しながら、より良い状態で製品を保管・管理することも可能です。「湿気で段ボールが弱くなって、持ち運ぼうとしたら破れた!」なんてことはよくあること、一考してみてはいかがでしょうか?
梅雨だけでなく冬には結露防止にも
除湿器というと梅雨時の季節家電と思われがちです。しかし冬には窓などの結露防止にも使えます。車のエアコンをフロントガラスに送風すると曇りが取れる「デフォッガ」や「デフロスタ」と原理は同じです。窓が結露するだけならいいのですが、結露した水滴が窓回りや床に溜まってしまうと、カビの原因になり、下手をすると書類や商品・製品を濡らしかねません。
そんなときは衣類除湿乾燥機などを窓に向けて送風するだけです。乾燥した空気を窓に吹き付けるので、結露する前に蒸発してしまいます。とくに冬の雨や雪の日は、窓が結露しやすく、大人数が集まるオフィスはそれだけで結露しやすくなります。冬の結露でお悩みの方にもぜひオススメします。
ABOUT執筆者紹介
家電ライター/エンジニア 藤山哲人
「羽鳥真一モーニングショー」「ZIP!」「ゴゴスマ」「イット!」「news every」「Nスタ」などのワイドショーやニュースで節電や省エネを含めた家電などのコメンテーターとして多数の番組に出演。またレギュラーのラジオ番組のほか家電専門媒体「家電Watch」や「現代デジタル」「文春オンライン」などでも、家電やその回りの技術記事を“優しく楽しく面白く”解説している。
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