1年で大きく進化したChatGPTの最新機能をまとめてチェック
IT・ガジェット情報
Contents
ChatGPTが公開されて1年が過ぎました。生成AIは以前からは想像もできないほど、強烈なスピードで進化し、雨後のタケノコのように様々なサービスが登場しました。初期のころ、ChatGPTを利用した様々なプロダクトがリリースされましたが、今はそのほとんどがChatGPT単体で実現できてしまいます。
あまりにも状況の変化が速く、情報をキャッチアップするだけでも大変です。しかし、この第4次AIブームには乗り遅れないほうがよいと思います。スマートフォンやインターネットの登場よりも、社会に大きなインパクトを与えるものなので、いち早く触り、生成AIとはなんなのかを理解して、AIスキルを身に付けておくことをお勧めします。
今回は、最新のChatGPTがどうなっているのか、どんなことができるのかをまとめて紹介します。
GPTがどんどんとアップデートされている
ChatGPTは2022年11月にリリースされ、2か月でユーザー数が1億人に達しました。当時は、GPT-3.5のみが利用でき、プロトタイプとして公開されたのですが、それでも人間のような回答をするので注目を集めました。
2023年2月には有料版のChatGPT Plusがリリースされ、3月にはより高性能なGPT-4が有料版に公開されました。その後、ブラウジングやコードインタープリタ、プラグインといった機能が追加されています。コードインタープリタは現在、「高度なデータ分析」という名称に変更されています。ブラウジングは一時期無効化されていましたが、現在では使えるようになっています。
また、ChatGPTは2021年9月までの情報で学習されていましたが、現在は2023年4月までの情報も扱えるようになっています。2023年11月にはUIがアップデートされ、大型の新機能も追加されました。
扱えるトークン量も当初は4Kトークンでしたが、情報は公開されないまま8Kトークンに増え、現在は16Kトークン程度は利用できるようになっています。1万1490トークンある「走れメロス」の全文を入れても、きちんと処理できるのです。
ただし、12月に入り、GPT-4が出力する内容のクオリティが落ちている、と話題になっています。12月はホリデイシーズンなので、働かないことを学習した、といった信じがたい話も出ています。実際の原因は不明で、OpenAIは修正を検討しているそうです。このように、ChatGPTの状況は刻一刻と変化しているのです。
Pythonでデータ処理やプログラムの実行ができる高度なデータ分析
まずは、画面構成をチェックしてみましょう。以前は中央上部にあったGPTの選択スイッチは左上のプルダウンメニューになりました。さらに、高度なデータ分析やブラウジングなどの機能が、「GPT-4」にまとめられました。つまり、メニューを切り替えなくても、プロンプトで「データ分析をしてください」とか「●●をウェブで調べてください」などと指示するだけで動作するのです。そのため、GPT-4を選択すると、プロンプト欄にファイルをアップロードするアイコンが追加されています。
ChatGPTでDALL-E 3から画像を生成できる
DALL-E 3はOpenAI社が開発している画像生成AIです。以前から単体でサービスを提供しており、マイクロソフトはBingAIチャットに搭載しています。10月のバージョンアップでやっとChatGPTから画像を生成できるようになりました。
例えば「横長のリアルな写真を生成してください。白いウサギが海で楽しそうにサーフィンしています。その後ろにサメの背びれが見えています」のように指示すると、数秒で画像が生成されます。DALL-E 2と比べると画像のクオリティは格段に向上しています。
画像をアップロードするマルチモーダルに対応した
ChatGPTはマルチモーダルに対応しました。画像をアップロードし、その中に写っている内容に対して質問したりできるのです。先ほど作成した画像をアップロードして、何が写っているか聞いたところ、
「画像には、サーフボードに乗って大きな波をサーフィンしている白いウサギが写っています。背景には青くて力強い波があり、ウサギの後ろには鮫の背びれが見えます。このシュールな風景は現実ではなく、おそらくデジタルアート作品またはフォトマニピュレーションの一例です」
と回答してくれました。内容も当たっていますし、リアルな写真ではないことにまで言及されています。
ウェブにアクセスして最新情報を取得できる
最新情報を訊ねたり、URLを指定して読み込むように指示すると、ChatGPTがウェブサイトにアクセスして情報を取得します。例えば、今の人口を聞くと、「World Population Clock」のウェブページにアクセスし、人数を教えてくれます。
数百のプラグインを利用して他サービスを連携する
様々なクラウドサービスがChatGPTのプラグインをリリースしています。ChatGPTに入力されたプロンプトを解釈し、プラグインの機能を実行してくれるのです。
プラグインストアには大量のプラグインが公開されています。アップロードしたPDFを解析して受け答えができるようにしてくれたり、ウェブサイトやプログラムを作成してくれます。「Zapier」や「食べログ」などのクラウドサービスと連携し、チャットでサービスを利用するものまであります。
ChatGPTの挙動設定を行える「カスタム指示」
「カスタム指示」も有料プラン向けの機能でしたが、現在は無料プランでも利用できるようになっています。メニューから「カスタム指示」を開くと、プロンプトを設定できます。通常のプロンプトに入力してもいいのですが、毎回入力するようなプロンプトがあるなら、ここで設定しておくと手間が省けます。
チャットのやりとりを専用ページで他の人と共有できる
ChatGPTのプロンプトや出力を他の人に見せたいことがあります。画像で共有するとテキストをコピペできません。とは言え、いちいち、メールなどに貼り付けるのも面倒です。
そんな時は、ChatGPTの右上の共有アイコンをクリックし、チャットごと共有してしまいましょう。ChatGPTではなくオリジナルの画面でチャットを共有できます。現在のところは、DALL-E 3の画像は共有できません。
ChatGPTのスマホアプリがリリースされている
ChatGPTの公式スマートフォンアプリもリリースされています。外出先でもChatGPTを利用できるのは便利です。カメラ機能で写真を撮り、何が写っているか聞いたり、英語の文書を要約してもらったりできます。
ChatGPTを騙る偽アプリも出回っているので、必ずOpenAI製の公式アプリを利用するようにしてください。
自分だけのカスタマイズChatGPTアプリを作成できる「GPTs」
もっとも大きなインパクトがあるのは、11月に追加された「GPTs」でしょう。これは、ユーザーがチャットで会話しながらChatGPTのカスタマイズアプリを作れる機能です。以前はプログラムで構築し、商用サービスとして提供していたものが、ChatGPT Plusユーザーであれば、ノーコードでサクッと作ってしまえるのです。
すでに、多くの人が作った「GPTs」が公開されています。試しに、筆者が5分で作ってみました。入力されたものをテーマに画像を生成します。その際、ゴッホ調の油絵にしたうえ、署名を入れる、といった処理をしています。
ChatGPT Plusユーザーは以下のリンクから、「GPTs」にアクセスし、使ってみてください。
近いうちに、「GPTs」を販売できるストアもオープンする予定。今後は、便利な「GPTs」を作って稼ぐ人が出てくるかもしれません。
以上が、1年間で大きく進化したChatGPTの現在です。テキスト生成のクオリティだけでなく、周辺機能をどんどん充実させているのが凄いところです。ぜひ、ChatGPT Plusを契約し、すべての機能を使い倒してみましょう。
ABOUT執筆者紹介
柳谷智宣
ITライター/NPO法人デジタルリテラシー向上機構 代表理事
ホームページ
1998年からIT・ビジネスライターとして執筆活動を行っており、コンシューマからエンタープライズまで幅広い領域を手がけている。2018年からは特定非営利活動法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を立ち上げ、ネット詐欺や誹謗中傷の被害を減らすべく活動している。