銀行法の改正とフィンテック(FinTech)
税務ニュース
おサイフケータイやネットバンキングなど、いわゆる金融と情報技術を組み合わせたサービスは、わたしたちの日常に溶け込んだ感があります。また、最近では金融と情報技術に関連してフィンテック(FinTech)という言葉を見聞きする機会も増えてきました。
FinTechとは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を併せた造語ですが、既に一般的となっているスマートホンによるモバイル決済や、クラウド会計などのほか、金融とITを融合させたサービスは広がっていくと予想されています。
そのフィンテックの推進を主な目的とする「銀行法等の一部を改正する法律案」が、平成29年5月に成立しました。銀行法は昨年も改正されていますので、2年連続で改正されたことになります。昨年の改正の主な目的が、金融機関の持株会社の業務見直し(経営管理を行うことの義務付け)等だったのに対し、今年の改正は、電子決済等代行業者に対し登録制を導入する等の整備を図り、情報の共有化(API:Application Programming Interfaceの公開義務の努力化)等を図ることにあります。
これらの改正により、いわゆるフィンテック企業と金融機関のコラボレーションが推進され、利便性の高い金融サービスの実現が見込まれます。
銀行には守秘義務が課されており、顧客情報については厳しい制約があるため、外部に顧客情報を提供することは困難とされていますが、銀行法の改正により、電子決済等代行業者を登録制にし、電子決済等代行業者との連携・協働に係る方針の策定・公表等のルール作りが進められることで、これまでの規制が緩和され、今後はこれまでにない多様なサービスの提供が期待されます。