会社の役員を変更したい!~このまま役員を減らすか? 新役員を入れるか?
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会社の役員が、死亡したり、病気などで意思が表明できなくなることがあります。また、誰か一人が辞めたり、地位が変更になったりすると、ほかの役員も次々に辞めたい、地位を変更したいという意見が出がちです。そんなときは、役員を増やす前に、その必要があるかを、見直してみませんか。
役員の役割とは?
そもそも、取締役や監査役とは、何をする人なのでしょうか?
取締役とは、経営を考え、実行に移す人です。取締役間で話し合いができなければ、会社の方針が決まらなくなり、経営に行き詰まる恐れがあります。現在の取締役でいいのか、考えてみましょう。また、監査役とは、取締役が行っている経営が、会社のためになっているかを精査する役割を担っています。利益を上げるために、取締役の決定事項は正しいのか、客観的に見る役割を負っています。
監査役は、必ずしも設置しなくてはならないわけではありません。また、設置したとしても、定款の規定で会計だけを精査するように権限を制限することもできます。
役員の任期について
「任期満了」の「任期」とは、何を指すのでしょう?
任期とは、役員が役を務める期間を言います。基本的には、会社の定款に記載があります。
平成18年に会社法が施行され、株式の譲渡制限がある会社は、定款を変更すれば、取締役の任期を10年まで延ばせることになりました。それまでは、取締役の任期は2年、監査役の任期も2年(のちに3年から4年に変更)でした。役員の任期を考えなくてもいいのは利点ですが、一方で、経営が停滞していても、役員変更の機会がないという欠点もあります。会社を設立したころは、話し合って方針を決めていこうと、役員を数名置いたものの、実質的に話し合いができなくなっているなら、思い切って変更する必要があります。
まずは、定款を見直してみましょう
会社の定款を見たことはありますか? 滅多に見ないものですから、会社によっては、定款を紛失している場合もあります。その場合には、改めて株主総会を開き、定款を作り直しましょう。定款には、役員を何人設置するかなど、会社の大原則が定めてあります。たとえば、「取締役は5名以内とする」とか、「監査役は1名置く」などです。この定款と、会社法に基づいて、役員を設置する必要があります。
たとえば、定款に「取締役は5名以内とする」と規定してあったとします。同じ定款の中に、「当社は、取締役会を設置する。」と記載があれば、会社法で取締役会設置会社には、最低でも3名以上の取締役が必要とあります(会社法第331条第5項)。したがって、この場合には、取締役は3名以上5名以内ということになります。では、定款でも会社法でも3名以上の取締役が必要、と規定してあるにもかかわらず、取締役の死亡などで2名になったとしましょう。
この場合、今までどおり、新たな役員を選任して、3名以上の取締役にすることもできます。一方で、定款には「取締役は3名以上とする」と規定してあっても、経営をするうえで3名以上必要ないと思われる会社もあるでしょう。その場合には、定款を変更して、役員を少なくすることもできます。
同様に、監査役が必要なのか、監査の業務を行っていないなら、設置する必要があるのかを検討する必要があります。定款は、株主総会を開いて、変更することができます。
登記簿謄本を見てみましょう
会社の登記簿謄本も、滅多に見ない物でしょう。登記簿謄本(履歴事項全部証明書など)は、誰でも法務局に行って申請すれば、発行してもらえます。現在の役員が誰なのか、取締役会や監査役会が設置されているのかを確認できます。「取締役会設置会社」と登記されているのに、取締役が3名以上いない場合には、早急に選任する必要があります。もし、3名以上の取締役が必要ないと思われる場合には、取締役設置会社を廃止する必要があります。
会社にとって、一番いい選択を
たとえ、役員の数が減ったとしても、会社の規模が縮小するものではありません。役員報酬が減少すれば、その分の費用をほかに使用できるからです。多くの会社様が、「取締役は多いほうがいい」、「取締役会は置かなくてはならない」、と思われています。しかし、取締役会を置かなくてはならないということはありません。法律に則って、変更を加えることができます。
まずは、規則に縛られずに、経営に適している人は誰か、経営を客観的に判断するのに適している人は誰かを考えてみましょう。そのうえで、会社の役員はどのようにするかを考えてみましょう。
取締役や監査役を改めて検討する機会を得たときは、機会を逃すことなく、検討したいですね。
ABOUT執筆者紹介
司法書士・行政書士 小平磨弓
司法書士・行政書士 南宇都宮法務事務所
栃木県宇都宮市にて、平成26年開業。相続や売買による不動産の手続き、会社の設立や株式会社の登記の変更、定款変更、裁判書類作成、成年後見業務など、幅広く承ります。「近所の困りごと」のご相談を受けることが多く、和解書や合意書のご提案も行っております。
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