<連載>副業をはじめよう!【第4回】副業のお金の管理_売上編
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副業のお金の管理_売上編
近年、多くの会社員が副業やフリーランスとして働く機会を持つ時代になりました。しかし、このような働き方の中では、従来の雇用形態とは異なる「管理」が求められます。自己責任で収入や経費を管理し、税金を計算すること。これは、副業やフリーランスの成功において重要な要素です。自分自身の副業における価値を正確に把握し、その収益を最大化するためには、効果的なお金の管理が必要となります。
今回は、お金の管理、特に「売上・収入の管理」を中心にまとめています。
お金の流れを把握するから、将来の経済的不安が軽減する
副業をする方の中には、将来の経済的不安をなくしたいという理由から副業をされる方が多くいらっしゃいます。でも、実は副業でお金を稼ぐだけでは、将来の漠然とした経済的な不安はなくなりません。なぜならば、お金を稼ぐこととお金を残すことは別のことだからです。不安を払拭したければ、「お金の流れ」を把握することが必要となります。
副業でのお金の流れを簡単に説明すると下記のようになります。
2:経費としてお金を使い
3:お金が手元に残る
1から3を繰り返し、3で残したお金を活用すれば、事業の次のステージにも投資できますし、経済的な不足分を補うことができます。このようなお金の流れで、自分の生活や状況をよくしていくことで、経済的な不安が払拭されていきます。
そのためには、日々の収入と支出の管理が必要です。具体的には、売上と経費を毎月しっかりと記録することが求められます。この記録は、確定申告時に必要な情報を簡単にまとめることができ、確定申告でいくら納税になるのかわからない、現在の自分の副業のビジネスとしての立ち位置がわからないなどの不安も軽減します。
また、毎日の経費を把握することで、無駄な支出を削減し、効果的な財務計画を立てることが可能になります。
副業のお金の管理で最も重要なのは、利益視点
そして、更に副業を事業として行っていく上で、大切なこと。それは、「利益視点」をもつことです。売上からそれに係った経費をひいて、「利益」は残っているのか。ちゃんと「利益」は確保できているのか。
利益=売上ー費用
「副業を長く続くビジネスに育てる」という視点からは欠かせないことです。また、会社員で本業がある中で、副業に取り組むのは、とても大変なことです。そんな中、大変な割に赤字つづきだったりお金が全然手元に残らないような状態は避けないといけません。利益がでて、お金が残る仕組にならないと、副業へのモチベーションを保つのが難しくなってしまいます。
もちろん、先行投資で副業初期のうちは、赤字になることもあるかもしれません。でも、そんなときでも「利益視点」を持ち、段々と利益がでるように、売上と経費を使っていくことを意識し、事業戦略を創っていきましょう!
副業でも個人事業主でも事業の成功は、単に良い仕事をするだけでなく、財務をしっかりと管理することも鍵となります。適切な金銭管理は、事業の持続可能性と成長を支える基礎となります。そのため、日々のお金の管理は単なる事務作業という領域を超えて、成功への重要なステップとなるのです。
副業の売上の計上はいつ?
お金の管理の重要性を理解したところで、つぎに「売上」についてみていきましょう。副業で売上が上がってくると、でてくる疑問。「副業の売上の計上の適切なタイミングは?」売上として計上する時期は、副業の発注を受けた日なのか?納品をした日か?請求書を発行した日?それとも、売上が入金になった日なのか?
結論から申し上げますと、売上の計上日は、「すべての仕事を引き渡し、完了した日=納品日」です。
次の事例をみてみましょう。
HP制作のAさんの取引 1-4で時系列の取引とします。売上の計上はいつになるでしょうか?
- 1:4月5日に取引先からHP制作の仕事を受注
- 2:Aさんは、HP制作を10月31日に完了し、納品
- 3:Aさんは11月1日に請求書を発行
- 4:12月25日に入金があった。
正解は、2の10月31日に売上計上をするのが正しい売上の計上時期となります。売上の計上日は原則「商品を相手先に引き渡しをした日」となります。 つまり、売上は商品を納品した時点、サービスの提供が完了した時点で計上します。
よくある間違いが、お客様からの入金があった時点で売上計上するケースです。商品やサービスを引き渡す時期と代金を受け取る時期にズレがあり、12/31をまたぐ場合は、計上するタイミングを間違えないようにしましょう。
副業で現金主義売上を認識をする方法は?
確定申告では、上記で説明したように商品を相手に引き渡しをしたときに売上を計上します。しかし、例外として「現金主義による所得計算の特例」が認められています。現金主義とは、実際にお金のやり取りがあった時に、売上と経費を認識するルールのことです。
例えば、12月にサービス提供を完了した場合、請求日や入金日が1月だった場合、12月分として売上計上を行います。
「現金主義による所得計算の特例」を受けるための要件は、所得の種類によって異なります。
副業が雑所得という所得区分で申告を行う場合は、以下の要件を満たした場合は、現金主義で現金主義で所得計算をすることができます。
- 前々年の収入金額が300万円以下で、確定申告書にこの特例を受ける旨を記載すること。
副業が事業所得及び不動産所得で申告を行う場合は、以下の条件を満たした場合に現金主義で所得計算をすることができます。
- その年の前々年分の事業所得の金額及び不動産所得の金額(青色事業専従者給与の額を必要経費に算入しないで計算した額)の合計額が300万円以下であること。
- 適用を受けようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した場合には、開業した日から2か月以内)までに、税務署に「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出していること。
事業所得の場合は、雑所得とは異なり、届出なしで適用をうけることができませんのでご注意ください。
まとめ
副業やフリーランスとして働く際には、自己責任で収入や経費の管理、税金の計算が求められます。副業を通じて将来の経済的な不安を解消したい方こそ本記事を参考に、お金の管理を実践してみてください。どんな事業でもお金が必要のない事業はありません。
事業する上での土台となるお金を正確に把握し、管理することが重要です。
売上の認識についても今回の記事は副業者が必ずおさえておくことがまとめてありますので、ぜひ参考にされてください。
ABOUT執筆者紹介
税理士 吉村知子
ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。