知っておきたいYouTubeビジネス活用術
IT・ガジェット情報
Contents
有名YouTuberになる必要はありません!YouTubeはあなたのビジネスに活用できる
YouTubeと聞くと、多くの人が思い浮かべるのはアドセンス(YouTubeアドセンスに登録することで、自分の動画に広告を表示させること。一定の再生数、チャンネル登録者数を超えなければ収益は得られない。)を通じた広告収益かもしれません。確かに、多数のYouTuberがアドセンスを通じて収益を上げ、生計を立てています。驚くべきことに、一部のYouTuberは推定年収で5,400万ドルを超えているとの報告もあります。誰もが夢見るような成功ですね。しかし、こうしたアドセンスを活用した収益化には、莫大な再生数や多くのチャンネル登録者が必要となります。そのためには、高度な創造性、戦略、そして何より時間と労力が求められます。その難易度から、「私には手が出せないかもしれない…」と感じる方も多いでしょう。
しかし、その一方で、YouTubeはビジネスの集客やブランド構築の強力なツールとして機能します。特に、まだ再生数やチャンネル登録数がそれほど多くない初期段階でも、適切なアプローチを通じてYouTubeを活用すれば、有名なYouTuberにならずとも、自らのビジネスを成長させ、加速させるための強力なツールとして利用することができます。
YouTubeのビジネスポテンシャル
YouTubeは、グローバルに20億以上のログインユーザーを持つだけでなく、日本国内だけでも7000万のログインユーザーがいます。しかしこの数は、ログインしていない視聴者を含んでいないため、実際の視聴者数はこの数字をはるかに上回るでしょう。
この巨大なプラットフォームは、月間143億回のアクセスを誇り、Facebook、Wikipedia、Amazon、Instagramを上回る訪問者数を誇ります。そして、驚くべきことに、YouTubeでは毎分694,000時間のビデオがストリーミングされています。これは、大手のストリーミングサービスであるNetflixさえ超える数値です。それだけでもYouTubeがどれほど大規模なプラットフォームであるかが伺えますが、更にYouTubeは世界で2番目にアクセス数の多いウェブサイトであり、ユーザーは1日あたり平均19分をYouTubeに費やしています。
こうした統計データ(hootsuiteより https://blog.hootsuite.com/youtube-stats-marketers/)が示すように、YouTubeはその規模と影響力によりビジネスの成長をサポートする独自のプラットフォームとなっています。しかし、重要なのは、この巨大な数値に圧倒されず、YouTubeの真価を理解し、それをビジネスに活用することです。
ケーススタディとしては、Gary Vaynerchuk氏が挙げられます。彼は家業のワイン事業を、たった数年で300万ドルから驚異的な6000万ドル規模に成長させました。現在はエンジェル投資家としも活動しています。彼の成功の秘訣は何だったのでしょうか。それはYouTubeというプラットフォームをフルに活用し、自身の専門性や嗜好を活かした魅力的なコンテンツを定期的に提供し続けることでした。彼の成功は、YouTubeのビジネス活用における可能性を如実に示しています。
この巨大プラットフォームを活用し、いわゆる”YouTuber”のようなアドセンスを中心とした収益化ではなく、あなたのビジネスに寄与できるYouTubeの可能性について、以下で具体的に解説していきます。あなた自身のビジネスやサービスにとってのYouTubeの活用方法を見つけてみてください。
専門性を活かしたコンテンツ作り:自分だけの価値を伝える
成功への道のりは、自分自身の専門性や嗜好、得意分野を活かしたコンテンツ作りから始まります。
専門性を活かすことで、視聴者に対して何ができるか、何を提供できるのか、どのようにその問題を解決できるのかを明確に伝えることができます。そして、それが視聴者の信頼とロイヤリティを築き、最終的にビジネスにつながるのです。
例えば、あなたがフィットネスのトレーナーであるとしましょう。YouTubeのコンテンツは、自身のトレーニングメソッドのデモンストレーションや、健康に関する知識の共有、クライアントの成功事例の紹介など、あなたの専門性を活かして作成できます。視聴者はこれらの情報を通じてあなたのスキルや知識を認識し、あなたに対する信頼を深めます。そして、それは最終的にあなたのサービスを利用したいという行動につながるのです。
また、小売業者であれば、商品のレビューや使用方法、新商品の紹介など、ビジネスに関連する情報を提供することで、視聴者に対する価値を提供できます。視聴者は、こうした情報を通じてあなたの商品に対する理解を深め、購入意欲を引き出すことができます。
YouTubeは個々のブランディングにも非常に効果的です。特に、コンサルタント、士業の専門家、政治家、タレントなど、自身の名前や人物像が直接ビジネスに影響を与える職業の人々にとっては、YouTubeは価値あるプラットフォームと言えます。
例えば、経営コンサルタントである場合、自分自身の経験や知識、洞察を視聴者に提供する動画を定期的に投稿することで、視聴者に対し自分がどのような専門知識を持ち、どのような価値を提供できるのかを示すことができます。これにより、視聴者(潜在的なクライアント)はそのコンサルタントの専門性や信頼性を認識し、将来的にそのサービスを必要とするときにはそのコンサルタントを思い出すでしょう。
また、政治家である場合、政策の説明や選挙活動の様子をアップロードすることで、有権者に対して自分自身の信念や活動内容を具体的に示すことができます。これにより、有権者はその政治家の政策や性格、ビジョンをより深く理解し、投票の際にその情報を参考にすることができます。
タレントである場合、自身のパフォーマンスや生活の一部を共有することで、ファンとの繋がりを深め、より多くの人々に自身を知ってもらうことができます。これにより、ファンはそのタレントとより深いつながりを感じ、その結果、そのタレントへの応援やサポートの意欲を高めることができます。
このように、YouTubeは自分自身のブランドを構築し、自分自身の名前や人物像を多くの人々に認知してもらうための効果的なツールとなり得ます。ただし、これには定期的な投稿や一貫性、視聴者との適切なコミュニケーションなどが求められます。YouTubeは時間と労力を投資することで、その効果を最大限に引き出すことが可能なプラットフォームです。
これらの例からわかるように、自分の専門性を活かしたコンテンツ作りは、YouTubeでビジネスを成功させるための重要な手段です。視聴者にとって価値のある情報を提供することで、自分自身や自分のビジネスを信頼できるブランドとして認識させ、結果的にビジネスの成長につなげることが可能です。
SEOを考慮したタイトルとディスクリプション作成:ユーザーに見つけてもらえる動画を作る
YouTubeは、ただの動画共有サイトではありません。世界で二番目に大きな検索エンジンでもあります。そのため、YouTubeで多くの人々に視聴される可能性のある動画を制作するには、SEO(検索エンジン最適化)の原則を取り入れることが非常に重要となります。
まず、タイトルは動画の中心的なテーマを明確に伝えることが重要です。タイトルがあいまいだと、視聴者がクリックする前に、動画の内容を理解するのが難しくなります。また、タイトルには、検索エンジンが動画の主題を理解し、適切な検索結果として表示できるように、主要なキーワードを含めるべきです。
例えば、フィットネスのトレーナーである場合、「10分で出来るホームワークアウト!」というタイトルは、視聴者が何を期待すべきかが明確で、また「ホームワークアウト」や「10分」というキーワードは、自宅で短時間で運動をしたいというニーズを持つユーザーからの検索にマッチします。
同様に、動画の概要欄も重要な役割を果たします。概要欄は、動画の詳細な内容を説明し、視聴者や検索エンジンに、動画の主題をより詳しく伝えるチャンスです。ここにもキーワードを取り入れることで、視聴者が求める情報にマッチさせ、検索結果に上位表示させる可能性を高めます。
そしてここで、月間検索数が少ないキーワードについて考えてみましょう。これらのキーワードは競争が少なく、一見すると魅力が少ないかもしれません。しかし、成約につながる優先すべきキーワードである場合、これらは貴重な機会となります。たとえ再生数やチャンネル登録が少ないチャンネルであっても、適切にSEOを活用することで上位表示をさせやすく、自分のビジネスに寄与する視聴者を獲得することができます。
例えば、先ほどのフィットネス動画のディスクリプションでは、「この動画では、たった10分で実践できる自宅での簡単なホームワークアウトをご紹介します。時間が限られていても効果的に運動したい方に最適な内容となっています。動画内では、自宅で手軽に行えるエクササイズを取り入れています。」のように具体的に内容を説明し、キーワードを巧みに取り入れると良いでしょう。
このように、SEOを活用したタイトルとディスクリプションの作成は、動画が見つけられる可能性を大きく上げるための重要なステップとなります。やみくもに再生数を追うのではなく、キーワードの検索ボリュームが少なくても、適切にコンテンツを発信することで、あなたのビジネスに貢献する可能性があります。
しかし、興味深いことに、YouTuberは、ブロガーと比較してもSEO及びキーワードを意識している人の割合は低いように感じます。YouTubeにおいてはまだまだチャンスが広がっているのです。SEOの原則を理解し、適切なキーワードを選定してコンテンツを制作することで、競争の激しいYouTube環境であっても、後発組が存在を示すことは可能になのです。
おわりに 〜”YouTuber”的な活動をしなくても、YouTubeにはビジネスに寄与するさまざまな活用方法がある
以上のように、YouTubeはビジネスに寄与するさまざまな活用方法があります。有名なYouTuberになることを目標にしなくても、自身の専門性を活かしたコンテンツ作りやSEOを考慮したタイトルとディスクリプションの作成などを通じて、YouTubeを活用することで、あなたのビジネスの成長を促すことができます。
アドセンスを中心とした収益化には一定の要件が必要ですが、YouTubeは単なる広告収益のチャンス以上の価値を持っています。専門知識の共有、商品紹介などを通じ、集客やブランド構築も可能です。自身のビジネスに合わせた方法でYouTubeを活用することで、より多くの人々にアプローチし、ビジネスの成果を上げることができます。
つまり、いわゆる”YouTuber”的な活動をしなくても、YouTubeはビジネスにとって有益なプラットフォームとなり得るのです。自身のビジネスやサービスに最適な活用方法を見つけ、YouTubeの可能性を最大限に引き出してください。
ABOUT執筆者紹介
Webメディア評論家 落合正和
Webメディア評論家/Webマーケティングコンサルタント
株式会社office ZERO-STYLE 代表取締役
一般財団法人 モバイルスマートタウン推進財団 副理事長兼専務理事
SNSを中心としたWebメディアを専門とし、インターネットトラブルやサイバーセキュリティ、IT業界情勢などの解説でメディア出演多数。ブログやSNSの活用法や集客術、Webマーケティング、リスク管理等の講演のほか、民間シンクタンク(日本観光推進総合研究所 所長)にて調査・研究なども行う。
<著 書>
著者ブログ
ビジネスを加速させる 専門家ブログ制作・運用の教科書(つた書房)
はじめてのFacebook入門[決定版] (BASIC MASTER SERIES)(秀和システム)
[democracy id=”415″]