27 October

農業で成功する秘訣 やらないことを決める

掲載日:2023年10月27日   
農家おすすめ情報

農業は僕にとってのコンプレックス

就農してから一度の営業もせずに、栽培した野菜の95%をレストランへ販売しているタケイファーム代表の武井です。僕は農家の長男として生まれました。中学生になった頃でしょうか、友達から「百姓!百姓!」とからかわれるようになり、親の職業を人に知られるのがとても嫌でした。そして、いつしか絶対にやりたくない仕事は農業になっていました。

学校を卒業して建設会社で社長秘書、その後、自動車販売会社で営業をしていたのですが、営業が嫌になり仕事を辞めました。失業保険をもらいながら、自分がやりたいことを探していましたが、失業保険の支給期間が終わるまでにやりたいことは見つからず、人生を諦めて親が営んでいる農業の世界に入ることを決めました。子供の頃、絶対にやりたくなかった農業という職業に就き今年で23年目、僕の農業人生はネガティブなスタートだったのです。

農業の第1歩、1冊の本に出合う

野菜に全く興味がありませんでしたので、農業に就く前に少し勉強をしておこうと思い1冊の本を買いました。初めて手にした農業関連の本は、「29人の新規就農者をインタビューしたドキュメンタリー本」で、栽培品目も多岐にわたり、年齢も幅広く、土地も北から南までいろいろな人が紹介されていました。その本を読んだ僕の感想は「8割の人が農業に就いて失敗している」ということ。

元々農業に対するイメージが悪いこともあり、自分の考えを正当化するように「やっぱり農業はダメだな…」と心の中でつぶやきました。しかし「失敗した人たちがやったことはやらなければよいかも」と思い、まだ種まきをしたこともなく、畑に入ったこともない時に「農業でやらないこと」を決めました。

本屋さんで農業関連の本を探す

タケイファームが決めたやらないこと

本を読んで決めたやらないことはいくつかあるのですが、ここでは2つ紹介します。

1 「地元で売らない」

地産地消という言葉がありますが、どうせ売るなら物価が高い都会で勝負すべきだと思っています。僕が住んでいるのは千葉県ですが、同じ野菜を売るにしても、自分が納得できる価格を付けたいと考えます。例えば地元の直売所。客が思う直売所のイメージは「新鮮」「おいしい」「安い」です。通常売られているキャベツの相場が1個200円だとします。その直売所で高品質なサボイキャベツを700円で売ろうとしても売れる確率はかなり低くなるでしょう。しかし、それが銀座や高級レストランであれば700円以上で売れるかもしれません。つまり地元で売るということだけに集中することは、地元の単価に合わせる必要性が出てくることなのです。

地元の農家の野菜売り場

2 「知り合いに売らない」

誰もがそうなのですが、最初は野菜を作っても売り先がありません。本に登場していた人は、前の職場や友人に現在の状況を話し野菜を買ってもらっていました。相手は付き合いで買ってはくれていましたが、目先の売り上げがほんの少し上がっただけで本当のお客さんにはなっていなかったのです。

営業はしない

営業が嫌で前職を辞めたこともあり、農業で「営業はしない」と決めました。営業はご存知の通り、楽な仕事ではありません。何より、営業をすると値段交渉が起こり自分の納得できる価格で販売することが難しくなります。現在まで営業をせずにどうやって取引先を開拓してきたのかは、別の機会で詳しくご紹介します。

労力に見合わない野菜は栽培しない

皆さん、栽培する野菜はどのように選んでいるでしょうか。農家の考え方や条件によっても違います。どこでやるか、どのくらいの広さでやるか、そして何人でやるか。僕が選んだ農業は1人でやれる農業で、今まで約350品種、一般の野菜から西洋野菜まで様々な野菜を栽培してきました。

現在は年間約140品種の野菜を栽培しています。そうした中で、全く栽培しなくなった野菜はたくさんあり、その中の1つが「エダマメ」です。僕が栽培していた枝豆は、5本を1束にして400円で販売していました。1本の枝豆の虫食いや葉を取り除き、きれいな1本にするためにかかる時間は3分。何度タイムアタックしても3分かかりました。1束作るのに15分、1時間の売り上げ1600円、10時間の売り上げは16000円です。これは1人農業でやる品目ではないと判断し、それ以来作っていません。

一度きりで止めたエダマメの栽培

雨の日はやらない

農業を続けていくうえで決めたやらないことです。タケイファームにはハウスがありませんので年間を通して露地で野菜を栽培しています。就農当時は、雨の日でも合羽を着て野菜を収穫していましたが、ある時、ずぶ濡れになりながら疑問に思ったのです。

  • 雨の日の畑はドロドロになっていて歩くだけで畑が荒れる。
  • 雨の為、野菜が見づらく予備を見込んで予定数よりも多く収穫し結果ロスがでる。
  • 雨の日はクオリティが落ちる可能性がある。
  • やっている本人のテンションが下がる。

雨の日は土が柔らかくなり畑が荒れてしまう

納期を守るのもプロですが品質を守るのもプロです。取引先のレストランは説明すると理解してくれ、結果、品質の向上、作業の効率化につながりました。

やるべきことを決める

農作業が大好きで、土に触れていることで心が満たされるという人はよいのですが、農業で収益をあげるためには、時間、労働力、コストの効率化は必要です。研修生やパートさんがたくさんいる農家で研修した人が、1人で同じような農業ができるはずがありません。自分が選んだ環境で、まずはやらないことを決めてみませんか。何もかも抱えようとすると心も身体も疲れてしまいます。そして、次にやるべきことを決めたら、できることから始めていくことが農業の世界で成功するための秘訣です。

ABOUT執筆者紹介

武井敏信

タケイファーム

タケイファーム代表。「営業はしない」がポリシー。今まで350種類を超える野菜を栽培し、年間栽培する野菜は約140品種。独自の販売方法を生み出し、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売している。趣味は食べ歩き。一般社団法人Green Collar Academy理事。青山学院大学ABS農業マーケティングゲスト講師。京都和束町PR大使。

 

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