新型コロナ“緊急事態宣言”を受けた「初めてのテレワーク」労務トラブルを防ぐ3つのポイント
社会保険ワンポイントコラム
令和2年4月7日に発令された新型コロナウイルスの緊急事態宣言。宣言を受け、在宅勤務によるテレワークを始める企業が後を絶たない。そこで今回は、初めて在宅勤務を行う際の労務上のポイントを紹介しよう。
就業規則を変更し、新しい労働条件を明示する
1番目のポイントは就業規則を変更し、新しい労働条件を明示することである。
労働基準法上の労働者には、在宅勤務でも労働基準関係諸法令が適用される。法令上、社員に在宅勤務をさせる場合には、在宅勤務があることを採用時に労働条件通知書や就業規則の記載により明示しなければならない。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って初めて在宅勤務を行う企業では、このような明示は行っていないであろう。そのため、在宅勤務を命じることは既存の労働条件の変更に当たり、社員との個別の合意または就業規則の変更が必要になる。変更した就業規則は適正な手続きを経て、所轄労働基準監督署に届出なければならず、また、社員には新しい労働条件を書面で明示することが必要となる。
労働時間を把握する
2番目のポイントは、在宅勤務中の社員の労働時間を把握することである。企業に課せられた「社員の労働時間を適正に把握する責務」は、在宅勤務でも変わらないからである。労働時間を把握するには、在宅勤務中の労働時間の管理方法を定めることが必要になる。
例えば、「始業・終業時に電子メールや電話で上席者に連絡を入れる」「在席中は常に電話連絡ができる状態にする」などは、導入しやすい管理手法である。「テレワーク用の勤怠管理ツールで、始業・終業時刻などを管理する」などの方法も有効である。また、在宅勤務では私用で業務から離れる“中抜け時間”が発生しやすい。従って、「“中抜け時間”は休憩時間とし、その分、終業時刻を繰り下げる」などの対応を取るとよい。
長時間労働対策を講じる
3番目のポイントは、在宅で長時間労働とならないように対策を講じることである。上席者の管理が行き届かない在宅勤務では、労働時間が長くなりがちだからである。
例えば、「在宅での時間外・休日・深夜労働は認めない」「時間外・休日・深夜の電子メール送信、社内システムへのアクセスを禁止する」「時間外・休日・深夜労働に対し、勤怠管理ツールで注意喚起を行う」などが考えられる。
先の見えない新型コロナウイルス問題。企業と社員が一致団結し、乗り越えていきたいものである。
参考
厚生労働省ウェブサイト
情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
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