新型コロナウイルス対策のテレワーク、コミュニケーション不足を解消するには
社会保険ワンポイントコラム
新型コロナウイルス対策のために、出社を見合わせ、テレワークを採用する会社が増えています。しかし、本来必要な準備をする時間がないままテレワークに突入したため、さまざまなひずみが出ています。特に普段とは違うコミュニケーション方法に、戸惑いや人間関係の難しさを感じることも多いでしょう。どのように対応したらよいのでしょうか。
雑談の場をつくる
職場で近くに座っている同僚と雑談することは、日常の自然な一コマです。この雑談の効用は案外大きく、お互いのことを知って信頼関係を結ぶためには欠かせないものです。テレワークでは、チャット等でつながれるしくみがあっても、相手の状況が見えないために、話しかけていいのかどうか、躊躇してしまいます。そのため、あえて雑談をするための時間をつくることが必要になってきます。業務のためのWeb 会議の前や後に、10分程度の短時間でよいので、気楽に雑談する時間を設けてみましょう。オンライン朝礼や、それぞれ好みの飲み物を用意して、オンラインお茶会をするのもよい試みです。その際、職場のリーダーは、画面越しでは参加者同士の雰囲気や間合いが感じにくいことを頭に入れ、普段より大きめにリアクションすることや、多少相手と発言がかぶっても、積極的に発言することを、メンバーと共有しておきましょう。
いつでも助けを呼べるようにする
テレワークでは、業務の上でちょっと聞きたいことがあるときに、気軽に話しかけにくい、という壁を感じることがあるでしょう。特に急がないのであれば、テキストベースの情報共有の場をつくり、そこに書き込むよう、周知しておきます。疑問を書き込んだはいいが、だれからも反応がない、ということにならないよう、リーダーは定期的にチェックして、積極的に答えたり、ほかの人に答えるよう呼びかけることを忘れないようにしましょう。問題は、ちょっとしたことなのだが、いますぐ答えがほしい、というときです。カメラを常時オンにしておいて、お互いの様子が見えるしくみは、社員からすると監視されているようだ、と評判が悪いものです。しかし、発想を転換すれば、いつでも上司や同僚に話しかけることのできるしくみとして機能します。常時接続した上で、必要なときはマイクをオンにし、「ちょっとお願いします」とお互いに話しかけることを推奨しましょう。テレワークでは、時間もフレックスにすることが多いですが、お互いに話しかけられる時間を保証するために、コアタイムをつくることも一つの方法です。
コミュニケーションを阻害するハラスメントに気をつけよう
Web 会議では、画面の向こうに、それぞれの自宅の様子が見えてしまったり、家族の声が入ってしまうことがよくあります。日本の住宅事情では致し方ないことですので、お互いにそのことについては言及しないよう、申し合わせておくといいでしょう。自宅内の様子以外にも、こんな発言はNGです。
「(女性社員に対して)家ではすっぴんなの?」
「パソコンも持ってないのか?」
「自宅に Wi-fi 環境がないなんて」
「親なんだから、子供を静かにさせるべきだろう」
このような発言は、場合によってはハラスメントとなり、コミュニケーションの基礎となる信頼関係をぶち壊してしまいます。うっかり言ってしまわないように、注意しましょう。
ABOUT執筆者紹介
メンタルサポートろうむ 代表
李 怜香(り れいか)
社会保険労務士/産業カウンセラー/健康経営エキスパートアドバイザー/ハラスメント防止コンサルタント(公益財団法人21世紀職業財団 ハラスメント防止客員講師)
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