15 June

新型コロナの影響を受けた中小企業に対する申告延長・納税猶予の制度

掲載日:2020年06月15日   
社会保険ワンポイントコラム

新型コロナにより売上が減少するなど影響を受けた中小企業に対して、申告延長・納税猶予の制度が認められています。資金繰りが厳しい中小企業は、是非活用を検討してみてください。

1. 申告・納付期限の個別延長

( 1 ) 制度の概要

新型コロナにより期限までに申告等ができない法人が、個別に申告期限延長を申請できる制度です。延長された期間に係る延滞税・利子税は基本的に発生しません。

( 2 ) 対象となる税金

法人税、消費税等の国税の他地方税も含まれます。

( 3 ) 要件

新型コロナの影響により、期限までに申告等ができないやむを得ない理由がある場合に認められます。やむを得ない理由には、法人の役員、従業員が新型コロナウィルスに感染した場合だけでなく、事業活動に支障をきたすもの(下記参照)など、広範囲なものが含まれます(「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」令和2年4月 国税庁より)。

  • 体調不良により外出を控えている方がいること
  • 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの方がいること
  • 感染拡大防止のため企業の勧奨による在宅勤務等をしている方がいること
  • 感染拡大防止の為外出を控えている方がいること

( 4 ) 個別延長の場合の申告・納付期限

申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内の日を指定して申告・納付期限が延長されることになります。申告書等を作成・提出することが可能となった時点で申告を行うことが求められています。

( 5 ) 手続

別途申請書等の提出書類はありません。申告書の余白に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と付記して提出すればそれで申請したことになります。なおe-Tax(電子申告)で申告をする場合には、「電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書」の「電子申告及び申請・届出名」欄に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と入力することによって申請が可能です。

2. 納税猶予

( 1 ) 納税猶予の特例


1.制度の概要

新型コロナウィルスの影響により2020年2月以降、事業収入が減少していて納税が困難な事業者に対して1年間納税を猶予する制度です。担保は必要なく、延滞税もかかりません。

2.対象となる税金

令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する法人税、消費税など基本的にすべての税が対象となります。なお、地方税についても同様の措置がとられています。

3.要件

新型コロナウィルスの影響により、2020年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上)において、事業収入が前年同月に比べて概ね20%以上減少していること(なおこの事業収入とは、法人の経常的な収入のことですので、持続化給付金等、国や都道府県から支給された各種給付金については含める必要はありません)。

税金を一時に納付することが困難であること。

4.手続

令和2年6月30日又は納期限のいずれか遅い日までに「納税の猶予申請書(特例猶予用)」その他収入や現預金の状況が分かる資料を所轄の税務署又は市区町村に提出する必要があります。

( 2 ) 個別の事情がある場合の納税猶予


1.制度の概要

上記の納税猶予の特例の要件を満たさなくても、個別の事情がある場合には、税務署に申請することにより1年間の納税の猶予が認められることがあります(状況によっては、更に1年間猶予される場合があります)。猶予期間中の延滞税の全部又は一部が免除され、財産の差し押さえや換価(売却)も猶予されます。

2.対象となる税金

法人税、消費税等の国税の他、地方税も対象となります。

3.要件

  • 新型コロナウィルスにより財産に相当な損失が生じた場合(例:新型コロナウィルスの感染者が発生した施設で消毒作業を行ったため備品その他の棚卸資産の廃棄を行い、費用が発生した場合等)
  • 代表者又は家族が病気にかかった場合(例:代表者又は生計を同じにする家族が病気にかかったことにより、医療費や治療等にかかる費用が発生した場合等)
  • 事業を廃止し、又は休止した場合(やむを得ず事業を廃止したことにより、損失や費用が発生した場合等)
  • 事業に著しい損失を受けた場合(利益の減少により著しい損失を受けた場合等)

上記の理由により税金を一時に納付することが困難であること。

4.手続

納期限から6ヶ月以内に納税の猶予申請書と、災害等の事実を証する書類、財産や収支の状況、担保提供書等の書類を添えて所轄の税務署又は市区町村へ申請します。状況によって準備する書類が異なりますので、まずは国税局猶予相談センターへ相談することをお勧めします。

ABOUT執筆者紹介

代表税理士
戸村 涼子

戸村涼子税理士事務所

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