労務トラブルが発生する前に!いま企業が求められている「労務管理の健康診断」とは?
社会保険ワンポイントコラム
はじめに
コロナ禍において、テレワークなどの多様な働き方が浸透してきています。また、働き方改革関連法案が順次施行されています。さらには、ハラスメント問題や違法な長時間労働をさせた企業名が公表されるなど、労務に関する問題がマスコミで取り上げられることが多くなりました。いわゆる「ブラック企業」と言われてしまうと、SNS等であっという間に拡散され企業経営に深刻な影響をもたらすこともあります。よって、中小零細企業であっても、労務トラブルが発生する前に問題を解決することが求められてきています。 そこで、今、企業から求められているのが、【労務管理の健康診断】(※以下、労務監査)です。
労務監査とは
企業の人事労務に関して、現状を分析・把握しリスクの洗い出しを行います。
主に下記の役割があります。
- 企業の社会的責任(CSR)や労働関係法令を基本としたコンプライアンスにて、潜在的なリスクの抽出。
- 人事労務分野において、企業が今何取り組むべきか、また取り組むべきことに対してのプライオリティーの明確化。
メリット
社会的信頼性の向上
第三者の専門家の客観的事実による監査により、公平性が担保できることによって社会的信頼性の向上が期待できます。
コンプライアンス意識の向上
企業にとってコンプライアンスへの対応は必須です。労務監査によって必然的に意識の向上を図ることができます。
求職者へのアピール力
労務監査についての情報を内外に発信することで、働きやすい職場として他社との差別化による優位性が生まれ、求職者へのアピールにつながるでしょう。
定着率の改善
有効求人倍率は年々増加傾向であり、採用活動は難化しています。人材の定着の面では若年層を中心に会社の将来性、仕事内容、賃金や賃金以外の労働条件への不満をあげる者の割合が高くなっており、採用活動が難しい状況下では現在の従業員の定着ができるかが経営の課題になり得ます。人手不足が続いている状況で採用の強化と同時に、定着率の改善も欠かせません。そこで、働きやすい職場環境の構築を通じて、定着率の改善も期待できます。
まとめ
企業の成長、持続的な会社経営には「人」が欠かせません。少子高齢化等により労働力人口が減少している状況下において、企業として人に対する投資はこれまで以上に重要になってくると思われます。
快適な職場環境や働きやすい人間関係の構築、労働に対する適切な対応のためにも労務監査の必要性がますます高まってくるでしょう。
ABOUT執筆者紹介
瀧本旭
社会保険労務士法人ステディ
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