05 August

コロナのワクチン接種が始まった!会社が気を付ける点は?

掲載日:2021年08月05日   
社会保険ワンポイントコラム

政府は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、まん延の防止を図るべく、2021年2月17日より、ワクチン接種を開始しました。接種は、医療従事者等から始まり、64歳以下の一般接種も始まっていますので、既に2回目の接種を終えた方もいらっしゃるかもしれません。

ワクチン接種が進むなか、職域接種、特別有給休暇制度導入、奨励金の支給など企業としての対応は様々ですが、会社としてどう対応していけばよいでしょうか。会社として事前に知っておいた方が良い留意事項について解説します。

ワクチン接種にかかる時間は労働時間か?

ワクチン接種後の副反応について、話題となっているようです。

これまでに認められている副反応としては、注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられ、まれな頻度でアナフィラキシーが発生しています。コロナワクチン接種後に副反応が出ても困らないよう、週末に接種する方も増えているようです。そうなると、就業日での接種となるのですが、就業日に本人がワクチン接種を希望した場合、接種時間は労働時間扱いしなければならないのでしょうか。

接種にかかる時間は、使用者の指揮命令下に置かれている時間とはいえず、原則、労働時間には該当しないといえます。よって、労働時間としなくても問題はありません。しかし、職場における感染防止対策の観点から、従業員が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、配慮することは望ましいといえます。

厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)問20」では、次のような取扱いが望ましいとしています。

特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めること

こういった対応であれば、必要な時間のみの労働時間免除となり、また、従業員にとっても、接種が受けやすくなり、結果として事業場内の接種率も上がることになりますので、従業員、会社双方にメリットがあるといえるかもしれません。

ちなみに、ワクチン接種費用については、全額公費で行われ無料ですが、接種会場までの交通費については、自己負担となります。そちらについて、従業員から会社に負担を求められた場合、どう対応すべきでしょうか?

法で事業者に実施が義務付けられている健康診断の実施の際は、それにかかる費用も使用者が負担すべきと解され、交通費の負担をしている企業も多くあります。しかし、ワクチン接種については、使用者に義務づけられていないため、接種にかかる交通費を当然に負担しなければならないということにはなりません。交通費の負担については、各企業の判断によります。

また、休暇制度としては、同Q&Aで、次の取扱いが例示されておりますので参考にされて下さい。

ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと

更に、ワクチン接種を推奨するために、奨励金を支給する企業もあるようです。

これらの制度導入は任意であり、必ずしも企業として対応しなければならないということではないのですが、結果として事業場内の感染拡大防止につながるのであれば、前向きに導入を検討しても良いのではと思います。なお、上記の対応をする場合、常時10人以上の従業員がいる事業場では、就業規則の変更の手続きが必要となる場合があります。また、従業数が10人未満で就業規則の作成義務がない場合でも、従業員に書面等で周知する等、スムーズに接種が進むように対応された方が良いでしょう。

ワクチン接種を従業員に強制できるのか?

従業員の感染拡大防止のため、いっそのこと従業員にワクチン接種を強制したいと考える企業もあるかもしれません。はたしてワクチン接種を強制できるのでしょうか?

結論から言えば、ワクチン接種は努力義務とされ、推奨されているものの、接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも、本人が納得した上で接種を判断することになりますので、企業も従業員に強制することはできないと考えられます。ワクチン接種は、副反応が生じる危険性も指摘されており、従業員それぞれの健康状態や既往歴などの配慮が必要です。従業員の意思に反しワクチン接種を受けさせることは適切とはいえません。よって、ワクチン接種を強要したり、接種しないからといって懲戒処分や不利益な取り扱いをすることは問題となりますのでご注意下さい。

また、接種をしないということで、いじめや嫌がらせが起こらないよう注意を促しておく必要があります。会社としては、ワクチン接種はあくまで従業員に「推奨」するにとどめ、マスク着用、手洗い、消毒、換気等により、引き続きコロナウイルス感染症の予防策を講ずべきであるといえます。

ABOUT執筆者紹介

社会保険労務士法人SOPHIA 代表
松田 法子

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」
 
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