中小企業が利用する租税特別措置
税務ニュース
租税特別措置には様々なものがありますが、一般的に、その多くは産業政策等、特定の政策目的を実現するために、特定の条件を満たした者の税負担を軽減することにより経済活動を誘導する手段とされています。
その租税特別措置の適用実態を明らかにし、その効果を検証する仕組みとして、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定されており、毎年、財務省はこの法律に基づいて「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」を取りまとめ、国会に提出しています。
現在開会中の国会にも、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に終了した事業年度または連結事業年度において適用を受けた法人税関係の特別措置について、「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」が提出されています。
報告書によると、適用額明細書を提出した法人数は1,182,897法人で、適用件数は法人税関係の特別措置82項目について延べ件数で1,833,213件となっています。
資本金別の適用件数は、資本金1,000万円以下の法人の適用件数が最も多く1,423,639件となっており、所得別では、100万円超800万円以下の所得の法人の適用件数が579,060件で最も多く、中小企業者等の適用が多くなっています。
適用件数を個別措置でみると、「中小企業者等の法人税率の特例」が最も多く888,592件、次いで多いのが「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」で510,262件となっています。
「中小企業者等の法人税率の特例」は、中小企業者等の各事業年度の所得金額のうち、年800万円以下の金額について、本則の軽減税率である19%が15%に軽減される制度です。また、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得などして事業の用に供した場合に、一定の要件のもと、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる制度です。
いずれの制度も中小企業者等の事業活動を税制面から支援する政策税制ですが、適用件数が多いことから幅広く利用されていることがわかります。