01 November

経営力向上計画と先端設備等導入計画

掲載日:2018年11月01日   
税務ニュース

平成28年7月に施行されました「中小企業等経営強化法」により経営力向上計画の認定を前提に様々な支援措置が用意されております。その中でも大きなものが①即時償却又は税額控除、②固定資産税が3年間半分、③低利融資等の金融支援です。

①の即時償却又は税額控除はこれまでも固定資産の投資を促す税制として姿を変えて用意されてきました。即時償却は投資金額を全額償却費として損金算入できる制度ですし、税額控除は税額をダイレクトに控除できる制度であり、どちらも投資を促す上ではメリットの大きい取り扱いとなっております。

②の固定資産税の特例につきましては一定の設備等を所有することに課せられる固定資産税を軽減するものです。一定の設備投資は投資時もさることながら所有することに対してもコストを要します。その中の一つである固定資産税が経営力向上計画の認定を前提に3年間にわたって2分の1に軽減されます。こちらも設備投資を促す効果が見込まれます。

③の低利融資等の金融支援につきましては日本政策金融公庫を筆頭に各種の支援が用意されております。日本政策金融公庫の貸付は設備資金について、基準金利から0.9%引下げるという非常に大きな減額効果が期待できます。
そのほかにも補助金等の申請に際し加点項目が設けられるなど様々な特典が用意されております。設備投資の計画がある中小企業様におきましては計画認定をぜひご検討ください。なお計画策定に際しましては認定支援機関の支援を受けることも可能ですのでこちらもご検討ください。

ついでにもう一つご紹介したい制度が平成30年6月に施行されました「生産性向上特別措置法」に基づく先端設備等導入計画の認定です。こちらは上記の経営力向上計画と非常に類似しているのですが異なる制度ですのでご注意ください。異なる点を中心にご紹介しますと①計画の提出先が市区町村、②固定資産税の軽減が3年間2分の1ではなく全額、③認定支援機関の確認が必須となります。

①につきましては経営力向上計画の提出先は国であるのに対し、先端設備等導入計画の提出先は市区町村となっております。
②につきましては先ほどの経営力向上計画では2分の1であった軽減額が全額となりより効果が大きいものとなります。ただし計画で求められる達成率は厳しいものになります。
③につきましては経営力向上計画は認定支援機関の支援を受けることができるとの規定であったのに対し、先端設備等導入計画の策定においては認定支援機関の事前確認が必須となっております。

こちらの制度は若干経営力向上計画よりもハードルが上がっておりますが固定資産税の3年間ゼロというリターンも大きいものになりますので計画策定時にはこちらも受けられないかご検討いただければと思います。

このように様々な優遇措置が現在用意されております。どちらの制度も基本的には事前の認定を要するため、投資計画をお持ちの方は事前に税理士をはじめとした認定支援機関にご相談いただくことをお勧めします。

ABOUT執筆者紹介

税理士 小嶋 純一

税理士法人中山会計

大学卒業後、税理士法人中山会計にて常務社員税理士を務める。相談しやすさNo.1を体現する税理士として、自社の経営の実践並びにお客様の経営サポートを兼務。M&Aスペシャリスト及びM&Aシニアエキスパートの資格を有し、事業承継の出口をサポートするコンサルティングを15年来推進。保険会社・銀行・商工会議所・各士業等とのタイアップによるセミナーなど全国で多数講演。身近な相談窓口として活動中。

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