01 March

中小企業のキャッシュレス活用

掲載日:2020年03月01日   
税務ニュース


1. キャッシュレスの意義

キャッシュレスとは、現金以外の方法(クレジットカード、電子マネー、QRコード等)で決済を行うことを指します。
2019年中にはQRコード決済の運営会社が続々と登場し、大々的に還元キャンペーンが行われたこと、10月からの消費税増税とともに始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」(キャッシュレスを導入した店舗に対して手数料の軽減、機器の購入補助等の優遇を実施し、消費者にはポイントを還元する制度)によって、キャッシュレスに注目が集まる要因ともなりました。これを機にキャッシュレス決済を始めた中小企業も多いでしょう。

2. キャッシュレスのメリット

このように注目を浴びているキャッシュレスですが、中小企業にとってキャッシュレスを導入するメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

( 1 ) 現金管理業務が不要になる

現金をなくすことによって、現金管理業務が不要となります。
例えば、以下の業務です。

  • 金庫と鍵の管理
  • 現金の出し入れ
  • 出納帳、会計ソフトへの記録
  • 現金の補充
  • 現金の実査

キャッシュレス決済導入をためらう理由として「手数料」がありますが、上記の現金管理コストと比してもなお高いのか、一度業務を洗い出して検討してみると良いでしょう。

( 2 ) キャッシュレスによってデータ化ができる

キャッシュレスのメリットとして見逃せないのがデータ化です。キャッシュレスを導入することによって、取引をデータとして扱うことができます。なぜデータ化にメリットがあるのかというと、そのデータを活かして様々な業務を効率的に進めることができるからです。
例えば、会計ソフトへの取込です。キャッシュレス決済のデータはCSV等で取得できるので、Excelで会計ソフトにインポートできるデータに加工すれば効率良く記帳ができます。更に進んで、最近ではデータを加工せずに銀行、クレジットカード等のデータを直接会計ソフトと連携して取り込むことができるシステムも登場しています。現金の場合データ化はできないため、どうしても人の手を介して「照合」「入力」という作業が生じてしまいます。このように、取引を「データ」として扱えるかどうかは、業務効率化を進めるための重要なポイントなのです。

3. キャッシュレス活用例

ここからは、中小企業のキャッシュレスの具体的な活用例を紹介します。

( 1 ) 売上決済への活用

売上代金の受取にキャッシュレス決済を活用することが一番身近な例でしょう。
例えば今まで現金でしか対応していなかった飲食店が、クレジットカード、電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済を導入する場合です。
2019年10月から開始したキャッシュレス・消費者還元事業も追い風でしょう。現金以外の決済方法を導入することによってあらたな顧客層を獲得できるチャンスでもあります。

( 2 ) 経費精算への活用

社内の経費精算もキャッシュレス活用ができるケースです。
例えば、従業員にコーポレートカードや交通系電子マネーをもたせ、なるべくキャッシュレスを推進すればカード会社から送られてくる決済データを元に内容を可視化できます。それと同時に、データを活用して分析、会計ソフトへの取込等を行うことができます。

( 3 ) 経理業務への活用

キャッシュレスは日々の経理業務にも活用できます。
例えば納税業務です。「電子納税」という電子的に納税する仕組みを使えば、申告データと連動して納付情報を取得することができるため、納付書に金額を書いて、金融機関に赴く必要はありません。特に源泉所得税や住民税など、定期的に支払の発生するものについては業務時間の削減に大きな効果が期待できます。

ABOUT執筆者紹介

代表税理士
戸村 涼子

戸村涼子税理士事務所

オンラインセミナーにも出演いただきました

小規模事業者におけるキャッシュレス・ペーパーレスの活用

2019/12/24放送の「みんなの経営応援セミナー」でもキャッシュレス・ペーパーレスをテーマに解説!ぜひこちらもあわせてご覧ください!

詳しくはこちら

[democracy id=”40″]

お客様満足度No.1・法令改正に対応した財務会計ソフト「会計王」はこちら

  • おんすけ紹介ページ

Tag

最新の記事

2024年11月22日【契約書の基本】トラブル防止のためのチェックポイント①業務委託契約書(フリーランス向け)
2024年11月20日【年末調整】定額減税で変わる源泉徴収票&控除済み及び控除されていない定額減税額の確認方法
2024年11月18日ペーパーカンパニーを利用して不正を行うB勘屋と反面調査
2024年11月15日経営相談の現場から[シリーズ第5回]これから創業する私にも融資してもらえますか?
2024年11月15日在宅勤務中の傷病に労災は適用されるのか?
人気記事ランキング
2024年11月13日 【2024年(令和6年)年末調整】定額減税は申告書のどこを見るべき?注意点も解説
2024年09月30日 【定額減税】定額減税で年末調整はどう変わる?定額減税に伴う年末調整の注意点を税理士が解説
2024年03月01日 結局、一番得する社長の役員報酬額はいくらなのか!?
2022年04月26日 JA「建物更生共済」の保険料は年末調整で控除できる?所得税の扱いを確認しよう
2023年12月02日 「国民年金の控除証明書が届いていたんですけど、どうしたらいいですか?」と問われたら、何と答えればよい
2022年08月24日 【インボイス制度】登録されているか確認する方法&公表サイトではどんな情報が公開される?
2023年11月16日 【2023年年末調整】今回から扶養控除が厳格化…なぜ?国外扶養親族の新たな条件と必要書類を確認
2022年11月10日 【2022年年末調整】年末調整と確定申告、両方やるのはどんな人?
2021年11月22日 共働き夫婦の子供はどちらの扶養? 令和3年8月からの健康保険の新基準を解説します。
2024年04月05日 フリーランス・クリエイターが立替払いした交通費等は源泉徴収が必要?

カテゴリ

お問い合わせ

お問い合わせ

当サイトへのお問い合わせはこちらよりお願いします。