従業員がインフルエンザに罹患(感染)時の対処法
社会保険ワンポイントコラム
インフルエンザは風邪とは異なり、突然の高熱や体の痛み、関節痛や筋肉痛も伴います。また、急激に症状が出てくることが多いようです。
インフルエンザと診断されたら
従業員がインフルエンザと確定診断をされた場合、自宅療養になると思います。
(厚生労働省によれば、インフルエンザは発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています)
少なくとも上記期間は自宅療養をしてもらったほうがいいでしょう。
自宅での療養期間についてですが、学校の児童については学校保健安全法(昭和33年法律第56号)により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる「出席停止期間」としていますが、社会人についてはそのような定めはありません。
(学級閉鎖はあっても会社閉鎖はほとんど聞いたことがありませんよね)
休業の取り扱い
「就業禁止期間」はありませんので、あくまで欠勤扱いになります。もしくは本人が希望した場合は、年次有給休暇扱いになるでしょう。しかし、例えば本人が出勤を希望した場合にはどうすればいいでしょうか?
会社には「安全配慮義務」(従業員が職場で安全に健康的に働けるように配慮する義務)があります。出勤を認めたことにより職場で感染拡大した場合、この「安全配慮義務」に反する可能性が高く、一般的には休業を命じることが多いのではないでしょうか。
この休業に対しては会社命令になりますので、労働基準法第26条に基づく休業手当の支払いが必要になります。
新型インフルエンザの場合
上記にて、会社が休業を命じた場合は休業手当が必要と説明しましたが、新型インフルエンザの場合は異なります。この場合、「就業禁止」の措置を取ることが会社に義務付けられていますので、休業手当の支給義務はありません。
なお、職場復帰については、リスク予防の観点から考えた場合、完治したかどうかは非常に気になると思いますが、厚生労働省によるとインフルエンザの陰性を証明することは一般的に困難である等により会社がインフルエンザの「治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくない」としています。
対策は事前に検討しておきましょう
まずは、従業員を休ませた場合の給与の取り扱いについて、ルールを決めて規程に定めておく必要があります。
また、社内感染のリスクや不安を取り除くためにも、「家族が感染症に感染した場合は、念のために従業員本人にもしばらく休んでもらう」等、対応方法についても明確に定めておきましょう。
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