税務調査の対象となる企業
税務ニュース
国税庁によると、平成28年7月~平成29年6月の間に、調査必要度が高い法人として実地調査が実施された件数は9万7千件(前年対比103.5%)となっています(「平成28事務年度 法人税等の調査事績の概要」より)。
本来であれば、税務調査はすべての法人に実施されるべきですが、調査官の人数や、調査日数には限りがあるため、特に、悪質、大口、高額な不正計算が行われていると想定される法人を対象に行わざるを得ません。課税当局は税務調査を行うべき法人を申告書等の資料から選定していますが、その選定にはデータベースが利用されています。
国税庁は、国税総合管理システム(KSKシステム)を導入して、全国の国税局と税務署(524税務署・12国税局(所))をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力し、コンピュータシステムにより一元的に管理しています。
このKSKシステムによる分析は税務調査や滞納整理に活用されます。もちろん、長期間未接触、好況業種、現金取引業種、マスコミ等で注目されている業種、課税当局が特に調査が必要と判断した業種等、については税務調査の対象に選定されやすいわけですが、システムが「異常値」を検知した場合にも、税務調査の対象法人として選定されやすくなります。
長期間、税務調査が行われない法人がある一方で、頻繁に税務調査が行われる法人があるのは、システムにより異常値が検知された可能性が高いからと考えられます。
例えば、同業他社と比して、売上高伸び率や経常利益伸び率が低調である、同規模同業種に比して目立つ数値がある、また、売上、仕入、期末棚卸高、外注費、交際費等が著しく変動している等の場合には、システムが異常値を検知することになります。
入力作業等の誤りによって、システムが検知する「異常値」を作らないためにも、日ごろの経理業務においては月次試算表等の確認作業を欠かさないようにすることが肝要です。