【家電ライターが解説】いよいよ本格的な夏の到来!オフィスエアコンの準備を解説
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SOHO~大規模オフィスまで夏のエアコン活用術
いよいよ本格的な夏が到来します。が!すでにオフィスビルや工場施設、工場などで使われている電気代は値上げ済みですが、一般家庭や商店、小規模オフィスで使われている電気代は6月から値上げとなります。上げ幅は各電力会社によってことなりますが、およそ30%前後と考えてもよいでしょう。
そこで気になるのがエアコンの電気代です。必要なので切るわけにも行きませんが、電気代のことを考えると無尽蔵に使うのもためらわれます。今回は、夏に向けてオフィスのエアコンの準備を説明します。
業務用エアコンでもフィルター清掃した方がいい!?
よく見慣れたエアコンは、家庭用の壁掛けエアコンでしょう。商店や食堂、駅などではタンスのような床置き式も見かけます。ビルなどで見かけるのは、天井に埋め込まれて2方向や4方向に送風するものが主流です。スタジアムや展示会場などでは、天井から大きなエアコンが吊り下げられていたり、人が入れそうなボックスに穴が開いたものなどを見かけます。しかしすべてに共通しているのは、どれも空気のゴミを濾し取るフィルターが内蔵されているという点です。
ビル用のエアコンでは、各階やビルの屋上や地下室で冷気を作って先に紹介した吹き出し口から送風するので、フィルターが目詰まりしずらくメンテナンスも1月に1回ほどで済みます。つまり冷気を作るための外気吸い込み口が天井内や機械室にあり、そこでフィルターをかけている場合がほとんどです。
吹き出し口にもフィルターがついていますが、吸気の時点でフィルターをかけているので、メンテナンスは月~半年に1回に程度で、空調メーカーが定期的にメンテナンスしてくれます。しかし家庭用の壁掛け型や小規模店舗向けの床置き型は、部屋の空気をエアコンの中に取り込み、その中で冷気を作り吹き出すため、フィルターの汚れが速いというデメリットがあります。とくに飲食店は油煙を吸い込むのでひんぱんにフィルターを掃除しないと、エアコンの効率が悪くなります。
ただ最近はマルチエアコンという小さいビルや一般家庭用の集中冷房に使われるものが出てきました。この場合は天井埋め込み型であっても、室内の空気を吸い込んで冷気を作って室内に戻るという、一般的な壁かけエアコンと同じ方式なのでフル稼働する場合やホコリが多い場所では週1、少なくとも月1でフィルター掃除が必要です。メーカーによっても違いますが、吹き出し口の中央が外せるようになっていて、フタにフィルターがついているものが多いようです。
一般家庭用の壁掛けタイプのお掃除は、詳しく後述します。
冷暖切り替えの際には試運転して冷気、異音、異臭、水漏れのチェック!
エアコンが壊れやすいのは、暖房運転から冷房運転に切り替えたときと、その逆です。冷暖房の切り替えは、エアコン内部の金属部品が動き冷風と温風を切り替えますが、長年使ったエアコンはその部品にサビが発生し、暖房(または冷房)運転を続けた半年のうちに固着してしまう場合があります。ですから本格的な暑さを迎える前に、エアコンの設定温度を最低にセットして、きちんと冷風が出るかを確認します。これは家庭用でもビル用でも同じです。
試運転とあわせてチェックしたいのが、次の4点です。
- 異音がしないか?
- 異臭がしないか?
- 水漏れはないか?
- ルーバー(風向きを変える羽)が動くか?
異音は周期的な「カチカチ」音などです。ファンのネジのゆるみや、何らかの理由で異物が入ってしまったり、ファンが欠けてしまったという場合に発します。また連続的な「ガタガタ」「ペキペキ」「ビリビリ」音にも注意します。エアコン本体のケースなどが経年劣化で損傷すると、これらの音がします。よくあるのは開口部のロックが折れたり削れてしまって、手で押さえると音が鳴りやむので、ガムテープで応急処置しているという事例を見かけますが、本来カッチリ閉まるべきロック機能が、緩くなっているのは危険なので修理すべきです。またガムテープなどは温度変化で粘着力が弱まるのが早いので、いつ部品が天井から落ちてくるか分かりません。
異臭はカビ臭さがメインとなります。もし気になるようであれば、専門業者などに相談して先の熱交換器を洗浄するなどの対応が必要です。
水漏れにも要注意です。本来いくら結露してもエアコンからは水が漏れないような設計になっています。エアコンから水滴が落ちてくる、壁に水の流れたような跡がある場合は、排水経路が経年劣化して破損しているなどが考えられます。ビル管理担当や施工業者、エアコンクリーニングの会社などに相談するといいでしょう。
ビル用の埋め込みではルーバーが動くものはあまりありません。主に家庭用の壁掛けエアコンの風向きを変える羽がきちんと動くかを確認しましょう。
壁掛けエアコンなら自分でお掃除!
一般家庭用の壁掛けエアコンを使っている場合は、自分でお掃除ができます。まずはフィルターのお掃除から。普段のお掃除は、掃除機でホコリを吸い取るだけでOKです。ただシーズンごとには水洗いすべきです。説明書や本体に刻印されている取り外し順の番号をしっかり見て、フィルターを引っ張り出し、台所洗剤や中性洗剤を付けてスポンジなどでやさしく洗います。たわしやブラシを使うのは厳禁です。洗い終わったら一晩陰干しして、元に戻します。
最近はフィルターお掃除機能がついているというエアコンも多くあります。しかしこのお掃除機能は、フィルターを毎回掃除してホコリを取ってくれるのですが、そのホコリはエアコン内部のダストカップに貯めるものがほとんどです。ホコリを外に吹き出してくれるお掃除機能は、ほぼありません。ですからお掃除機能がついているとはいえ、エアコンのカバーを開けてダストカップにホコリが溜まっていないかを確認してください。
夏が終わったら専門のクリーニング業者に依頼して、フィルターの奥にある何枚もの薄い金属板が並んでいる「熱交換機」と呼ばれる部分を洗浄することをオススメします。電気に強い方がいる場合は、熱交換器の掃除を自分でしてもいいでしょう。エアコンのコンセントを抜いて、熱交換器に「エアコン洗浄スプレー」を吹きかけるだけです。その左右には電気回路が入っているので、スプレーがかからないように注意します。なおエアコン洗浄スプレーには、匂い付きのものがありますが、香料はカビの大好物なので「無香料」を選んでください。
エアコンを開けると虫が巣を作った跡がたまにあります。部屋の中から入った可能性もありますが、水を外に流すホースから侵入する場合があります。ホースが植物の影に隠れている場合は要注意です。こんな時は念のために、ホームセンターで購入できる「エアコン排水ホース用 虫よけキャップ」を付けるといいでしょう。
さらにエアコンを動かすと「コポコポ」という音が聞こえる場合があります。これは気密性の高いオフィスだとエアコンの排水ホースで外に流れるべき水が、換気扇が部屋の空気を吸い込む力で逆流しているためです。ちょうどストローでジュースを飲んだとき、最後にズズズと音がする現象と同じです。このときはホームセンターで「エアコン排水ホース用 逆止弁」を付けるといいでしょう。虫よけも逆止弁も工具なしでホースの先に簡単に取付できます。
こんなグッズでさらに快適に!
オフィスのエアコンでよく見るのが、4方向吹き出しの天井埋め込みエアコンに段ボールを貼って風よけにしている光景です。税金の無駄使いはよくない!ということで、役所などの公共機関でひんぱんに見かけます。「見た目がどうにもなー」という方は、専用の風よけがあります。
ホームセンターやAmazonなどで購入でき、4方向ぶん買っても7,000円しない程度です。風向きを自由に変えられ、エアコンの吹き出し口に両面テープで貼るだけなので簡単に取り付けができます。
また壁掛け用のエアコン用もあります。1枚で吹き出し口全体を覆うモノは、支柱がしっかりしているので少し圧迫感があります。短い羽2,3枚で覆うタイプは支柱が簡易で圧迫感がありません。デザインもいろいろなものがあるので、好みのものを選ぶといいでしょう。価格はだいたい2,000~3,000円程です。
窓際の席や什器の影でエアコンの風が届きにくい場合は、サーキュレーターを利用して冷気を送るのもいいでしょう。一般家庭ならサーキュレーターでも扇風機でもかまわないのですが、何十名がいる広いオフィスとなると扇風機では遠くまで風が届きません。なので10~20m先まで送風できるサーキュレーターをオススメします。
ABOUT執筆者紹介
家電ライター/エンジニア 藤山哲人
「羽鳥真一モーニングショー」「ZIP!」「ゴゴスマ」「イット!」「news every」「Nスタ」などのワイドショーやニュースで節電や省エネを含めた家電などのコメンテーターとして多数の番組に出演。またレギュラーのラジオ番組のほか家電専門媒体「家電Watch」や「現代デジタル」「文春オンライン」などでも、家電やその回りの技術記事を“優しく楽しく面白く”解説している。
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